SEO・A/Bテストは万能じゃない!〜pixiv 片桐社長が語るサービスと企業のあるべきカタチ

片桐 孝憲
わずか3人、千駄ヶ谷の小さなオフィスからスタートし、わずか数年でイラスト・コミュニケーションサービス「pixiv」を総会員数900万人/月間38億PVまで育て上げた片桐さんが熱く語る!

もはや業界内では知らない人を探すほうが難しいでしょう、世界有数のイラスト・コミュニケーションサービス「pixiv」

今回はその運営元、ピクシブ株式会社の代表取締役 片桐さんを訪ねて、サービスとはなんぞや?と熱く語っていただきました!

■記事ハイライト
・SEOやA/Bテストよりも一貫したサービス全体最適の考え方を
・コンセプトを変えた!?一本の投稿が教えてくれた「プロセス」の大切さ
・シンプルすぎる進捗管理表が語るピクシブ的マネジメント術
・社内でプログラミング講座研修?!驚きの社員教育スタイル
・会社もまた社員にとっての「楽しむべきプロセス」であるべき

インタビュアー紹介:ゆうせい

株式会社LIGでメディア運用とライティングを担当。ちょっとコメントに困る微妙なラインのお絵描きスキルを持っている。pixivユーザーらしい。


やってきたのは国立競技場すぐ近くの千駄ヶ谷。駅前からちょっと歩いた所にあるオシャレなビル。

入ってみると…出ました!ピクシブ名物の絵馬廊下!じーっと見ていると超有名マンガ家やイラストレーターさんの絵馬もあってビックリします。

魅惑の廊下を抜けてオフィス内に入ってみると…

出るわ出るわ!「よくわからないもの」が盛りだくさん!

これは…!ゲームボーイ?…なぜ!?

これは何ですか?と聞いた所「なんでしょうね?」と返されてしまいました。

オフィスのすぐ脇には、本棚のようなステージのような、えらく落ち着くステキなスペースも。

完全にアミューズメントパークに遊びにきたノリの取材陣ですが、あっちゃこっちゃで遊びまわっているウチにピクシブ株式会社 代表取締役の片桐さんが登場!

さっそくお話聞いてまいりましょう!


さて、pixivと言えば「SEO内部施策だけで検索エンジンからの来訪が3億PV増加、社内にSEOノウハウも蓄積/pixivのSEO事例」などの記事でも知られるSEOとグロースハックにおける有名企業。

今日はこの辺のお話聞こうかなーなんて考えていたんですが……

SEOもA/Bテストも実はあまり重要視していない。
一貫したサービス全体最適の考え方

―片桐

実はSEOもA/Bテストも、必要なのは分かっていても本心ではあんまり好きじゃ無いんですよ。

あれって結局「集客」に特化した部分最適であって、サービスはそれ自体がひとつのユーザー体験であるべきっていう僕の信念に合わないんですよね。

え?………へぇ?!

さ、さっそく変な声が出てしまいました。

あれ?好きじゃ無いんですね……い、意外だ。

聞けば、SEOはあくまでHTML上の配置や構造を変更する際の指標として。
A/Bテストを使ったグロースハックはユーザーの入り口となるログイン画面などのみに絞って行っているそうで、サービス全体としてはそこまで重視していないんだとか。

しかし、対ユーザー向けのサービスである以上「集客」にチカラを入れるのは一種当たり前のような気がするんですが……。なぜあえて「重要視していない」ということになっているのでしょう?

ひっじょーーーに、気になりますね。。。

コンセプトを変えた!?一本の投稿が教えてくれた「プロセス」の大切さ

―片桐

以前は僕も「たくさんのイラストがあること」がpixivのコンセプトだと思っていました。

でも、そうやってシリコンバレー的なコンセプト、”大量の情報を処理する”みたいな考え方だとpixivというサービスとかpixivのユーザーにフィットしないんじゃないかと思うようになったんです。

pixivにもかつて『より多くのユーザーとイラストを集めること』に集中していた時期があったそうですが、片桐さんはなんとなく違和感を感じていたんだとか。

そして、ある時サービスコンセプトを大きく変えることになる。。。と。

じゃあ、一体何が方針転換のキッカケとなったんでしょう?

聞いてみると、もぅ泣きそうになるような熱いエピソードをいただくことができました。(ていうか取材陣の一人は実際泣きました)

―片桐

ちょうど「これであってるのかな?」て悩んでた時期に投稿された漫画があったんです。
内容はとある絵師がフとした事から忘れていた「お絵描きは楽しい」という自分の気持ちに気付く。とただそれだけなんですけどね……。

―片桐

僕、これ読んで号泣しちゃったんです。
「ユーザーが求めてるのはコレじゃないか!」
「お絵描きの楽しさを提供できないで何がpixivだ!」と。

片桐さんはこの時、pixivというサービスがユーザーに提供するべき本当の価値を「便利」や「見やすい」などではなく、
「お絵描きが楽しい」というクリエイター視点のものにしていくことを決意。

徹底的にお絵描きの楽しさを感じてもらえるよう、サービスを利用するプロセスを楽しんでもらえるようコンセプトから作り替えていったんだとか。

……………

………今ではpixivの公式キャラクターとして定着したピクシブたん誕生の裏側に

……こんなっ……泣ける話があったなんて…!!

ユーザーに「サービス」という一貫した体験をしてもらうために

―片桐

なにかの機能に部分最適してしまうと、ユーザーがサービスに望んでいる本当の声を聞き逃してしまうんだと思います。

僕は「サービス全体としてのユーザー体験が重要」だと思っているので、どっちのボタンが押されるか?をA/Bテストを繰り返しやって結果を出すよりもっと他にやるべきことがいっぱいあると思います。

な、なるほど。。。

もう…なんか…すみません。

本当に本気になって「ユーザーの望む体験とはなにか?」を考えているからこその言葉の重みに背筋伸びまくりです。

そうか。手法だけ取り入れて“やってるつもり”になっちゃダメですよねぇ……。

あぁ、もうさっき止まった涙がまた流れてきました。格好いいなぁピクシブ…!



泣いたり背筋のばしたりまた泣いたりといろいろやかましい取材陣ですが、そんな僕らに片桐さんはさらに続けてピクシブ社内の様子についても語ってくれました。

シンプルすぎる進捗管理表が語るピクシブ的マネジメント術

―片桐

ピクシブにはいわゆるガントチャートみたなものが無いんですよ。あるのは「やること(TODO)」と「やってること(DOING)」「おわったこと(DONE)」の3種類だけ。

細々と進捗管理するのって結局「管理者にとって便利」ってだけで、実際現場でやるにはこれで充分なんですよね。

うおぉぉぉ・・・これは分かりやすい。

全国のIT系企業マネージャーの皆様!見てますかー!ガントチャートとかメンドクサイですー!これくらいシンプルにやりませんかー!!!


………失礼、取り乱しました。

しかし確かにこれは分かりやすい。分かりやすいんですが、「管理者にとっての利便性」もある程度無いと困りませんかね?

結局管理はしないといけないわけですし…。

―片桐

全員が自分で自分のタスクを管理して、自分で提案できるなら管理なんていりませんよ。

実際、ピクシブには役員会とか無いですしね。

いやー…理屈で言えば、というか理想で言えばそうなんでしょうけども。。。

と、イマイチ腑に落ちていない取材陣でしたが、次に聞いた片桐さんからの言葉で超納得してしまいました。

―片桐

だってディレクターから工数確認をお願いされたエンジニアが「工数を算出するために1営業日お待ちください」ってなんか変じゃないですか?

自分でできると思う日程で、自分でスケジューリングすればいいんですよ。そっちのが早いです。

たしかに!!

なるほど。管理しないマネジメントとは、個人に投げっぱなし体制…ではなく、個人の「できること」にフォーカスした体制ということなんですね。

いや、これ結構メカラウロコです。

そしてさらに、社内教育体制についても片桐さんは取材陣を驚かせてくれます。

社内でプログラミング講座研修?!驚きの社員教育スタイル

―片桐

ピクシブでは新卒研修として、業務ではプログラミングを必要としない総合職(ディレクター/プロデューサー/プランナー他)向けに「プログラミング研修」を行っています。

外部から講師を呼んで、業務時間を使ってオフィスの一角で行なうんです。

えぇ?!総合職の方にですか?

業務上プログラムを書くことの無い人だっていっぱいいるでしょうに。

そ…そんなんやってもコストとリスクばっか高くて割に合わないのでは…?

―片桐

いや、だってプログラミングはこれから覚えておいた方が絶対いいじゃないですか。ピクシブって会社にせっかく入ったからには「いい体験」して出てって欲しいなって思うんですよ。

別にそれを仕事で還元して欲しいなんて全く思ってないですよ。

か、会社が金出して…

平日に業務時間内で勉強させてくれて…

しかもそれを仕事で還元しなくていいから「いい体験」して欲しい…だと…!

嘘だ!!

―片桐

いや、嘘じゃないっすよ。

…………………………………………。

……………………。

そんな馬鹿な。そんな会社が、そんな社長が存在していたなんて…!

いやしかし、なんでまた片桐さんはそんな風に考えられるんでしょう?明らかに会社運営の常識からは外れているにも関わらず、ここまで自信満々なのか。

聞いてみると、返ってきたのはまたまたド肝を抜く発言でした。

会社もまた社員にとっての「楽しむべきプロセス」であるべき

―片桐

会社ですごす時間は、社員にとっては人生の中の一つのプロセス。なのに、業務効率とか管理効率とか、そういう「部分」に最適化したらツマラナイ会社になってしまう。

社員にとって「ここでやる“ものづくり”楽しい!」と思える会社であるためには、社員全員の体験にフォーカスした全体最適が必要だと思うんです。

さて、もはや何度目でしょうか涙を拭うのは。格好良すぎですって片桐さん。

pixivというサービスの中と同じく、ピクシブという会社もまた、そこにいる人間にとって一つのプロセスであり、「楽しい」という体験をするための場所であると。

そこに一本筋が通っているからこそ、思い切った社内制度が生まれ、ユーザーから支持されるサービスが生まれるのかも知れませんね。

まとめとお願いメッセージ

―片桐

Amazonが買い物を楽しくとは思っていないし、Googleも検索を楽しくとは思っていないはず。
でも、だからこそpixivは「サービスを使うプロセスそのもの」を楽しくしていきたいんです。

絵を描くことが楽しいと思い出せるよう、あるいは、ピクシブという会社で仲間と一緒に働いたという思い出を大事にできるようにね。

ドラマチックすぎるラストメッセージ、ありがとうございます!

取材陣が涙し、ガチで転職したいと思ってしまった魅力的なピクシブという会社、そして愛さずにはいられないpixivというサービス。

片桐さんの言葉と雰囲気に共感…つーか感動しちゃった方はぜひ「応援ボタン」をクリック!共感や応援じゃ我慢できないっ!って方は「話を聞きに行く」ボタンをクリックしたってください!


片桐さん、一度会っておくべきスゴイ人でした。。。

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総合職
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プランナー(イベント・グッズ制作) / 人事・広報

ピクシブ株式会社の会社概要

会社名 ピクシブ株式会社(英名 : pixiv Inc.)
代表者 片桐孝憲
設立 2005年7月25日
所在地
151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-23-5 JPR千駄ヶ谷ビル5F
事業内容 インターネットサービス事業
インターネット広告事業
ライセンス&マーチャンダイジング事業

:Find Job !×LIG会社訪問部

撮影/執筆/編集:Find Job !×LIG会社訪問部

中村健太(Find Job !)、永井勇成(LIG)、柳さわすけ(LIG)を中心に結成された特設編集部。普段の仕事から逃げ出すように会社訪問を繰り返す現代の旅人たち。たまに増えたり減ったりする。

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