ネットで見れる企画書!3億3000万円を調達した「nanapiの事業計画書」を公開します。

    
2013/11/26
    

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株式会社nanapiという会社の代表取締役をやっているけんすう(@kensuu)と申します。先日、『nanapi創業時の企画書』を公開しましたが、今回はその第2弾として『事業計画書』を公開します。

3億3000万円の資金調達時に使った、実物の事業計画書です。いまこの資料を見ると、字が細くて、説明が拙いところもあり、かなり反省点があるんですが、当時の自分として頑張って作っていたんだなと思います。

今回の記事の見方

表紙230
今回も前回と同様、前半で各ページをコメント付きでご紹介し、そのあとに完全版をSlideShareで貼り付けています。そして最後に、資金調達の際に担当頂いた、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮さんから、この事業計画の評価ポイントなどを伺ってまとめました。
各スライドは、全てクリックすると拡大版が表示されるので、細かい部分は大きい画像でご覧ください。

【1】会社紹介

会社紹介
事業計画書はストーリーが大事だと思っています。「(Why)どうしてそれをやるのか?」「(How)どのようにそれをやるのか?」「(What)何をやるのか?」が重要です。

しかし、ベンチャー投資の場合は「(Who)誰がやるのか?」もとても大事だと思っています。アイデアには価値はなく、本当にそれが実現できるメンバーなのか?また、もしそのアイデアじゃないことをやる場合にも、最終的に成功するメンバーなのか?というところをベンチャーキャピタルは重視するのではないかと考えていました。

そこで、最初のこのページでは「どういったメンバーがやるのか?」を書いています。

私自身は「ミルクカフェ」や「したらばJBBS」の立ち上げを売却した後、リクルートで事業開発をやっていたりしたので、インターネットサービスの経験があるよ、というところと、技術は楽天のインフラ開発をしていた和田がいるので、サービスが拡大しても、対応できますよ、というところを書いています。また、営業チームが必要だと考えていたのですが、リクルートで営業チームを率いてた宮崎というものもいます、と伝えました。

もちろん、エンジェル投資家の小澤さんもいるので、メンバーの信頼度は低くない、というところを重視して書いています。


【2】背景トレンド

03
当時はたくさんのバーティカルメディアを目指そうと思っていました。バーティカルというのは「特化した」という意味で、「釣り」「ペット」「ゲーム」などなどのテーマに専門特化したメディアを沢山作ろうと考えていたのです。

このスライドで言いたかったのは、ユーザー導線が、それまでの「SEO主体の導線」から、「ソーシャルグラフを通じた、クラスタ単位での口コミ導線」に変わっていきます、という話でした。SEOによる一点集中から、クラスタごとに口コミで広がるサービスがメインになってくるのではないかという仮説です。


【3】ビジネスモデル

04
この時描いていたビジネスモデルは、クラウドソーシングである「nanapiワークス」をつかって、バーティカルメディアを大量に運営し、広告でマネタイズしていこうというものでした。

「nanapiナレッジストレージ」で、ユーザーが何を知りたいかを察知し、それをnanapiワークスで記事を作る。この流れであれば月に数千や1万件の記事もできます、という説明をしていました。

このスライドに書いてある「広告」のその後の状況は、アドネットワーク・アフィリエイトの広告収益は順調なのですが、「バーティカル内のクロスメディアマーケティング広告」収益はいま一つといったところです。


【4】ビジネス詳細

05
このスライドは、前のページの「ビジネスモデル」で説明していた「STEP1?3」を詳しく書いた感じです。

nanapiワークスでは、記事作成のコストをかなり細かく設定しています。1記事を作るにも、「社内から案件依頼する作業に@200円」「案件依頼に対してライターが記事を書いてくれるのに@300?400円」「書かれた記事に対する審査に@30円?100円」というレベルで数字を見ています。

こういった記事の作成についても、「細かい作業にブレイクダウンし、それぞれの単価も見にいくレベルで運用している」と伝えることでエグゼキューション力をアピールしていました。

ただし、このあたりは分業によりそれぞれの負担を減らし、質をあげようと思っていたのですが、簡単に書けるコンテンツばかりになってしまう面がありました。今では、価値ある記事を書く人たちに大きくお支払いして、品質をとにかくあげるほうがいいのでは?と思っていたりもします。


【5】nanapiワークスで獲得したい広告市場

06
狙っている広告市場の規模を説明するスライドです。いわゆる「マジックミドル」という中間規模のテーマの広告市場をターゲットとしていました。

「保険」「住宅」などのヘッド部分の広告市場では、TV・雑誌からネットへの予算のリプレイスが起きていました。ただ、ミドル部分の広告市場では、未だ専門雑誌がメインに使われていました。ネット広告は、アドネットワーク・アフィリエイトが使われる程度だったのですね。

釣り雑誌はたくさんあるけど、インターネット上のメディアは少ないよね、というところから、考えました。


【6】狙うべきミドルジャンルの考え方と初期にとっていく分野

07
このスライドでは、左側でプレディクション(=予測可能な数字の推論)の説明をしていて、どの市場が効率良いか?を算出しています。(実際にはもっと多くの市場を分析していて、ここでは一部を紹介しています。)

一方で、推論だけだとわかるところが少ないので、右側でアクションしないと分からない事の検証結果を説明しています。予測つかないところは、素早くアクションをして、結果を見ることが必要だと思い、バーティカルサイトを3時間程度で実際に立ち上げ、そのPV等を見ることによって、ニーズボリュームを検証しにいっていました。


【7】環境分析

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実際には別紙でも20?30ページほどあったのですが、海外の競合を徹底的に分析して資料化していました。ディマンドメディアの上場前後くらいだったので、情報を手に入れやすい状況でした。

当時は「正直、Yahoo!JAPANさんの参入は怖いな」と思っていましたが、業界が盛り上がること自体はプラスでもあるので、その説明もしています。話題で伸びざかりな業界のほうが、投資家の方にも注目して貰いやすいと思いますし。

この時、グルーポン系サービスが盛り上がっていましたが、こっそりと、メディア周りも盛り上がっていたのです。


【8】ロケットスタートの提供価値・強みについて

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今までのスライドのロジック固めをしたスライドです。

左側で言っている事は、私自身の思いとしても強くあって、“知恵とか知見があるなら発信できる場所があるべきで、発信する事によってお金を貰えるべきだよね”と思っています。

このあたりは全然できていないので反省も多いのですが・・・。


【9】事業展開ステップ

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事業展開ステップとして、3年分のロードマップを書きましたが、広告費の単価とかはイメージでした。

実際の資金調達の場面だと、こういったマイルストーンを出しても「この数字通りに行くんですよね?」という話はされません。それは、投資家側の方も、初期の計画は見えていないことも多いと知っているからです。それよりも、考え方のほうが重要です。予測と違うところを素早く修正する力があるかどうか、を投資家の人は見るんじゃないかなと思っています。

もちろん会社が安定したり上場した後は、株主とのお約束として数字を達成するのが重要です。しかし、スタートアップはまずは「立ち上げる」事が重要なので、その手法が概ね正しいか?などといった点で判断してもらうほうがいいと思います。


【10】年次の中期計画

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中期計画も説明しています。詳細は公開しにくいのですが、「記事数」「メディア数」「ユーザー数」を軸に、期間ごとに売上・コストを出していきました。


【11】今回のラウンドと資本政策

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資本政策はかなり重要です。あとから修正が効かないので、nanapiの場合も小澤さんや専門家の方にアドバイス頂き、がっつり作りました。ちょうど「起業のファイナンス」が出版されたタイミングだったので、それも熟読しました。


nanapiの事業計画書全ページ



担当投資家からのコメント

今回ご紹介したスライドは、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮さんにアドバイスを頂き何度もブラッシュアップしました。最後に、高宮さんが事業計画書において特に重要だとおっしゃっていたポイントをを紹介します。

【担当投資家】株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ、高宮 慎一(@s1kun)

「実は、私もけんすうさんと、2カ月くらいディスカッションしながら一緒に事業計画を作り、一緒にグロービス内の投資委員会を通しにいったという経緯がありました。担当として社内で推す際に、重視したポイントをご紹介したいと思います。」


1.大局観を説明する

今、世の中どんな変化が起きていて、そのことでどんな事業機会が生まれるのか。誰が聞いても大きな変化・チャンスと思える、大局観に立脚したビジネスだというのは大事で、それを説明するのがポイントの1つです。

nanapiの場合、「ソーシャルの勃興でユーザ導線が変化している」、「マジックミドルのバーディカルメディアがぽこっと空いている」、「クラウドソーシング(nanapiワークス)で働き方・対価の貰い方が変わる」などが大局観を表しています。

また、「このチームがどうしてこの事業機会を」のようなストーリーも非常に重要なので、「なんでこの領域をやりたいのか(パッション)」、「この領域にどのような知見をもったチームなのか(チームの必然性)」も織り込むことは効いてくると思います。


2.聞き手の目線に合わせる

誰に自社を売り込みたいかで、事業計画書をどの目線で作るかが変わってきます。例えば、「ユーザ向けに作る時は、プロダクトの説明を中心に」「上場株の投資家向けに作る時は、事業の足元までの実績と将来性を両方を説明」といったようにです。

VC向けの場合、事業について、しかも将来性の観点を重視するのが良いでしょう(我々VCが一番気にするのがそこなのです)。具体的には、足元の業績よりも3年分の事業展開ステップ、競合・類似企業から類推するスケール感のポテンシャルだったりします。


3.ポテンシャルの実現性を説明する

足元の実績よりも、前述の将来性とその実現性に説得力があるかが鍵だと思います。アーリーステージのスタートアップだとなおさらです。具体的には、ビジネス詳細で述べられているオペレーションがきっちり設計されていることであったり、自社の強みになります。

いずれにせよVCの担当は、自社のツボを心得ていますし、これから5年単位での長いパートナーとなります。投資前の段階から、がっちり一緒にやるのがお勧めです。

最後に

なかなか担当投資家のコメント付きで事業計画書が紹介される事もないと思いますので、これから作る方はぜひ参考にしてみて下さい。

余談までにですが、計画はいくら数字をやりくりして作っても、やってみなければ分からないです。なので、「PDCAサイクルを回すのがめっちゃ早いです」と言っていた記憶があります。資料では「エグゼキューション力」をアピールする事を意識してみると良いと思います。

(執筆 古川健介、編集 井出一誠)

■執筆者紹介
株式会社nanapi 代表取締役 古川健介

1981年6月2日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2000年に学生コミュニティであるミルクカフェを立ち上げ、月間1000万pvの大手サイトに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアにしたらばJBBSを事業譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げを担当。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、Howtoサイト「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート(現・株式会社nanapi)代表取締役に就任、現在に至る。

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