転職・求人情報 Find Job ! > 転職ガイド > クリエーターインタビュー:矢野りんさん 【月刊生業】
とにかくモノづくりとPCに目覚めるのは早かったですね。小学生の頃は学校で壁新聞を勝手に発行しちゃったり、ゲームマシンのMSXで遊んでいましたから。そんな私が本格的にWeb制作を生業にしてもいいかも、と考えたのは大学の学園祭のときのこと。当時、美大でCGなどを学んでいたのですが、先生からネット回線を引けるから、何かやってみないかと誘われた。それで当時としては珍しかったネットカフェ的な模擬店をオープンしちゃったんです。内容としてはインターネットの歴史や学園祭のリアルタイムレポートなどを開催しました。美輪明宏さんや妹尾河童さんのインタビュー記事なんかも配信したんですよ。
その時に感じたのが、「なんて簡単におもしろいことができるんだろう!」という感動に近い驚きでしたね。新しいメディア、そしてモノづくりの道具としての可能性に惹かれました。しかも、うれしかったのが学園祭サイトへの反響でした。終わった後も「これすごいね」っていう声を訪問者からメールでもらって、余計にインターネットの可能性を感じたし、その気になっちゃった(笑)。そこからですよ、本格的にWebの世界にのめり込んだのは。
学園祭を契機に、Webに目覚めてからはいろいろ活動しましたよ。中でも今の進路に大きな影響を与えたのが、CG-ARTS協会が主催するCGやマルチメディア部門の学生コンペへの応募。作品は、バーチャル回転寿司みたいなもので、今考えれば稚拙な部分もあるのですが、結果はなんと大賞受賞だった(笑)。マスコミからも注目されてNHKからも取材を受けたんですね。そのときに「在宅映像作家になります!」って発言したら、NHKのスタッフから「ムリ、ムリ」みたいな感じで失笑を買ってしまった(笑)。でも、結果的に今、子育てをしながら在宅で仕事をしていますから、その時の発言はまるっきりのウソではないですよね(笑)。
大学卒業後はプロバイダに就職してWebサイトの制作を担当していましたが、そこで数年勤めた後に、仲間と音楽プロダクションを立ち上げました。そもそもなぜ音楽プロダクションかというと、音楽を制作するには当時ですら、PCでの作業が主だったし、オンラインでのプロモーションもやれるようになって、チャレンジしてみようということでスタートしたんですね。でも、ほどなく結婚して子供もできて子育てに専念することに。
現在は、少し時間もできたので仕事に復帰したのですが、Web制作との両立は難しいので、Webデザインに関する書籍の執筆をはじめ、電子製品情報のWebデザイン戦略の執筆や、最新CMの舞台裏をレポートするライターとして仕事をしています。
今のモノづくりって、まず市場にリサーチをかけ、分析を加えて一定の収益が見込めたら商品やサービスを提供するでしょ。そんなマーティング主導のビジネス・スタイルが主流ですよね。でも、私は基本的に自分がおもしろいと感じるものを伝えたいと考えているんですよ。いくらビジネスとして成り立ったとしても自分がいいと思えるものができなければ、表現する意味が見出せないですしね。「楽しむということ」は、何かを伝える原動力だと思っているから。それがずっと変わらない私の仕事へのスタンスですし、「おもしろい!」とか「楽しい!」っていう感性をこれからも曇らせたくないと思っています。
ただ、子供の出産を境にして、「働く」という意味は大きく変化しましたね。子供は生まれる前までは、自分のために働くというスタンスだったのですが、今は自分のためではなくて、かけがえのない誰かのために働きたいという気持ちが強いですね。これはホントに大きな変化ですよ。そのことで表現方法自体に影響があるかどうかはわかりませんが、子供ために働いているという感覚は悪くはないですよ。けっこう辛いことでも、普通に頑張れたりしますから(笑)。
そういう意味で家族に感謝しています。そしてもうひとつ、感謝しなければいけないのがPC。表現するためにはすごく便利な道具で、これがなければ今の私はたぶんなかったはず。言葉を伝える、絵を描く、デザインを創る、音を創る、さまざまな表現が簡単にできる道具ですから。Webデザインをやりながら、ライターとしても仕事ができる今の環境は、PCなしでは考えられないですからね。
昔のクリエーターや職人は技術を修得するのにすごく時間がかかりました。ところがPCやインターネットの登場によって、職人的な緻密な技がなくても表現が可能になったのは技術の進歩ですね。技術修得の時間は大幅に短縮できるわけですから、クリエーターにとってすごく有難いことです。逆に言うと、いろんなアプリケーションで表現できるわけだから、技術の優劣で勝負する意味が薄れてしまいますよね。
じゃあ、クリエーターに求められるのは何かというと、さっきも言ったように「楽しむ」ことだと感じています。表現って少なからず自分自身の心境が反映されますから。当事者がモノづくりを楽しんでいないと、ホントに伝えたいことができないんじゃないかと思うんですね。自分自身が楽しむからこそ、いろんな発見やアイディアが生まれるんだと、私は考えているし、感じています。
だからクリエーターを目指す方々に伝えたいのは、いつもポジティブシンキングで物事を捉えて欲しいということ。何かを生むというのは苦しい部分も当然ありますが、それ以上につくる喜びをもっていたら、きっと道は拓けるはず。自分を信じて一歩を踏み出していただきたいですね。
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