転職・求人情報 Find Job ! > 転職ガイド > クリエーターインタビュー:長谷川恭久さん 【月刊生業】
Webとの初めての出会いは、趣味がきっかけでした。
高校生の頃に趣味で絵を描いていたのですが、Webを利用すれば世界中に自分の作品を紹介できると考えて独学で覚えました。キャリアステップを図るために始めたのではなく、あくまでも自己表現やコミュニケーションツールとして出会ったわけです。そんな経緯もあったものですから、将来、Webに関わりを持つなんて思ってもいませんでした。
具体的に仕事として捉えるようになったのは、それから数年後のこと。
高校生の時にアメリカに留学して、そのまま現地の大学に進学し、最初は国際関係学を専攻していました。誰かのためにWebサイトを作ったり、ときには仕事として作り始めるようになって次第に「将来は Webの仕事をしよう」と考えるようになりました。アメリカの大学ではいつでも学部変更ができるので、3年を迎えたときに「ビジュアルコミュニケーション学」に変更しました。アートやデザインの歴史を中心に学びながら主に印刷関連の知識を深めていきました。卒業後、友達の紹介を通じてアメリカにあるWebサイト制作も行うマルチメディア関係の会社に就職しました。
その後、2003年に帰国して制作現場にギャップを感じたのは、Webに対する取り組み方。日本とアメリカ、どちらが良いか悪いかではないのですが、アメリカで仕事していた頃は2〜3人のチームで、それぞれがお互いの職域の技術も理解しコミュニケーションを図り、サイトの目的や方向性を確認しつつ制作していました。ところが、当時日本では分業が多く、デザイナーはプログラムのことを知らないし、逆も同じ。お互いの職域のことをあまり干渉しないので、流れ作業的に仕事はできても肝心のコンセンサスが取りづらかったんですね。こうした違いには最初戸惑いを感じました。
アメリカで就職してデザイナーである僕が必然的にプログラミングの勉強をしていなかったら・・・と振り返ると、あのときの経験は非常に重要だったし、それが現在の自分のWebに対する考え方のベースになっているような気がします。
Webは機能性の高いツールです。作り手は、このツール特性を踏まえて単にページデザインがカッコいいというだけでなく、操作性や利便性も含めた「デザイン」を考えなければいけない。そういう意味でもプログラムとデザインは密接な関係があると考えています。
しかし、Webデザインといえば特に昨今フラッシャーばかりが注目されている印象があります。たしかにFlashはWebデザインを語る上でなくてはならない要素ですし、表現においてなくてはならない存在ですが、あくまでもWebデザインの一要素です。そこばかりクローズアップされると、偏った憧れを抱く若い人が増えてしまうのではないかという危惧はありますね。Web制作に必要なそのほかの職域にも光が当たるようにしないと、業界全体の活性化にはつながらないと思います。
僕が書籍や講演、あるいはコンサルティングをする際に言っているのは、Webというツールの特性を踏まえたうえでクリエイトしていく基本的な考え方と技術手法です。せっかくコミュニケーションツールとして大きなポテンシャルをもっていますから、作り手の意識がもっとドライスティックに変化して欲しいという思いを込めて、いろんなメディアを通じて発信し続けています。
日本は技術とノウハウが先行していると思います。これはWebのことのみを指しているのではなく、「生きる」ということにしてもそうです。成功本、自己啓発本、ハウツー本が本当にたくさんあります。でも、表現するうえで一番大切になるのは、技術やノウハウではなく表現者としての「思い」や「情熱」なんですね。例えば、キャリアチョイスのためだけにWebに関わっても表現者としてツラくなるだけだと思います。「いい仕事をしているなぁ」と感じる人には、圧倒的に「熱い」人が多いですよ。それだけ、「Webを良くしたい」「何かを表現したい」という強い思いをもっているからでしょうね。
技術は大切ですが、それは手段として身に付ければいい。クリエーターは技術を競うだけではありません。技術を駆使して「発信したい何か」を伝えるのが仕事。だから、同じ技術を使ってもクリエーターの個性や考え方で表現は変わってしまいます。結局は「人間」が作っている。それが表現だと思うんですね。だから自分自身を磨く努力を忘れないこと。センスも含めたその人のパーソナリティが何よりも大切ですから。
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