求人情報 Find Job ! > 仕事探しガイド > クリエーターインタビュー:林拓也さん 【月刊生業】
じつは明確な意志をもって、この仕事を始めたわけではないんです。そもそものきっかけは、就職した文具メーカーでマルチメディアの担当になってから。文具デザインの仕事に携わりたくて入社をしたのですが、その年にたまたまCGを制作する部署が立ち上がり、そのメンバーとして配属されたんですね。当時はCGが注目され始めていましたが、まだ黎明期だったこともあり、技術を覚えるのも手探り状態でした。誰も教えてくれる人はいなかったので、自分たちでプログラミングを覚えながら、CD-ROMを制作していました。音声、フォント、画像などを組み合わせてソフトをつくるオーサリング技術と出会ったのもこの頃。
文具メーカーで働いたのは、約3年間でした。デジタルコンテンツが社会にかなり浸透してきて、私もクリエーターとして多くの制作会社と付き合いたいという思いもあり転職を決意し、25歳の時にフリーになりました。
フリーで活動するようになってから、あるデジタルメディア系のクリエーターを育成する専門学校から講師をやってもらえないかという打診がありました。そこからですね、クリエーターとインストラクターを兼務しながら活動し始めたのは。今はFlashコンテンツの受注制作とアドビ認定インストラクターとして複数のスクールで教えています。
クリエーターとインストラクターという異なる2つの職種が、僕の中では不思議とバランスがとれています。クリエーターはクライアントやエンドユーザーの要望やニーズを汲み取りながら表現していく行為で、いわばアウトプットの要素が強い仕事です。
一方、インストラクターは自分の知識を整理し、受講者に伝達・指導する仕事。
例えば、最新技術やアプリケーションのバージョンアップが発売された場合、何が旧バージョンと異なるのか? これを利用すれば何ができるのか? など相手に伝えるために、自分の知識としてインプットをしなければなりません。これが、知識の整理作業につながるんです。
この2つの作業はどちらとも重要と考えていて、仕事を続けていくうえでバランスをとることに役立っているように思います。
ただ、どちらの仕事をする場合でも、「相手にとってベストとは何かを考える」という基本スタンスは変わりません。
そして制作するWebサイトや伝える情報が「最適」なのかどうかを自分なりに検証することが大切だと考えています。
例えば、クライアントから「Flashを使ったサイトを制作して欲しい」という要望を受けますが、目的によってはFlashを使う必要がない場合もあると思うんです。そんな時は「Flashを使わないほうがいい」ときちんと提案します。たとえ僕が仕事を受注できないことになったとしても、それが最適だと思いますし、プロである以上クライアントにはない視点で物事を捉えて、提案することが必要だと考えています。
「表現」を競うのもクリエーターの仕事ですが、もっと大きな視野でコンサルティング的な意見をすることも、クリエーターに求められていることだと思います。
ゆえに、どうしたらクライアントのためになるのか、エンドユーザーのメリットにつながるのかという考え方をしますね。そんな仕事に対する姿勢は、インストラクターの時も同じです。受講者のために何を伝えるべきなのかを一番注意しています。ただ単にトレンドや情報を伝えるのではなく、その情報の背景や設計思想などを分析して、その有効的な使い方まで伝えることがインストラクターという仕事のクオリティだと考えています。
まず思うところは「客観的な目を養うこと」が欠かせないと思います。インストラクターとして多くの人と接してきましたので、技術系のクリエーターが陥りやすい落とし穴をいくつも見てきました。それは自分を過信するということ。周りが素人ばかりだと、「自分はスゴイ」と勘違いしてしまうわけです。
そうなると自ら勉強しようという意欲が低下してスキルが向上しないケースがよくあります。スポーツ選手でも海を越えて世界の舞台で活躍している人は、「まだまだ自分は何かが足りない」と常にチャレンジしているように、クリエーターもまた同じだと思います。
「広い視野を持つこと」と同時に「自分を客観的に見る目は養うこと」を意識するだけでも1年後、2年後のスタンスが変わってくるように思います。
こうした客観性は自分のスキルを伸ばすだけでなく、仕事をするうえでもきっと役に立つはずです。
モノ作りには多くの人間が介在します。そんな時に、相手の立場を考えることはもちろん、目的や役割を客観的に理解して仕事を遂行できるクリエーターになるためにも、ぜひ適切に自分を判断できる客観性を身につけて欲しいと思います。
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