「秘書」という仕事は映画やテレビドラマなどで登場することも多く、華やかなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。中には秘書として一度働いてみたいという方もいらっしゃるかと思います。 ここでは秘書の仕事内容だけでなく秘書になるための方法や仕事のやりがい、身につくスキルを見ていきます。秘書に向いている方もご紹介するので、自分が当てはまっているかどうかもぜひチェックしてみてください。
秘書とは企業の役員や政治家、医師、弁護士などのもとで、彼らの仕事がスムーズに進むようにサポートする仕事です。秘書はサポートする相手によって役員秘書・議員秘書・医療秘書・弁護士秘書などさまざまな種類があります。それぞれ仕事内容や関わる人が多少異なりますが、いずれも「彼らの仕事がスムーズに進むようにサポートする」という仕事の本質は変わりません。 次に、具体的な秘書の仕事内容を大きく5つに分けて見ていきましょう。
秘書の主な仕事の1つに上司のスケジュール管理が挙げられます。スケジュール管理といっても単に上司のスケジュールを把握しているだけでは不十分で、時には秘書自らが日程を考えなくてはなりません。具体的には以下のようなシーンが考えられます。 来客のアポイントメント 切符や宿泊施設などの手配 レストランの予約 会議や出張 講演会や学会 社内外問わずさまざまな人と調整を行うため、調整力や交渉力が求められる仕事です。また、上司がスムーズに業務を行えるように日程を考えるためには、優先順位を決めて日程を立てる判断力も大切になります。
来客時の案内やお茶出し、応接室の準備などを行います。場合によっては資料や手土産の準備が必要となることもあるでしょう。また、時には同席を求められることもあります。秘書の対応次第で訪問者の自社に対するイメージを左右することもあるため、正しいマナーで対応することが大切です。
上司あてに届いた大量の電話やメールを確認し、必要なものとそうでないものに選別したうえで上司に取り次いだり、報告したりします。上司の代わりに電話に対応したり、メールに返信したりすることもあるため、相手や状況に合わせて柔軟に対応できるコミュニケーション能力が重要です。
秘書は主に以下のような文書を作成し、管理します。もちろん文章力や日本語力は大切ですが、社外文書を作成する際は社会人としてのビジネスマナーが必須です。 会議や会合、商談に必要な資料 回覧文書、報告書などの社内文書 お礼状や案内状、依頼状、詫び状、弔慰状、見舞状などの社外文書
情報収集も秘書の大切な業務の1つです。上司に依頼されたものだけでなく、自分で新聞やインターネットから必要な情報を取捨選択し、相手に伝えます。上司に役立つ情報、特に日々変化するタイムリーな情報や取引先などの情報は相手のサポートにつながります。
秘書がサポートする対象は企業の役員や政治家、医師、弁護士などさまざまです。そのため、秘書の就職先としては民間企業のほかにも医療機関や教育機関、法律事務所など幅広い選択肢があります。 秘書になるうえで特別に必要な資格はありませんが、新卒採用はほとんどないのが現状です。これはなぜかというと、秘書という仕事をしていくためには社会人としてのビジネスマナーが必須だからです。 そのため、他の部署で何年か社会人としての経験を積んでから配属されるパターンか、転職するパターンが一般的です。事務系職種はもちろんのこと、販売・接客業から秘書に転身する方も多いようです。 次に、秘書になるうえで役立つ資格を3つご紹介いたします。前述のとおり必ずしも必要な資格ではありませんが、取得しておけば就職する際に有利に働くでしょう。
秘書技能検定とは、社会人として必要となる基本的な知識を問題として出題している試験です。文部科学省が後援しているビジネス系検定で、「公益財団法人 実務技能検定協会」が実施しています。1級・準1級・2級・3級と分かれており、1級と準1級では二次試験(面接試験)が行われます。秘書以外にも一般的なビジネスパーソンや学生がたくさん受験している試験です。
CBS(国際秘書)検定はグローバルな秘書になりたい人のための資格で、外資系企業や海外の取引先が多い企業の秘書として働きたい人におすすめの資格です。なお、CBSとは「Certified Bilingual Secretary」の略で、「認定バイリンガル秘書」という意味です。CBS(国際秘書)検定は「一般社団法人 日本秘書協会」という団体が実施しています。専門的な知識が問われる難易度の高い試験ですが、その分合格すれば高い評価を得られるでしょう。
CBS(国際秘書)検定と同様、外資系企業や海外の取引先が多い企業の秘書として働きたい人はTOEICなど英語力をアピールできる資格も有効です。また、そういった企業でなくても英語を使う機会があるかもしれません。海外からの来客や海外出張などの際、英語を使った挨拶や簡単な会話ができれば重宝されるでしょう。
秘書にはどんなやりがいや身につくスキルがあるのでしょうか。順番に見ていきましょう。
秘書のやりがいを3つご紹介いたします。
秘書は企業の役員や政治家、医師、弁護士など、各界の大物のもとで働くことになります。これは他の職種では得られない経験です。自分の仕事によってサポート相手との信頼関係を築けた時には大きな達成感を得られるでしょう。
秘書は来客対応のほか、会議やパーティーに同席するなど社外の人と関わる機会が多くあります。秘書の対応次第で自社のイメージを左右することもあるため、それらは気の抜けない大変な業務です。 しかし、もし秘書として良い対応ができれば自社に対するイメージがアップするだけでなく、秘書自身が直接お褒めの言葉をもらえることもあります。このような社外の人からの評価は秘書としてのモチベーションアップにもつながるでしょう。
秘書は社内外問わず幅広い人々と交流する機会があります。会議やパーティーなどに同席する際は多くの人の名前や役職などを覚えておかなければなりませんが、多くの人と接することでさまざまな刺激を受けることができるでしょう。
次に秘書として身につくスキルを4つご紹介いたします。
秘書は社内外問わず人と接する機会が多い仕事です。相手や状況などによってそれに応じた対応を求められるため、秘書として経験を積んでいけばコミュニケーション能力に磨きをかけることができます。
秘書という仕事はもともと社会人として最低限のビジネスマナーが求められますが、来客・電話・メール対応や文書作成といったさまざまな業務をこなし、各業界のトップクラスの人たちと接していくうちにより高度なビジネスマナーが身につきます。
秘書がいくらしっかりと仕事をこなしていても、スケジュールの急な変更や予定外の来客など想定外の事態は避けられません。上司から急に難しい仕事を頼まれることもあるでしょう。そのような想定外の事態に遭遇しても、冷静に対処していけば自然に臨機応変な対応力が身につきます。
秘書は社内外向けの文書や会議用の資料などの作成も重要な仕事の1つです。WordやExcelなどで文書や資料を作成していればそれらのスキルが自然に身につきます。
秘書に向いているのは以下のような人です。
秘書とは上司の仕事がスムーズに進むようにサポートする仕事です。そのため、上司から言われなくても事前に動けるような、細やかな気配りができる人は秘書として重宝されるでしょう。
秘書は主役として仕事をするわけではなく、いわば上司のサポート役ともいえる仕事です。そのため、秘書になる人は主役になるよりも他人をサポートするのが好きな人が多いようです。
これまで見てきたように、秘書の仕事内容は多岐にわたります。そのため日々接する情報量も非常に多く、優先順位を決めてテキパキと処理していかなくてはなりません。そういった意味で、秘書は情報処理能力が高い人におすすめの仕事です。
外資系企業はもちろんですが、国内でも海外の取引先を持つ企業や海外へ展開する企業が増えてきています。秘書として海外の人と接する機会もあるでしょう。その際に外国語で挨拶や簡単な会話ができれば大いに役立ちます。よって、秘書は自分の語学力を活かしたい人におすすめです。
各業界のトップクラスの人たちにとって、秘書はなくてはならない存在です。秘書として働けば他の一般的な事務職にはない貴重な経験ができますし、秘書として身につけたさまざまなスキルは次の仕事に活かすことができます。 また、より高い役職者の秘書として昇格したり、よりよい環境の職場に転職したり、キャリアアップの道も複数存在します。スキルアップを目指したい人、重役をサポートすることにやりがいを感じる人、語学力を活かしたい人はぜひ秘書に挑戦してみてください。