「“お金がない”というイイワケをなくす」 家入一真が語る、クラウドファンディングのこれからについて

株式会社CAMPFIRE
代表取締役 家入一真さん

Web業界の方なら知らない人はいないはず「CAMPFIRE」。米国ではマーケットが拡大しつつあったものの、日本ではクラウドファンディングというカルチャーは、ほぼ誰も知りませんでした。2011年に「CAMPFIRE」が彗星のごとく誕生し、クラウドファンディングに光があたるようになってから5年。「CAMPFIRE」の仕掛け人のことは皆さんもご存知の通り、paperboy&co.の創業者であり、BASEの共同創業者であり、あらゆる飲食事業をも手がけた家入一真さんであります!お会いできるなんて、こりゃなんてラッキー!

取材場所に赴くと、そこはもともとBASE社のオフィスがあった場所でした!
(現在BASE社はここからほんの近くの場所に移転されています)

足を踏み入れると、すぐそこに打ち合わせ中の家入さんが。

すみませんが少しだけお待ちください…とやけに腰の低い家入さん。

写真が苦手だそうで、ご自身の書籍で顔を隠しておられました。

にしても、やたらと面白い空間。なんで偉人の本があるんだ…

ここは、Skyland VenturesとEast Venturesが共同で開設した「#HiveShibuya」というコワーキングスペース。打ち合わせなどでよく利用されるそうです。
ちなみにオフィスはこのビルの上の階にあります。

「社員は、いろんなとこで散らばって仕事していますよ」と、のちに家入さんが案内してくださいました。

「えーっと、たとえばこことか(家入さん)」

外・・・wwww

ときどき、気分転換に駐車場で作業しているメンバーもいますよ、と家入さん。

ちなみにCAMPFIREは最近一気にメンバーが増えたので、
もうちょっとでオフィス移転するそうな。

意義高いもの、志高いもの、カッコイイものじゃなくていい。

「CAMPFIRE」ができて5年目になりますよね。もうすっかり、クラウドファンディングっていう言葉が根付いたように思います。

家入

そうですね。「CAMPFIRE」を多くの方々が震災復興支援に役立ててくださり、それが大きなきっかけになったように思います。

そう、ちょうど東日本大震災が発生した2011年に、「CAMPFIRE」が誕生しました。クラウドファンディングという新しい仕組みに注目した人々が、寄付活動や支援活動といった復興支援に「CAMPFIRE」を利用してくれたというわけです。

家入

「CAMPFIRE」を立ち上げた際は、音楽やアート、ファッションや映画などに携わるクリエイターの支援をコンセプトに掲げていました。しかし、震災をきっかけに、図らずも「CAMPFIRE」の存在意義の拡大解釈をすることができました。もっとやれることはたくさんあるんだと。

そうですね。現在も、熊本地震の復興支援のプロジェクトや、地域活性化に関するプロジェクトなども進められていますね。

こうした地域活性を目的にしたプロジェクト、たくさんあります。
ちなみにサービスの成長スピードは、想定通りですか?

家入

いえ、正直なところ、もっと急激に浸透するかと当初は思っていました。課題はいくつもありますが、もっと気軽に、誰もが支援を募れるような空気を作らなければならないなと思っています。今はどこか、社会貢献性が高いものじゃなきゃ、とか、かっこいいビジョンあるビジネスモデルを用意しなきゃ、とか、そんなイメージがありませんか?でも全然そんなことはないんですよ。そこをもっと、伝えていきたい。

確かに…少しばかり敷居が高い印象はあります。でも、アメリカの「Kickstarter」というクラウドファンディングでは、そこにはホントに、クスッと笑ってしまうようなプロジェクトがたくさんあるのだとか。「支援してくれたら、あなたの名前を叫びながらポテトサラダを作ります、ってのもあったんですよね(笑)」と家入さん。なにそれウケる…!

「結婚資金ください」も全然アリ。成功事例もあります。

家入

で、_CAMPFIREメンバーの中で、ちょこちょこプロジェクトを企画しています。「こんなプロジェクト、もっと増えたらいいねー」って言いながら。たとえば先日ニュースになった、インドカレー屋さんの給与未払い問題がありましたよね。これみてすぐ「彼らのお給料、クラウドファンディングで集められないかなあ」という話になって、チームを組みました。

ほほほほーーーう!なるほど!「僕らは一日中ネットニュースとかみているので、これうちで解決できないかな?、ってすぐ考えちゃうんですよ」と家入さん。

家入

あ、あとうちに以前いたスタッフで、身長が高いことをコンプレックスに感じていた女の子がいたんですが、彼女はそのコンプレックスを逆手にとって、「身長が高い女性が好きなフェチもいるんじゃねえか」と面白いプロジェクトを始めました。

これまたウケる…!素晴らしい!

家入

これはスタッフじゃないけど、僕の友人にホームレスの芸人がいるんですね。彼の結婚式費用も、クラウドファンディングで集めました。

そして結婚式は、投資してくれた方々を招き、なんと「花やしき」を貸し切って行われたとか。知らない人ばかりが集まった結婚式。だけど、とても温かかい祝福ムードに包まれていたそうです。素敵。

家入

「今週末のホームパーティー資金5万円集めます」でもいいと思うし、「個展したいから3万円募ります」でもいいし、「婚活費用を集めたい」でもいいと思うんですよね。法律に触れるものじゃなければ(笑)。なにも高尚なビジョンや夢、ビジネスモデルがなくてもいい。個人が「これをやりたい!」と思った時に、カジュアルにお金を集められる手段として定着したらいいな、と思っているんです。

そういえば、こんなのもありました。
またLGBTの方々、鬱などの経験を持つ方々によるプロジェクトも多いとか。

家入

弱さを含めて、自分自身をさらけ出して、これがしたい、と声を上げられる場所。クラウドファンディングは、そうあるべきだと思っています。そういう人たちが使えないなら、何のためのクラウドファンディングなんだ、と思います。

なんだかクラウドファンディングのイメージが、どんどん変わってきました。私にもできるかな、なんて取材者も思ってみたり…

おじいちゃんの挑戦プロジェクトにも、相談に乗っています。

家入

そう、相談はたくさんありますよ。何かしたいんだけど、というざっくりとした相談から、「こんな使い方してもいいかな」「こういう商品つくれるでしょうか」などなど。

聞けば、おじいちゃんからの相談もあるとか!びっくり!「引退して俺たち2人で蕎麦屋が作りたいんだ」という相談だったとか。また、家族全員で、家業に関する相談をしにくるケースもあるのだそうです。てかそれ、もはや事業コンサル…

家入

そうなんです(笑)。アメリカではクラウドファンディング専門のコンサルタントがいるようですが、日本はまだそれだけを生業に食べていけるほどの市場はありません。今はとにかく我々が、ひとつひとつ相談にのって、プロジェクトへと導いていくフェーズですね。

とはいえ都内のCAMPFIREメンバーだけではすべての相談に乗るのは難しい…というわけで、「CAMPFIRE×LOCAL.」という仕組みも広がりつつあります。

CAMPFIREに共感するパートナーたちが、今全国に続々と増えているとか。現地で説明会をやったり、クラウドファンディングとは何か?を一人一人に説明して差し上げたり。パートナーたちのサポートにより、各地でいま、様々なプロジェクトが産声を上げているそうです。

家入

でも、最近までは相談の受付はしていなかったんです。あくまでもCAMPFIREはプラットフォームで、私たちは何も口出しせず、利用者の方々に委ねようと考えていました。でも、ここ半年くらいで方向性を変えました。このままじゃ、ダメだなって。私たちも一緒になってプロジェクトを作って、もっとクラウドファンディングの世界を広げていかなきゃいけないな、と思ったんです。

CAMPFIREというプラットフォームに広がる、たくさんの小さな物語。これをもっと増やして、ロールモデル、パターンを増やして、これまで声を上げられなかった人たちに「わたしにも、僕にもできるかもしれない」と思ってもらいたい、家入さんはそう語ります。

「お金がないというイイワケを、この世界から無くしたい」

家入

「こういうことやりたいけど、お金がないからやれない」ということって、本当に多いと思うんです。だけど今は、クラウドファンディング、CAMPFIREがある。僕は「お金がない」というイイワケを、この世界から無くしていきたいんです。だからまず、CAMPFIREで声を上げてほしい。

「実際にお金が集まるかどうかはわからない。でも、少なくとも声を上げることはできる。どれだけ支援者が少なくとも、フォロワーが少なくとも、誰かに声を届けることはできる」そう、家入さんは続けます。また、仲間ができるかもしれないし、お金とはまた別の支援をしてくれる人が現れるかもしれないという点も「声を上げてほしい」理由なのだとか。

家入

インターネットが生まれたことで、声を上げたくても上げられなかった人たちが、小規模であっても声を上げられるようになりました。そういった声を拾い上げて、拡散して、お金が集まる仕組みを作りたい、これまで僕がやってきたことは、すべてその気持ちがベースにあります。CAMPFIREもBASEも、根底にある気持ちは同じです。

貧しかった幼少期や、いじめにあい、登校拒否になっていた自身の経験が、原点にあると家入さんは言います。

家入

コミュ障なまま10代を過ごして、何回か就職したけど、周囲とうまくやれなくて、うまくいかず(笑)。それで仕方なく作った会社がpaperboy&co.。その頃から今に至るまで、特に野望とかビジョンとかはないんです。ただ、嘘くさい言葉だけど、ちょっとでも社会を良くしたい、って気持ちはあります。

いじめにあっている人、貧しい人、少数派の人たち…自分が同じ境遇だったからこそ、自分に今、彼らになにができるだろうと考え続けるひと。それが、家入さんというひとです。

家入

全部、今やっていることは、人生の延長線上にあるような気がします。夢とかほしいモノとかはなくって、ただ今日できること、明日できること、それをやり続けてきただけです。

「インターネットの人」は意外と少なめ、チームCAMPFIRE。

家入

そんなわけで、僕はアツくビジョンとか語ったりもできないんですよね。だからカリスマ経営者のひとたちに会うと、ちょっと劣等感感じます(笑)。僕ってある意味、からっぽなんです。

「こっちへ行くぞ!」と経営者が旗を振り、それに社員がついていく。という組織ではないようです、CAMPFIRE。「あっちいく?いやこっちいこうよ」とチーム皆で話し合って「あ、やっぱり行ってよかったね」と皆で喜び合うのがCAMPFIRE。

家入

新しいメンバーが入るたびに、CAMPFIREの色が変わっていきます。赤だった組織に黄色がまざって、次の日には緑になる、みたいな。その変化が楽しいんですよね。

出版社出身の人、音楽業界出身の人、製造業出身の人、普段はDJやっている人…CAMPFIREを作るのは、インターネットな人だけじゃないそうです。

左の女性はDJでもあるとか。かっこいい。

照れておられます。エンジニアさんです。

この方はカメラに一切動じることなく、ひたすたらに集中しておられました。

家入

新しいメンバーが入ると、会社の雰囲気もかわるんです。最近まではずっと、静かなおっとりしたタイプのメンバーばっかりだったんだけど、最近体育会系のウェイウェイしてるチャラい営業の兄ちゃんが入って(笑)。楽しいですよ。彼が楽しいから、みんなクスクス笑っています。

こちらが噂のウェイウェイさん。

営業だしジャケット着なきゃだよねえ、とあわせて袖を通す様子に、周囲の方々もクスクス。
いろんなバックグラウンドがあるメンバーの共通点を、あえていうなら?と家入さんに問いかけてみると、こんな答えが返ってきました。

家入

やさしいひと、ですね。悪口いわないひと、意地悪しないひと、ウソつかないひとかな。

なんだか、よくわかる気がします。皆さん、CAMPFIREに注いだ家入さんの想いを自分なりに汲み取って、知らない誰かを応援するために入社してきたんですもんね。

近いうちにスタートしそう。CAMPFIREの音楽事業。

家入

けっこう、大手音楽レーベルで働いてたメンバーや、映画関連会社で働いてたメンバーも入社してきてくれているんです。その理由は、音楽業界や映画業界の、既存の仕組みに限界を感じたからだと思います。

たとえば音楽業界。この業界はもはや一部のヒットアーティストの稼ぎで他のアーティストをなんとか抱えている、という構図。これから花咲く卵たちにチャンスが巡ってくることは非常に少ないのだそう。一方、CAMPFIREではこんな傾向が…

家入

CAMPFIREのプロジェクトは「ミュージックビデオ作りたい」「CDを作りたい」といったものが非常に多かいんですね。で、それぞれに固定ファンがついていたりするので、プロジェクトもサクセスしやすいんです。この流れを、もっと加速させたいなと思い、私たちはこれから音楽事業をスタートさせるつもりです。

音楽事業!まさかの展開。

家入

「念願のCDが作れた!」となっても、CAMPFIREのいちプロジェクトだと、打ち上げ花火的に一瞬盛り上がって終わってしまいますよね。でも「よかったね、おめでとう」で終わるのではもったいないと思うんです。私たちチームがより深く関わることで、アーティストの活動を継続支援したいと考えています。

現在、音楽事業の具体的な構想は、プロジェクトチームで練り上げているところだとか。こんな風に、新しい仕組みを作っていける無限の可能性に、音楽・映画業界出身者の方は魅力を感じているんですね、きっと。

家入

まあ、実際はとても泥臭いですけどね。ひたすら販路を探したり、工場と掛け合ったり。ネット企業っぽくないかも(笑)。

「いいね!」を押すように気軽に支援できる仕組みを。

それにしても、今日、クラウドファンディングのイメージが、本当に変わりました。ちなみに今後の課題はありますか?

家入

より多彩なプロジェクトを増やしていくことと同時に、いかにこのプラットフォームへ訪れる「リピーター」を増やせるかが課題です。わざわざCAMPFIREに毎日訪問して、「今日は誰を支援しよっかなぁ」なんて考えるひとは、正直ほとんどいません。大抵は「友人がプロジェクトをやってるから支援しよう」というのがきっかけなので、そのプロジェクトが終わったら、離れてしまうんですよね。

なるほど。確かに取材者も、友人がプロジェクトで資金を募っている時には訪問したけれど、それ以降、定期的に見ているかというとそうではありません。

家入

そうなんです。でも、CAMPFIREって、プラットフォームでありながら、一方でとても面白い「メディア」だと思うんです。全国のひとびとの挑戦の物語が集まっているメディアと言えると思うんです。ですから消費者側の気持ちに立って、サービスリニューアルをしていかなきゃいけないな、と考えているところですね。

確かに今日お話を聞いていて、思いました。CAMPFIREはひとつひとつのプロジェクトが、とても素敵な挑戦の物語。ひとつひとつ読んでいるだけで、勇気をもらえるし、クスリと笑える。「私には何ができるだろう」って、前向きになれます。

SNSで「いいね!」を押すように。気軽に読み、気軽に支援できるような仕組みができれば、確かにクラウドファンディングのマーケットは、もっともっと広がっていきそうですね。

家入

日々面白いプロジェクトが立ち上がっているのに、私たちはまだそれを社会に対して伝え切れていません。売り手と買い手、つまりプロジェクト発信者と投資者とをマッチングさせることが、私たちがいまやるべきことだと思っています。

それはとても楽しみです! 私もなにかできるかなー。

今日はどうもありがとうございました!

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Webエンジニア

会社名 株式会社CAMPFIRE
代表者 家入 一真(代表取締役)
設立 2011年1月
所在地
150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-19-11 道玄坂セピアビル 4F
事業内容 クラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」の企画・開発・運営
運営サービス クラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE
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