論理だけじゃダメ。賢いだけじゃダメ。イタンジはクレイジーに生きる。

イタンジ株式会社
代表取締役CEO 伊藤嘉盛さん&取締役執行役員CTO 横澤佑輔さん

さて今回は、なにやら最近不動産業界をざわつかせているというイタンジ株式会社さんへと行ってまいりました!インターネット不動産屋「nomad」という新しい概念のサービスや、「ぶっかくん」・「追客くん」といった機械学習技術を駆使した不動産事業者向けのサービスを世に送り出しているイタンジ社は、デジタル化が遅れていると言われている不動産業界において、まさに社名のとおり「異端児」なのであります。
きっと面白い人たちなんだろうな…と想像を膨らませながら、いざオフィスへ!

イタンジさんのオフィスがあるのは、麻布十番。
六本木通りを飯倉交差点方面にちょっとだけ登り、細道を右折した場所にあります。なんかすごく、閑静な雰囲気です。

オフィスに案内していただくと、5つのコトバが目に飛び込んできました。

すぐ来てくださったCEOの伊藤さんとCTOの横澤さんに「これってなんですか?」ときいてみると、これはイタンジさんが大切にしている「行動指針」で、最近社員皆で話し合い、導き出したのだとか。

「Be The FIRST PENGUIN」
シリコンバレーでもよく言われるコトバ。群れの中の一匹が氷水にとびこんでから、仲間たちが次々ととびこむんですって。誰より先に、リスクを恐れず行動してみせる。そんな想いが注がれています。

「Is There a VALUE?」
ふむふむ。大切です。

「FAST-MOVER Advantage」
スピードが優位性に直結する、なるほどほんとにそうですね。

「OUTPUT Your Idea」
イタンジでは誰も意見することを躊躇しないそう。経営陣の意見に対してもヨユーでNOって言えるひとばかり。イエスマン不在です。

「CRAZY Enough?」
フツーのことをやったって優位性なんて保てない。常にクレイジー、異端であれ。まさしくイタンジさんらしいコトバ!

イタンジのなかは、やっぱり異端児だらけ

それにしても「イタンジ」って社名、面白いですよね。異端児な社員さんが多そう(笑)。

ー横澤

実際、異端かもしれません。うちって何故か変なキャリアの人が多いんです。スタートアップとか大手ベンチャーとかって、最近ではキラキラした経歴の人多いのに。

えー意外!キラキラしたイメージ、勝手に抱いておりました。

ー横澤

たとえば、うちのリードエンジニアは中卒です。フリーターやってた時期があるエンジニアもいますし。ちなみに私も、高校卒業後は音楽に没頭していて、大学には行っていません。学歴って意味では、全然キラキラしてないです。

ほう!でもよくよく聞いてみると、フリーター経験のあるエンジニアさんは、フリーター時期を経て単身渡米、むこうの大学でコンピューターサイエンスを勉強し、技術を身につけたんだとか。横澤さんも音楽の道を辞めた後、専門学校で技術を学び、努力と経験を重ねて今に至るのだそう。決意や努力、未来を自分で切り開く半端ないパワーが、伝わってきます。

ー伊藤

不動産業界でイノベーションを起こすには「賢い」だけではダメなんです。業界の矛盾や不正、不便さについては皆分かっているし、それが何故起きているかも明らか。それでも変えられないでいるわけです。論理でたどりつく手法でなんとかなるなら、不動産業界はとっくの昔に良くなっているはずですよね。

正しくやれば正しくモノが動く、そんな業界もあるでしょう。でも、不動産業界はそうはいかないんです、と伊藤さんは語ります。

ー伊藤

論理にもとづく手法にこだわる「賢い」だけの人じゃ、たぶん諦めちゃうかもしれませんね。それじゃ何も変わらないから。え、そんなことやっちゃうの?え、そんなとこに飛び込んじゃうの?って、周囲を驚かせるほどの行動力や発想、既成概念に囚われないクレイジーさがないと。だから、普通とは違う選択をしてきたちょっと「変」な人が、ウチの仕事を気に入ってくれているのかなと思います。

ちなみにイタンジエンジニアの仕事スタイルは「超リーン」。スーツを着込み、オフィスを飛び出し、不動産屋さんの業務を観察しに行ったり、自らユーザーインタビューを行ったりすることは珍しくないんだとか。課題を見つけたら即サービス企画や機能改善に動き、そしてまた反応を見に現場へ赴く…の繰り返し。エンジニアさんがそこまでするんだ…。

ー横澤

そうですね。でも皆、それが特別なことだとは思ってないみたいです。「エンジニアの仕事はここまで」という固まった考えが良い意味で薄いのでしょう。行動的ですし、やっぱり少しクレイジーなんだと思います。

クレイジーじゃなきゃ改革不可能…不動産業界の巨大な課題。

ちなみに業界の課題について少し触れておられましたが、具体的に教えていただけますか?

ー横澤

まずは情報の非対称性ですね。物件の囲い込みを行い、情報露出を不正に操作する業者がいたり、消費者が望まない物件を押し付ける業者がいたり…そうした不正が一部で明らかに行われていますが、消費者はそんなことは全くわからないわけです。殆どの業者はまっとうに仕事をしていますが、その違いは消費者からじゃわかりませんよね。

情報流通の在り方を変えていかない限り、この状況は続き、業界イメージも下がる一方だろう、と横澤さんは言います。

ー伊藤

ですから情報流通構造を変革し、情報の非対称性をなくすことで、まっとうに事業をしている業者がちゃんとビジネスを発展させられる世界、消費者がいい取引を行なえる世界を作っていきたい。私たちはそれを目指しています。

情報流通のあり方を変え、不動産企業の業務効率化を実現ことで、不動産業界の問題のひとつ「取引コストが高すぎる」点も改善でき、業界はより活性化するだろう、と伊藤さんは言います。

ー伊藤

例えば留学生なんかは、とても家探しに際して苦労しています。でも仮に情報がより手に入れやすく、取引コストが安くなれば、情報やサービスを今まで以上に広く公平に行き渡らせることができると思うんです。

しかし、あらゆる問題を解決する上で最大のネックとなるものがあります。それは、皆さんもご存知「不動産業界のデジタル化の遅れ」。業務のメインツールが今でも電話&FAXという不動産業界は、他業界と比べて相当な遅れをとっています。

ー横澤

ちなみに大手企業は巨額の投資ができるのでデジタル化が進められていますが、不動産業界の8割以上を占める小資本かつ従業員数数名の「街の不動産屋さん」は、そうはいきません。業界内でも相当な格差が生まれています。

不動産業界における業務は、基本的に「情報の交換」で成り立っています。片方がデジタル化が進んでいても、もう片方がFAXしか持っていないのでは取引がうまく進まない上、情報共有スピードも遅延していきます。

そうなると、デジタル化が進んでいない小規模業者はどんどん遅れをとり、大手企業が勝ち続け、小規模業者は廃業に追い込まれていくという流れができていってしまう…なるほど想像ができます。

ー伊藤

私たちはこうした「悪循環」に変化をもたらし、不動産関連企業すべてが上向き適正なビジネスが営めるような「エコシステム」を作り上げていきたい。当社が提供するプロダクトはすべて、その「エコシステム」を実現するためのインフラ整備を目的としているんです。

インフラを整備し、悪循環から「エコシステム」実現へ。

なるほど、インフラですか。「ぶっかくん」や「追客くん」もインフラのひとつなんですね。

こちらが「ぶっかくん」。

これは物件管理会社向けのシステムで、自動応答で物件空き情報を提供できるシステム。これまでずっと仲介会社は、その都度、物件管理会社に電話などで最新の空き状況の問い合せをしていたのですが、「ぶっかくん」を導入することでその問い合せ対応に忙殺される手間が一気に省け、またリアルタイムに正確な情報を共有することができるようになるんです。

ー伊藤

導入いただいている企業からは、非常に良い反応を頂いています。たとえばある大手企業様では、毎年3月の繁忙期には1日15000件もの問い合せ電話に対応し、毎日終電帰りの日々だったそうなのですが、今は定時で帰宅できるようになったそうです。しかも「作業」に追われることがなくなり、業務の質向上に力を注げるようになったと。嬉しいですね。

さてお次は「追客くん」。

「追客くん」とは、仲介会社など不動産店舗向けのシステム。物件を探している顧客に対して物件情報を自動でメール配信するシステムで、さらにAIチャット機能も搭載。顧客からの問い合せ対応やフォロー業務を、自動化できるようになるわけです。

ー伊藤

「追客くん」に興味を持ってくださり、テスト的に社内のいち部門のみに導入してくださった企業がありました。その部門は「追客くん」の導入後、部門の人数は変わっていないにもかかわらず、売上なんと前年対比260%。非常に良い結果ですね。

えーすごすぎる。明らかな変化ですね。

ー伊藤

複数店舗を持つ企業なら「追客くん」運用チームを中央センターとし、来店予約がとれ次第、各店舗に割り振っていけばいい。そうすれば顧客対応に追われる時間が減りますから、各営業担当者はひとりひとりの顧客や物件オーナーさんたちに対して今以上に価値ある提案やサポートを行なうことができるようになります。「追客くん」は、業務フローや組織体制を、ガラリと変えてしまうんです。

なるほど…あと、こうした組織体制が実現すると、普段は同会社ながらもライバル視していた店舗どうしが、情報共有を盛んにおこなうようになるだろう、と伊藤さんは話します。ベストプラクティスが全社的に行きわたり、事業がよりスムーズに拡大していくだろう、と。

ー伊藤

私たちは「異端」ですし、そうあり続けたい。ただ業界と対立したいと思っているわけでは、決してありません。当社のプロダクトにより生まれるエコシステムで新たなバリューチェーンを生み出し、不動産業界全体の効率化、イメージアップ、価値向上を図ろうとしているんです。

優良プロダクトだからって、売れるわけじゃない

ちなみに、こうしたプロダクトの数々を導入されているのは、やはり中小規模の「街の不動産屋さん」なんでしょうか。さきほど大手との格差を問題視されていたので、御社としてはそこをターゲットになさっているのかな、と。

ー伊藤

確かに我々としては小規模事業者が抱える問題を解決していきたいと考えています。だから論理的に考えると、そこへアプローチすべきと考えるのが普通ですよね。でも、私たちは現在、大手企業に対して導入を進めています。

え!そうなんですね。意外。

ー伊藤

正直我々のようなベンチャーが、膨大な数の小規模事業者に対して営業していくのは不可能です。逆に大手企業に対してアプローチし、当社プロダクトをスタンダード化させることが先決。そうすれば、おのずと小規模事業者も当社プロダクトを知るようになりますし、導入件数も増えていくでしょう。

なるほど…フツーじゃないクレイジー感、感じます…。でも確かにその通りですね。

ー横澤

でも当初は大手相手に営業しても、ぜんぜん取り合ってくれなかったですね。プロダクトへの絶対的な自信はあったけれど、やはりどの企業も「First Penguin」にはなってくれないわけです。そこで始めたのが「nomad」でした。自社プロダクトを利用し、自ら「First Penguin」になり仲介事業をはじめることで、モデルケースを作ろうと考えたわけです。

なるほど!そういう流れだったんですね。ちなみに「nomad」もまた、不動産業界を騒がせたサービスです。これまで店舗ありきだった不動産仲介の常識を覆し、完全無店舗・ネット完結型の仲介サービスとして話題をさらいました。

ー横澤

順調に登録数も増えています。既存の店舗型の仲介業とは別の新しい選択肢を提供したい、そう考えてスタートしました。営業担当がしっかり面倒を見てくれる店舗型の仲介は、いわば「高級店」。それに対して「nomad」は、セルフサービス型のファミリーレストランのような感じですね。

なるほどわかりやすい。たしかに高級店だと色々ラクだけど、たとえば営業担当と話したりするのがニガテというタイプの方なら「nomad」、ぴったりですね。

いい曲だから売れるなんて甘い。と経験で知る猛者たちがズラリ

いやしかし、想像以上に壮大です。御社の描く未来。そして想像以上におもしろく、非常に難しそう!

ー横澤

そうですね。難しいし、粘り強さが必要です。正直、不動産業界は、パパっといいプロダクトを作れば短期間で成果が目に見えてわかるという業界じゃありません。これまで非常に長い期間硬直化してきたわけですから、10年、20年と腰を据えて取り組んでいく必要がありますね。

確かに。「ぶっかくん」や「追客くん」が優良プロダクトにもかかわらずまったく受け入れられなかったというエピソードからも、それがよくわかります。

ー伊藤

だから「ベンチャーとかスタートアップって、なんか楽しそう」とか「一気に成果出せそう」とかそんな感覚の方は、いくら優秀でも当社カルチャーには合わないでしょう。技術力より学歴よりなにより、カルチャーフィットするかどうかが採用で最も大事です。

というわけで、イタンジではなかなか独特な採用手法をとっているそう。

ー横澤

エンジニアならまず企業文化や事業を紹介する面談に来てもらってスキルや考え方について簡単なチェックをします。まあそれは普通なんですが、そのあと「アルバイト」として1、2日働いてもらうんです。で、夜には皆で食事に行って、あれこれ仕事観なんかを話し合うんですよね。そこで皆が「ああこの人とならやっていける」と賛同してくれたら、採用!という流れです。

おおー!なかなかハードル高いかも(笑)。まあでも、ミスマッチするよりはずっといいし、応募者の方にとっても、働くイメージが具体的に湧いてメリットありそう。

ー横澤

そうなんですよね。で、これ余談なんですけど、なぜかうち、本気で音楽やってた人が多いんです。社内でバンド組めますね(笑)。

こりゃまた不思議な現象ですね(笑)。

ー伊藤

ちなみに私もバンドやってたんですよ。でも音楽の練習以上に、バンドのチケットをいかにして販売するか策を練るほうが楽しかったタイプですが(笑)。

ー横澤

そうそう、バンドのHP作ってメルマガ配信して、全部自分でやってましたね私も。Webの世界に興味を持ったのも、その経験があるからなんです。
あと、本気で音楽をやっていた人ならわかると思うんですけど、音楽も「いい曲なら必ず売れる」という世界じゃありません。それをわかった上で、粘り強く未来のチャンスをたぐり寄せようとする…そうした感覚って、今のイタンジでの仕事とちょっと似てるんですよね。

うわー!音楽活動とイタンジ活動との意外だけど超納得する共通点…面白い!

「誰もが新事業を提案でき、経営陣さえそれを止めることはできない」という珍ルール

聞けばきくほど、おもしろそうな人たちばかりですね、御社の社員さん。

ー伊藤

面白いですよ、皆とても主体的ですしね。その主体性や個性、意欲を決して削ぐことだけはしたくない。あそうそう、うちは「誰もが新事業を起案でき、誰もそれを反対することはできない」ってルールがあるんです。

そうなんですか…!?誰も反対できないんって、経営陣すらも?

ー伊藤

もちろん。何故かというと、その事業、そのアイデアが正しいかどうかは、経営者ではなくマーケットが決めると考えているからです。ちなみに「お部屋探しBOTヘヤジイ」は、この制度を利用して現場エンジニアが作ったものです。というか、知らない間に勝手に作ってました(笑)。

すご!

「お部屋探しBOTヘヤジイ」とは、Facebookメッセンジャーで希望する賃貸物件をスピーディーに探せるチャットボット(chatbot)で、内覧予約も可能なサービス。メディアにも取り上げられた、こちらも革新的なサービスです。

ー横澤

うちには膨大なデータベースや成約データ、機械学習アルゴリズムなど、利用できるアセットが沢山あります。また新しいプロダクトが完成すれば、積極的にテスト利用してくれるパートナー企業もいます。こうした財産をフル活用して、もっともっと積極的にアイデアを形にしてもらいたいですね。

ハア、すごいなー。ちなみに「3ヶ月以内に売上100万円達成すること」というルールはあるそうですが、またそれが各自を武者震いさせるんでしょうねー。

ー伊藤

そうですね。決して硬直化させず、常に刺激や可能性に満ちた集団でありたいので。経営陣より優秀な社員だってそりゃ普通に出てくるでしょうね。いやもういるかな(笑)。皆、かなりスタープレイヤーだもんね。

正しいかどうかは、あくまでマーケットが決める。経営陣じゃない。

え、マジですか。

ー伊藤

うちには、現場メンバーが、経営陣を評価するという制度もあるんですよ。経営陣がメンバーを評価するのは普通ですけど、逆もあってしかるべきだろう、と。で、半年に一回実施しているんですが、初回はもう、散々でした(笑)。

ー横澤

ほんと、ズタボロでしたね(笑)。いやあ皆、ものすごく手厳しいかったなあ。イタンジには「事なかれ主義」な人はひとりもいないので、まあ正直に書いてくれました。

今はちょっとずつマシになってきたよね(笑)と笑い合うお二人、いやホント、こんなところもマジでイタンジですね…

ー伊藤

まあそんな社員たちなので、私たちは全面的に信頼しています。経営会議で行なう話も、すべて全員に公開しています。たぶん、経営会議の情報は、ベンチャーキャピタルよりも早く社員の耳に入ると思いますよ。で、もちろん異論があったら遠慮なく言ってきますね。

すごい!なんかすごいチームだ…。

ー横澤

オープンにして、現場からマサカリを投げられると、私たちも刺激を受けるんです。さっき伊藤も言いましたが、経営陣の考えが正しいとは限らない。あくまで答えはマーケットが決めるわけだし、現場メンバーの意見のほうが正しい可能性は十分にありますからね。

プロダクトや目指すビジョンに驚いていたら、会社のカルチャーにもめちゃくちゃ驚かされました…。

「そういや俺たちめちゃくちゃ本読むよね、勉強が好きなんだろうね。まあメンバーに負けてられないしね」とまた笑い合うお2人。なんかすごく、清々しいなあ。かっこいいチームだなあ。
オフィス内でも楽しそうに社員さんと話している様子がうかがえて、なんだかすごくいい雰囲気でした。

ああ、お話できて本当に楽しかった…今日は本当にありがとうございました!

会社名 イタンジ株式会社
代表者 伊藤 嘉盛(代表取締役CEO)
設立 2012年6月
所在地
106-0043
東京都港区麻布永坂町1番地 麻布パークサイドビル 3F
事業内容 インターネット不動産サービス
人工知能による売物件価格査定、配信サービス
オート物確システム
追客用の自動メール配信システム
運営サービス ノマド(nomad)
Value
ぶっかくん(物確君)
追客くん