世界中のオタクを巻き込む Tokyo Otaku Modeのカルチャー設計

CEO 亀井智英さん(写真右)& Co-Founder 秋山卓哉さん

「Tokyo Otaku Modeがクールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)から、なんと3年間で最大15億円を資金調達!」2014年9月、そんなニュースが世を駆け巡ったことは、御存知の方も多いはず。アニメやマンガ等のジャパニーズポップカルチャーを世界に発信するFacebookページ「Tokyo Otaku Mode」は、既に1600万Like!を突破。アニメ関連グッズや日本のアーティストによる商品を販売する海外向けECサイト「Tokyo Otaku Mode Premium Shop」には、世界中から注文が舞い込んでいるんです。なんだかスゴいことになっているTokyo Otaku Mode社(以下TOM)。中ではいったいどんな人たちが働いているのか?気になってたまらなくなった取材陣は、シャレオツな表参道のオフィスまで、取材しに行ってきました!

ドキドキしながらオフィスに入ると…さっそく色んなコンテンツがお出迎えしてくれました。
様々なクリエイタ―の作品やサインの数々が並ぶ中、
スゴイものを発見しました。

「Japan Startup Award」最優秀賞のトロフィーです!
今をときめくスタートアップ企業が、ズラリとノミネートされるこのAward。最優秀賞ってスゴイことですよねー。

絵やフィギュアなどが並ぶおもしろいオフィスを夢中になってのぞいていたら…いらっしゃいました!
にこやかスマイルの、CEO亀井さんと、Co-Founderの秋山さん登場です!(なぜに、同じポーズ?)

ボランティアを含めると、100人以上いるんです。

今回取材陣がものすごく聞いてみたかったのが、TOMというチームの「内側」についてなんです。設立して2年が経過していますが、今社員数ってどれくらいなんですか?

―亀井

今、社員数は30人くらいですね。

え!?でも、さっきチラっとオフィスを見たら、もっとたくさんの人数いたような気が…

パッと見ただけで、既に50人以上いそうな感じがします。

―亀井

アルバイトで来てくれている子や、ボランティアで来てくれている子がたくさんいるんですよ。海外にも翻訳や市場調査などを手伝ってくれているボランティアスタッフが数十人ほどいますし、合わせたら100人を越えていると思います。

聞けば、プロボノ的(社会貢献)な感覚で参加してくれている社会人ボランティアもたくさんいるのだとか。

―秋山

立ち上げ当初は、エンジニアにお給料を払えるようなお金もなくて。それで「週末、勉強会に行くなら、ウチに来て手伝ってみない?」なんて声をかけて誘ったりしていていました(笑)。でも、誘ったら、みんな「面白そう!」って言って参加してくれるんです。会社員として働きながら週末だけ来てくれているメンバーもいます。

「助けてほしい」とストレートに伝えること。それが巻き込む秘訣かも。

色んな方々が活躍されているんですね。といっても、なかなか気軽に参加するのは勇気がいりそうな気もしますが…。どうやって参加する気になるようにしているんでしょうか?

―亀井

そうですね…強いて理由を言うならば、「できないから、助けてほしいんだ」って気持ちを、ストレートに伝えていることが理由かもしれない。僕も秋山もみんな「自分一人では何もできない」ことを認識していますから。

シンプルに、正直に(笑)

―秋山

そうですね(笑)。あとはコンテンツの力にも助けられていると思います。特に外国人のメンバーは「日本のコンテンツに関わりたい」という強烈なファンが多いですから。翻訳「NINJA」のメンバーたちもそうですね。

そうそう、TOMに「NINJA」というボランティアによる翻訳部隊がいることは、巷では有名な話。海外でのジャパニーズバンドのライブ会場でたまたま出会ったのだという彼らは、まさに日本コンテンツを愛する「オタク」で、亀井さんらが掲示板に翻訳部隊を募る旨を掲載すると、即座に集まってくれたんだそう。

いつのまにか、巨大なジャズバンドになっていた。

そういえば、立ち上げ当時の創業メンバーの皆さんも、みなさんボランティアだったんですよね。

―亀井

そうなんですよ。僕が「Facebookで日本のコンテンツ広めるのって、面白いと思うんだけどどう?」って話をしたら、まず秋山が賛同してくれて。それで一緒にあと何人か見つけようってことで、クリエイティブができるヤツ、開発ができるヤツ、ファイナンスができるヤツ…それで7人くらい集めたんですよ。スタートは本当に気楽な感じで。社会人サークル活動みたいな感じでした。

その時は、今、こんなに人数が集まる大きな事業になるなんて、皆さん想像もしていなかったんでしょうね。

―秋山

そうですね。気軽なサークルから始まって、いつのまにかバンド活動をするようになって…それが今やオーケストラになったという感じ。いや、巨大なジャズのビッグバンドのほうが近いかな(笑)皆、自由に即興やるヤツばっかりですから。

離職率、ビックリするくらい低いんです。

ジャズバンド(笑)。イメージにピッタリですね。ボランティアから社員になる人も多いんですか?

―亀井

そうですね、そういう人が多いです。コンテンツが好きな人、事業に強烈な使命感を持っている人、TOMのカルチャーに惚れている人…そういう人たちばかりだから、離職率もビックリするくらい低いんです。

聞けばその数字は、5%を余裕で切るのだとか。確かにめちゃくちゃ低いです…

―秋山

TOMって、社員だろうがボランティアだろうが、垣根が全然ないんですよね。スーツ着てエラそうにする人もいないし。毎月がんばった人を表彰しているんですが、学生インターンやボランティアスタッフを表彰するのも普通ですし。

―亀井

そうそう、そのほうが僕らもラクだし、声もかけやすいしね。だからみんな、仕事にどんどんのめりこんでいけるのかもしれない。

ウカツなこと言うと、スタッフに叱られます(笑)

じゃあ、意見やアイデアも、現場からものすごく上がってきそうですね。

―亀井

うん、出てきますよ。「TOMはこうあるべきだ!」という理想像を皆、それぞれ強いものを持っていると思います。たとえば誰かに「3年後どうなっていたい?」って聞くと、「オタクモードがこうなっていると嬉しいですね」って、主語をTOMにして話すんですよ。「俺=オタクモード」になっているんですかね(笑)。

へええ!経営陣なら理解できるけど、現場スタッフの方がそこまでのロイヤリティを持っているなんて、スゴい。

―秋山

そう、使命感がすごく強いんです。「俺がしょってるんだ」という感じを、皆から感じます。日本が経済成長していくにはこの業界を盛り上げなきゃ、とか、大好きな日本のコンテンツをもっともっと海外に知ってもらいたいんだ、とか。皆が、他の誰でもなく、自分がやるんだ、と思っている。ベンチャーだから、決して職場環境や給与、待遇がべらぼうに良いわけでもない…それなのにこれほど低い離職率なのは、各自が高い志を持ってやってくれているんだと、信じています(笑)。

いやーーーー。かっこいいいーーーー。

―秋山

だから、ウカツなこと言うとスタッフに叱られますよ(笑)。「何をバカなことを言っているんですか!!!TOMの未来はこうあるべきなんです…」なんて(笑)。

スゴい(笑)。なんてスゴい使命感…!でも、そういうアツい人を採用するのって、難しくないですか?

一緒にエレベーターに閉じ込められても、笑い転げられる人。

―亀井

どうでしょうか…僕は感覚で仲間選びをしているのですが、それほど難しくはありません。仕事できるかどうかは、ぶっちゃけ、どうでもよくって。「雰囲気が合うかどうか」を、大事にしているんですよね。

えっ?

仕事よりも、雰囲気?

なにそれ?

それって、具体的に言うと?

―亀井

たとえばエレベーターにうっかり閉じ込められてしまったとしますよね。救助されるまでの5時間、沈黙にならず、一緒にくだらない話をしながら笑い転げられるかどうか。そういう人と働きたいなと思っています。

気が合うかどうか、ですね(笑)。フィーリングっていつだって大事ですもんね。ちなみに、その状況だとパニックにならず、むしろ楽しんじゃうなんて人がよかったりしますか?

―亀井

そうかも。ヤバい状況でも、楽しみながら乗り越えられる人。そういう意味では、面接をする時、過去の失敗経験を聞くことは多いですね。でかい失敗があればあるほどいいかもなあ。僕自身が会社員時代、でかい失敗を一杯経験して、挫折も味わって、理不尽な出来事に泣いたこともあるので。

うんうん、なんか、わかるような気がします。

休日、イベントでスタッフ8人と遭遇。好きなんだよなあ。

―秋山

あと、やっぱりコンテンツやこの事業が好きって気持ち、重要ですね。やっぱりベンチャーでの仕事は決してラクではないので「好きだから耐えられる」って気持ちがないと大変だと思うんです。

写真は、オフィスに飾られていたスタッフの方々の写真。なるほど皆さん、楽しそう!個性強そう!
やっぱり、コスプレイヤーなど「オタクどまんなか!」な方、多いんですか?

―亀井

そうですね、程度の差はありますが、みんなサブカルや、ポップカルチャーなどのコンテンツは好き。この前、招待券をいただいたので進撃の巨人展を見に行ったんですよ。そしたら会場で、TOMのスタッフ8人と遭遇したんです(笑)。「あ、ベンもダイアナも来てる!」みたいな(笑)。待ち合わせしたわけじゃないのに…みんな、やっぱり、好きなんですよね。

すごいタイミングというか、遭遇率というか(笑)。皆で示し合わせてイベントに行くこともあるんですか?

―亀井

ありますよ。この前は6人くらいで、丸1日映画を見る会をやりました。朝の9時半からトランスフォーマーを見て、それからるろうに剣心を見て、ドラえもんを見て、ゴジラ見て…夜までぶっ通し。

スゴい!!!やっぱり大好きなんですね。

カルチャーは作るものじゃない。勝手に作られていくもの。

ちなみに映画の会などのイベントの数々は、亀井さんが言い出しっぺだったり、学生インターンやボランティアスタッフなどが言い出しっぺだったり、発案者は様々なのだとか。カルチャー、育っていますね〜!

―亀井

ジャズバンドってさっき言いましたけど、まさにそんな感じで。経営陣がカルチャーを作るというよりも、いる人たちが勝手にカルチャーを作っていくのがいいのかなと思っています。いろんな野菜が集まって、おいしいスープができていく。強いていうなら僕や経営陣は、そこに時々、調味料を入れてやる係。

社内では、コミュニケーションも弾んでいました。「みんなにカルチャー作りを任せていたら、いい風に転ぶこともあるし、もちろん悪い風に転ぶこともある。でも、悪い風に転んでしまったら、調味料を入れたり、新しい野菜を入れたりしながら、軌道修正していけばいいだけです」と亀井さんは語ります。

―亀井

僕、「法人格」って日本語が好きなんです。「人格」って言葉の通り、会社も人も同じで、新しい出会いによって変化するし、成長していく。喧嘩もするし、仲直りもする。それってすごく健全だと思うし、TOMの姿を自然に表していると思うんです。

勝手にできていた「TOMインドネシア支部」。

勝手にカルチャーが出来上がっていく…そんなTOMに海外のファンはどんな反応をみせているんでしょうか?

―亀井

もうね、ビックリすることばかりですよ。まだ5、6人でサービス運営していた頃、「なんかものすごい人数で運営しているんですね」って色んな人に言われるから、少人数なのに何故そう思うんだろう…と不思議に思っていたんですよね。

確かにそれは不思議・・

―秋山

それでよく調べたら、勝手にFacebookの職業欄に「TOM所属」だとか「TOMインドネシア支部」って書いたりしている人が、めちゃくちゃたくさんいたんですよ(笑)。海外支部なんてなかったのに(笑)。

面白すぎる!なんという忠誠心、なんというファンっぷり!
「TOM」のオタクが世界にいるんだ。

―亀井

ベトナムに行った時は、TOMのロゴが入ったマグカップをプレゼントされました(笑)。そんなの僕らは作っていないのに(笑)。海外に行くと、TOMが広がっていることを実感します。2012年に西海岸に行った時は、TOMを知っている人は100人中3人くらいだったけど、2013年にシンガポールのイベント内同人ブースに行った時は、7割くらいの人がTOMを知っていました。海外イベントで、VIP席を用意されたこともあるメンバーもいますよ(笑)。

このロゴTやパーカを着て海外のアニメイベントに出ると、もう大人気!なんだとか。ホント、スゴい。日本にいては感じられない、ものすごいムーブメントが海外で巻き起こっているんですね。

住所は公開していないのに、外国人が遊びに来ちゃうんです(笑)。

―亀井

でも最近じゃ、日本にいてもTOMの広がりを感じられることが増えてきました。外国人観光客の方が、フラリとオフィスに遊びに来たりとか。

え?!たしか御社って、住所公開されていませんよね。

―亀井

たまたま表参道を歩いていた時に、看板見つけたらしいですね。ショップだと勘違いして、入ってきちゃうんです(笑)。エントランスの呼び鈴もならさずに、フラリと入ってきちゃうので、「おや、アレは誰だ?」ってオフィスがざわつくんです。

面白い(笑)!しかしけっこう小さな看板なのに、よく気づきますね。

―秋山

そうなんですよね(笑)。一度来られたメキシコ人の方なんて、オフィスだって知ったらものすごく喜んでくれて。大人が感極まるってこういうことなんだ…って感じの表情をしていました。ノベルティをプレゼントしたら、「友達に自慢するー!」って言って、帰っていきましたよ。

ああ…なんだか、その方の爆発スマイルが目に浮かぶようです。本当に、愛されているなあ…

―秋山

最近だと採用面でも、TOMの広がりを感じます。「ぜったい現地の大企業に勤めたほうが稼げるだろ!」って思うくらい、驚くような海外有名大学出身の外国人の方が応募してくるようになりましたね。でも、それを言ったら、「いや、そういうことじゃない。日本のコンテンツに関わる仕事がしたいんだ」って。

オフィスを見渡しても、外国人の方、たくさんいらっしゃいました。

聞けば15%くらいが外国人なのだとか。米国、イギリス、中国、香港、台湾、イタリア…国籍も宗教もさまざまです。

インバウンド事業も面白そう。やれることは、沢山あります。

これからのTOMの事業展開について教えてください。

―亀井

東京オリンピックも控えていますし、将来的にはこうした外国人観光客の方に向けたインバウンド事業にも挑戦したいなと思っています。安部政権以来、日本を海外に知ってもらおうという気運が高まっていますから、いい追い風が吹いています。カフェなのか、アパレルなのか、まだ何をやるかは決定していませんが。

お、おもしろそう…!

―亀井

メディアでスタートして、現在はEコマースが主ビジネスとなっていますが、それで終わるつもりはありません。それは全員、同じ気持ち。「オタク文化で世界をハッピーに」というミッションを実現するために、何をすべきか、何をしたいか。それは個々人がアイデアを持っていると思いますね。

さらに「オタク」という言葉に対して、まだまだネガティブなイメージを持っている人が多く、そうしたイメージも変えていきたいと亀井さんは語ります。

―亀井

海外では、まだまだ「オタク」という言葉を知らない人が多いんですね。だから僕らがそこに先駆けて意味付けをして、新しいイメージを世界から日本へ再定義していきたいと思っています。もちろん「オタクってカッコいいんだぜ」っていうイメージをね。

そう嬉しそうに語る亀井さん、そして秋山さん。その表情はとても和やかな反面、子どものように楽しそうでもありました。今後、TOMというチームが誰を巻き込んで、どんなことをしでかしてしまうのか…今からめちゃくちゃ楽しみです。

会社名 Tokyo Otaku Mode Inc.
代表者 亀井 智英
設立 2012年4月
所在地
Tokyo Otaku Mode Inc. 2730 Monterey Street. , 90503 USA
東京都港区
事業内容 インターネットメディア事業
インターネットサービス事業
インターネット広告事業
運営サービス Tokyo Otaku Mode