「場の発明」を掲げるツクルバは、どんな「場」で日々クリエイションをしているのか?

株式会社ツクルバ
左:代表取締役CCO 中村真広さん & 右:代表取締役CEO 村上浩輝さん

「場」を「つくる」ことを事業にしている株式会社ツクルバ。2011年に同社がオープンさせた「co-ba shibuya」は、コワーキングスペースブームの火付け役!皆さんの中にも、実際にご利用なさった方、多いかもしれませんね。また2015年には「一点もの」のリノベーション住宅特化のオンラインマーケット「カウカモ」をリリース、順調にファンを増やし注目を集めています。
さて今回はCEOの村上さんとツクルバを立ち上げた、共同代表・CCOの中村さんにお話を聞きに行ってきました。

オフィスに入るとすぐに、こんな言葉が掲げられていました。

まずは、ツクルバが展開する多様な事業をご紹介しましょう。
事業全体は、こんな感じ!

最初は、会員制シェアードワークプレイス「co-ba」。

2011年、渋谷からスタートした「co-ba」は今、全国各地の多彩なパートナーと共に、co-ba NETWORKとして全国に15拠点を展開しています。

2つめは、パーティクリエーションサービス「hacocoro」。

都内、横浜を中心に、11店舗のパーティスペースを展開。
スペース、フード、プランニングという、パーティに必要な3つの要素が一つになることで、すべてのお客様に、「手軽」で「記憶に残る」パーティをご提案する、パーティクリエイションサービスです。

3つめは、リアルスペースをデザイン・プロデュースするtsukuruba design。

自社事業の空間プロデュース・デザインはもちろん、クライアントワークとしてオフィス・住宅・商業施設など様々な領域でも活動しているんです。

最後に…2015年6月にスタートしたリノベーション住宅特化のオンラインマーケット「カウカモ」!

厳選されたリノベーション済物件が多数掲載されていて、取材記事は眺めているだけでもすごく面白い。ファンが増えているのがよくわかります。

さてさて…事業全貌のご紹介を終えたところで。
いよいよ、中村さん、よろしくお願いします!

仲間と始めたカフェが、ツクルバの原風景

ツクルバの創業のきっかけって何だったんですか?

ーCCO・中村

2011年2月に、共同代表の村上の声がけで仲間たちと小さなカフェを作ったんです。それがツクルバ創業につながるひとつのキッカケでした。村上は新卒で入社した会社の同期だったんですが、その頃から面白い考え方をするなぁと思っていました。そして、デザイン系と音楽・ダンス系という互いに異なるコミュニティに属していたので、それぞれの仲間たちを呼ぶようなイベントを企画しようとしていたんです。

へえ…にしても、何故にカフェ?!

ーCCO・中村

案外そういう企画を実行しようとしたときに、使い勝手良く「集まれる場所」って無かったんですよ。それで、じゃあ自分たちの場所としてカフェでも作っちゃおうかって話に。

えー!すごい!言うは易し行なうは難し…ですよね…!行動派!

ーCCO・中村

そうですかね。池袋に小さなカフェラウンジを作ったんですけど、面白かったですね。定期的にイベントを開催してはデザイン系、音楽系、建築系から、ダンサー、アスリートまで多岐に渡る人たちが集まってきました。色んな交流が発展して、デザイン系の仲間が陸上チームのユニフォームデザインをすることになったり、面白い化学反応が色々生まれていきました。

へえ…!まさに「場」ですね。でもその時、本業は別にあったんですよね?

ーCCO・中村

ええ、そうなんです。当初2月にカフェが完成した頃は、互いに本業の時間外でのサブワークとして関わっていました。そして開業した翌月の3月に東日本大震災が起きたんです。これが起業のきっかけでしたね。「いつ死ぬかわからないなら、今すぐに、思い切り好きなことをやろう」と村上と話しました。それで2人とも会社を辞め、ツクルバを立ち上げたんです。

なるほど…ちなみに震災発生から数日後、中村さんは肺気胸で入院し、余震が続く中、管につながれていたそうです。そんな中でのその決意…感服します。ちなみに、起業の「元」とも言えるそのカフェは現在、グループ会社の株式会社アプトが引き続き運営されているんだそう。

ーCCO・中村

それで「ツクルバ」を立ち上げ、ひとつめの事業としてスタートしたのが、会員制シェアードワークプレイス事業「co-ba」でした。

サンフランシスコで目撃した、新しい「場」のかたち

ーCCO・中村

といっても、当初からコワーキングスペースなるものをやりたかったわけじゃないんです。起業するぞ!となった際、僕ら自身が働き場所を見つけようと都内のシェアオフィスをいくつか見に行ったんですが、どうもピンと来なかったんです。シェアオフィスもブースで仕切られていてコミュニケーションの気配がなかったり…で、そんな折、海外に「コワーキングスペース」なるものがあるらしいと耳にしたんです。

カフェでいろんなコラボレーションを目撃してきたお二人にとって、ブースで仕切られたシェアオフィスやSOHOの一室は、確かにイメージにフィットしなかったんでしょうね。

ーCCO・中村

そうなんです。で、すぐに2人でサンフランシスコに飛びました。2011年の秋ですね。実際に現地で「コワーキング」というワークスタイルを体験したとき、これまで未体験なはずなのに不思議としっくりきたんです。こんな場所が日本にもあったらなぁ!と強く思いましたね。

そこには、人と人が自然と有機的に繋がっていく場が広がっていたそうです。あっちこっちで入居者どうしが立ち話をしていたり、共有のキッチンスペースでは入居者どうしが会話しながらランチを作っていたり…ちなみに、とあるコワーキングスペースを案内してくれたのは、オーナーではなく入居者のオジさんだったそう。

ーCCO・中村

はじめはオーナーさんかな?と思いました。いきなり「どこから来たの?案内してあげるよ」って言ってくれたもんですから。
それで案内してもらって、空間をじっくり拝見していると、わかったことがありました。入居者自身が、この場所のオーナーシップを感覚としてしっかりと持っているんですね。だから僕らにも寛容だし、同じ空間にいる仲間どうし、活発なコミュニケーションが生まれていたんです。

そのサンフランシスコのコワーキングスペースでは、定期的にVCを招くイベントも開催されていたそう。「単なる場所貸しの不動産ではなく、“起業のための生態系”というソフトコンテンツを含めた価値を提供している場所だったんです」と中村さん。

ーCCO・中村

戻ってすぐ、クラウドファンディングの「CAMPFIRE」を用いて資金を募り、「co-ba shibuya」を立ち上げました。2011年当時、今とは違いTwitterはユーザー数はまだそこまで多くなく、特にIT業界などのアーリーアダプターが積極的に発信していたので、一気に情報を拡散することができて幸運でしたね。滑り出しは好調、初期入居者の40名はすぐに埋まりました。

建築や不動産出身の2人は、当初入居者の属性として、グラフィックデザイナーや建築デザイナーたちが集まると想定したそうなのですが、ふたを空けてみるとITスタートアップだらけ!で驚いたそう。「面白い誤算でした」と中村さんは笑います。

ーCCO・中村

それで、入居者の方々に合わせて色んなイベントを開きましたね。ハッカソンもやりましたし、ビジョナリーピッチという起業家がビジョンを語るプレゼンイベントの開催なども。こうしたイベント等を通じ、入居者の方々だけでなく、どんどん人が集まってきて、いい循環が生まれていきました。

今も全国の「co-ba」で、多様なイベントが開催されています!
ちなみに、FInTech系サービスとして注目を集めている「Moneytree」や、音楽録音・共有アプリ「nana」も、ここ「co-ba shibuya」で生まれたんだそうです。すごいなあ。

「シェアオフィスの会社」から「場の発明カンパニー」へ

ーCCO・中村

co-ba事業を通じて、企画・設計・運営までを一貫して出来るという空間プロデュースの実績ができました。このモデルケースを活かして、社外からの空間プロデュース案件も受けるようになりましたね。

その後、ツクルバにおける空間デザイン・プロデュースの専門組織「tsukuruba design」が発足し、多くの施設・オフィスをプロデュースすることになりますが、例えばメルカリ社のオフィスも同社が手がけたものだそう!

ーCCO・中村

さらに、原点であるカフェ運営を行っていた株式会社アプトとともに、貸切できる飲食店からパーティクリエイションサービス「hacocoro」へと発展。コンセプチュアルな店舗を次々とオープンさせ、事業を構築してきています。

「シェアオフィスの会社」というイメージが強かったツクルバは、このように、一気に「場の発明カンパニー」へと、その姿を変えていきます。

ーCCO・中村

co-baで「働く場所」を、hacocoroで「集まる場所」を作っているのに、「住む場所」についてはまだほとんどアプローチできていませんでした。既存の強みとこれから強みとして加えていきたいテクノロジーの領域を掛けあわせて、住環境に対してはどんな事業をつくれるだろうか?そこで思案を重ねてスタートさせたのが、リノベーション住宅特化のオンラインマーケット「カウカモ」です。不動産の流通機能と、物件紹介メディアの両方をかけあわせたサービスですね。

おおーなるほど!でも、御社ならば、住む場所を「つくる」こともできたのでは?あえて既存物件の「流通」に目を向けた理由って、何かありますか?

ーCCO・中村

もちろん住む場所をつくる技術は持っています。でも、ふと都内を見渡すと、多くのリノベーション事業者がいいモノを作っているんですよ。それなのに情報がエンドユーザーにうまく届いていないなどの理由で、流通しきれていないということに気付きました。

ーCCO・中村

日本は大量供給・大量消費の時代を越えた、ある意味では衰退先進国ですから、「カウカモ」で大都市の住環境に関するロールモデルを作っていくことができれば、今後日本と同様の課題にぶちあたるアジア諸国に対しても、いい影響を与えられるのではないかと思うんです。

「カウカモ」を立ち上げるにあたって、不動産・建築のプロフェッショナルに加え、エンジニアの力が必要になったツクルバ。

ーCCO・中村

嬉しいことに、「カウカモ」の立ち上げとともに、実空間サイドではなく情報空間サイドからも、僕らの事業に共感してくれた優秀なクリエイターたちと出会うことができました。現在は、建築・不動産・テクノロジーの三つ巴で、新しいツクルバの未来を作り上げているところです。

次なる未来へのアクセルを踏む、エンジニアたち

ツクルバには、サーバーサイドエンジニア、UI/UXエンジニア、デザイナーで構成される独立ユニット「tsukuruba technology」がある。GREE、DeNA、サイバーエージェントなど大手各社で開発の最前線を走っていたエンジニアや、デザイン事務所で広告を手がけていたデザイナーなど、チームメンバーの皆さんの経歴はまあ、すごい!開発チームのみなさんはツクルバのどこに魅力を感じるんでしょうか?

ーエンジニア・中村

リアルな空間と情報との掛け合わせ、という点がすごく面白いと思いましたね。「カウカモ」に限らず、「場」をつくるという事業そのものに共感しました。おそらく他の皆もそうだと思います。開発チームが経営陣や他職種のメンバーと一緒に、プロジェクトの立ち上げのタイミングから事業に関わるスタイルも、非常に気に入っています。

実際にプロジェクトの立ち上げから関わった2016年4月のリニューアルをきっかけに、問い合わせは倍増したのだそう。

ーエンジニア・中村

リニューアル後、多くの問い合わせをリニューアル以前と同じやり方で対応するのは限界が見えてきました。そのため、現在はWebサイトの改善だけではなく、顧客データをどのように扱えば最適なレコメンドができるかアルゴリズムを考えたり、各エージェントのサポートツールを開発したり…あらゆる方面から業務改革も行なっています。

ーUXエンジニア・谷

中村はビッグデータ解析を専門に研究していた経験があり、その経験から今のうちにデータをちゃんと活用するための設計を考えています。それらを活かしたシステムをプロトタイプ的にエージェントチームに利用してもらっていますが、好評価をもらっています。元々不動産業界にいた彼らにとっては、革新的だと思えるものになっているようで嬉しいですね。

FAXと電話で、属人的に仕事を進めているというイメージ、どうしてもありますもんね。不動産業界って。ところで、沢山課題がありそうですが、どういう順序でやるべきことを決めているんですか?

ーエンジニア・中村

常に、現時点でインパクトのデカいものからやろう、と決めています。そして全てのプロジェクトは、目標として1ヶ月以内で終了させるようにしていますね。日々状況が変わる中で、スピード感を保ちながら柔軟に判断するためです。

はや!さすが実力派チーム…

ーデザイナー・柴田

ホント、皆仕事早いですよ。まだデザインが半分しか決まってないのに、隣ではコーディングが始まっている。皆同時進行で仕事していますね。スピード感が求められる現場で、お互いのボトルネックになりたくない、という想いがあるんだと思います。

左:UXエンジニア 谷さん & 右:デザイナー 柴田さん

多様な専門家が化学反応を起こす「場の発明所」ツクルバ

ーエンジニア・中村

ちなみに私が入社した時は、ツクルバにはいわゆるWeb系の人間はひとりも居なかったんです。建築デザイナーや不動産エージェントや、全く畑違いの人間ばかり。でもびっくりするくらい自然に迎えられましたね。

ーデザイナー・柴田

ツクルバは、異なる職種の仲間がごちゃまぜになって仕事をしてきた会社なので、新しい職種のメンバーが入ってきても全然フツーなんです。そこが面白い。

ーUXエンジニア・谷

「場を発明する」っていう会社としてのミッションは全員が共有しているので、職種が違っても誰とでも話が合うんです。全然話の方向がズレることがないし、同じ方向を見ているからこそ、それぞれの専門知識が合わさって、いい化学反応が生まれていくんです。

聞けば、社内で職種を越えた勉強会もよく開催しているんだとか。色々テーマがあるそうですが、面白いなと思ったテーマは、「空間アーキテクチャーと情報アーキテクチャー」というテーマ!フツーのWeb会社にいたら交わりそうにない2つの分野。でも、思想的な部分で似ているところが多くあり、建築のプロとWebのプロが、互いに大きな刺激を与え合うことができるのだそう。

ーエンジニア・中村

「違う事業部だから関係ない」っていう感じは全然ないですね。先日もtsukuruba designが設計した飲食店がオープンしたので、オープニングパーティに行ってきました。

ーデザイナー・柴田

会社のメンバーが携わった仕事が完成する時は、お祝いの気持ちも込めて、実際にその場に行くようにしています。実際にその場に行かないと、味わえない空気感がありますから。

ーエンジニア・中村

皆「場」に関わることが好きなんですよ。こんなのやったら、皆楽しめるんじゃないかとか、そういうことを考えるのが皆とても好き。職種は違えど、皆、似た者同士です。

2020年のツクルバの姿について

仲間どうしで、ツクルバの未来のこと、話したりするんですか?

ーCCO・中村

話しますよ。最近、2020にツクルバが目指したい姿についてまとめたんです。この絵に。

わあ…なんかツクルバの世界が広がっていますね。

ーCCO・中村

3つの大きな木が、当社の事業を表しています。3つというのは「co-ba」「hacocoro」そして「カウカモ」。それらをシンボルツリーにしながら、豊かな生態系のある「森」のような風景を作りたいと考えています。

あ、ほんとだ…!
左には「co-ba」の木。

真ん中には「カウカモ」!

そして一番右には、「hacocoro」の木。

ーCCO・中村

切り株もあるんです。失敗して撤退する事業もあっていいだろう、と。挑戦することを恐れない集団でありたいですしね。

なるほど!…あ、木の上には、3つの木を行き来する人たちがいます。結婚式をしていたり、事業のプレゼンをしていたり…

ーCCO・中村

そうなんです。たとえば「hacocoro」で結婚式を上げたひとたちが、「カウカモ」で住まいを見つけて、子どもが大きくなって自分の部屋がなくなったお父さんが「co-ba」を書斎がわりにして…みたいな感じの物語ができたら、素敵ですよね。そういう「生態系」を表現したくて、この絵を作りました。

素敵!この絵をよくよく眺めると、いろんな人生やいろんな挑戦、いろんな出会いが見えてきます。

ーCCO・中村

あくまでも私たちは「誰もが利用できる」サービスを提供したいと思っているんです。ひとにぎりの人たちのためのサービスを提供しても、あまり社会の役には立たない。ユニークなアイデアを持つスタートアップ企業だけが利用する「co-ba」じゃなくて、誰もがが気軽に利用できる「co-ba」にしたい。「hacocoro」も、気軽に利用できる価格設定が可能な場所を選んで店舗を作ってきました。

「カウカモ」が取り扱う物件もリノベーション済みな物件。自分たちで中古物件を買い、リノベーションプランを立てるとなると敷き居がぐっと高くなるけど、既にリノベーションされた物件だったら、誰でも買いやすい…なるほどー。

ーCCO・中村

私たちのサービス、私たちが作る「場」で、たくさんの人たちの生活が豊かになり、多くの出会いやチャレンジを生み出し、それぞれの日々が今以上に楽しく有意義なものになるといいなと心から思っています。そのための努力なら、惜しむつもりはありません。

素敵。入社する方々の心が高まる理由がわかります。これからツクルバが、新しくどんな「場」を作り上げ、新たな化学反応を生み出してしまうのか…!今からとても楽しみです。

今日はどうもありがとうございました!

会社名 株式会社ツクルバ
代表者 村上 浩輝(代表取締役CEO) / 中村 真広(代表取締役CCO)
設立 2011年8月
所在地
150-0002
東京都渋谷区渋谷2-6-4 テイルウィンド青山3F
事業内容 中古住宅のオンラインマーケットcowcamo(カウカモ)事業
シェアードワークプレイスco-ba(コーバ)事業
貸切専門パーティスペースhacocoro(ハココロ)事業 ※株式会社アプトとの共同事業
空間デザイン・プロデュースに関する調査分析・企画・設計デザイン・監理業務
不動産に関するプロパティマネジメント・賃貸 売買仲介・開発・再生プロデュース
運営サービス cowcamo(カウカモ)
co-ba(コーバ)
hacocoro(ハココロ)