「iQON」は、いわば「ファッションに関するデータの宝庫」。 だからエンジニアが夢中になれるんです。

株式会社VASILY
CEO金山さん & CTO今村さん

Web業界にいれば、きっとほとんどの方がご存知と思われるファッションコーディネートアプリ「iQON」の運営会社、株式会社VASILY。我々はついに、CEO金山さんとCTO今村さんにお話を伺えるチャンスを手に入れました。向かうはオシャレタウン恵比寿。きっとオフィスもオシャレなんだろうな…なんかいろいろイケてるんだろうな…とウキウキ想像しながらオフィスに到着したら…ハア、やっぱ、めっちゃオシャレ!

うわあ!オシャレやー!

あ、「Ruby」の親である、まつもとゆきひろさんのサインだ。そう、まつもとゆきひろさんがVASILYの技術顧問を務めているのは有名ですよね。

廊下を抜けると…わーひろびろ!無駄がない!

ふりかえると、オフィス空間もすぐそばに。なんか余計な壁とかついたてとかそういうの、全然ありません。すごい開放感だ!

ああ、この空間から「iQON」が誕生しているのね…

ちなみに一応ご紹介しておきますと、「iQON」は、2010年に誕生した女性向けファッションコーディネートアプリ。「iQON」は200以上のファッションECサイトと連携していて、ユーザーは累計1000万点以上のアイテムから好きなものをチョイス、アプリ上で楽しくコーディネートしながらコラージュ画像を作って公開することができるんです。

様々なファッションコーディネートアプリがある中、「iQON」の最大の特長は「気に入ったアイテムがすぐに購入できる」、「ECサイトで販売されている商品のみでコーディネートされている」点。また自社ブランド商品・自社取扱い商品のみでコーディネートされる一般的なECショップとも違うので、とても中立的な立場から、ユーザーに商品との出会いを提供しているんです。

さてさて、というわけでご紹介いたしましょう。CEO金山さんとCTO今村さんです!

いやあ、お写真では何度も拝見したことありますが、ご本人にお会いできるのってやっぱり嬉しい!

ぼくらは全然オシャレじゃない。けっこうなかなか、泥だらけ

いやはやじつにオシャレな空間ですね!無駄のない、洗練された空間…

金山

いやー、オシャレっぽく見られるんですけどね、実際ぼくたちの仕事のスタイルは全然オシャレとかじゃないですよ。競合ファッションアプリがどんどん出て来て成長しているし、そんな中、ベンチャーな自分たちは泥だらけになりながら仕事している感じです。大手の競合アプリのみなさまが、完全フル装備で立ち向かってくるところ、僕たちは竹槍もって必死で闘ってるって感じです(笑)。

竹槍て(笑)。でもファッションアプリとしてはホント、先駆けですよね。当時は「こんなことができるなんて!」って驚きましたもん。

金山

そう、2010年当時はECサイト利用者が徐々に増え始めた頃なんですけど、同時に女性ファッション誌が低迷しはじめていた頃でもありました。つまりネットで購入機会は増えたのに、「あ、この服いい!これ欲しい!」というインスピレーションをもたらす機会は減っていっていたんです。だから、インスピレーションを提供するとともに、欲しいと思えばすぐ買えるというシームレスな仕組みを作れたら、それはとても大きなビジネスチャンスなのではと考えたんですよね。

今村

そう、それである日金山に「こんなの作れるかな」って声をかけられたんです。ヤフーの会議室で(笑)。当時僕らは一緒に、新サービスをヤフーでばんばん作っていました。寝る時間はあんまりなかったけど、ホント楽しかった(笑)。で、既に信頼関係もできていたし、彼が話すビジネスアイデアに魅力を感じました。ファッションの世界でのCGMモデルのWebサービスって無かったし、直感的にこれはいけるって思ったんです。

寝るのを忘れるほど仕事に没頭するハングリーなこの2人が手を組んだら…やっぱり、出だしから好調でしたか?

金山

いや、まだ無いものを作るわけだから、ひたすら大変でしたね。その頃から今に至るまで、うまくいったことより、うまくいかなかったことのほうが圧倒的に多いですよ。それでもまあ、僕ら2人はヤフー時代も泥臭く働いてきたし、ウチにいる仲間たちも僕らと同様、かなり根性あるんで、失敗しても全然めげない(笑)。めっちゃポジティブなんですよね。だから今までやってこれたんだと思います。

ファッションセンスより大事なのは、地味な努力を続けられる「根性」

確かに「iQON」って、誕生とともに勢いよく跳ねたというよりも、長い時間をかけて地道にユーザーを増やしてきた実力派サービスという印象があります。根性あるメンバーの皆さんの努力の成果なんですね。

金山

そうですね。まだ世の中にない仕組みを立ち上げて、広めていく仕事ですから、当然難易度は高いわけです。例えば100万人が利用するサービスを、一切苦労せずに立ち上げられる人なんていない。全員でひらすら地道に改善を続けて、うまくいく確率を上げていったって感じです。うちじゃ、グロースハックやろう、なんてわざわざ、誰も言わない。職種問わず全員がサービス拡大に向けて動いているから、自然とグロースハックしてるんですよね。

みんな心は体育会系、案外、汗臭い現場ですよ、と金山さん。

金山

今でこそ「iQON」は多くの人に利用していただけるようになりましたが、まだまだ道半ば。うまくいかないこと、しんどいこと、でもそれが楽しい!って思えるクレイジーなハートを持っている人が、VASILYに向いていると思います。

「たとえばアスリートたちは、日本代表になるためにとんでもない量の練習を地道にこなしているし、国際コンクール優勝を狙う音楽家たちは、1日10時間練習するのがあたりまえの日々を送っている…感覚としては僕らも同じです」と金山さんは言います。…けど、そんな根性ある人、あんまりいない気がする…

金山

たしかに多くはありません。僕の場合は、バンドやっていた頃の体験が仕事観に影響していますね。一度、幸運なことにフジロックに出演することができたんですが、その時に目撃した舞台裏は…衝撃的でした。とにかく、あるアーティストさんの練習量がハンパなかったんですよ。出演時間までまだまだ時間があるのに、無言で黙々と練習を続けている姿は今でも忘れられません。

LIVEで人々を魅了し輝き続ける彼らプロフェッショナルが、日々どれだけ努力を重ねているか。自分たちが日々影響や刺激を受けている様々なモノや表現が生まれるまでに、どれだけ膨大な時間が注がれているか…それを五感でビリビリと痛感したことが、金山さんに火を付けたわけです。

金山

ちょっとやそっとで諦めるようなハンパな人は、VASILYにはいないかも。熱を感じる人ばっかりですね。たとえば、彼女もそう。

といいながら、同席してくださっていた広報の坂井さんについて話し始めた金山さん。「え、私ですか」って驚く顔をする坂井さん(笑)。しかしまあ、聞いてみると納得、スゴイ経験の持ち主でいらっしゃいました。

金山

彼女は音大出身で、サックスの国際コンクールで2位になった経験があるんです。そもそもそのために死ぬほど練習したんだろうし、限界まで努力した末、優勝を逃したという悔しさも彼女のパワーになっていると思います。

すげー…。ちなみに坂井さんはその後音楽の道から退き、客室乗務員として活躍した後、VASILYへ。ハア…確かに根性がないと歩めない、汗まみれな道のりです。

東京大学大学院で天文学に没頭していた技術者が、今は「iQON」に夢中

そうそう、エンジニアにも面白い子がいますよ、と今村さん。

今村

データサイエンティストの後藤くんなんですが、彼は東大の大学院で天文学を勉強していたんですよ。聞けば、銀河の進化について研究していたとか。

えー!これはまた全然違う分野…天文学!

今村

って思いますよね。でも共通点があるんです。天文学というのは、膨大なデータ分析を繰り返していく学問。「iQON」も、よりユーザーひとりひとりに合った発見を提供していくためには、データ分析技術が不可欠なんですよ。天文学に没頭していた彼ですが、没頭すればするほどに、天文学がいかに「目の前の生活から遠いか」を痛感したとか。それで就職活動を始めた彼が、VASILYに興味を持ってくれたわけです。

なるほど…!ちなみにそんな後藤さんが在籍するデータサイエンティストチームのメンバーと共に頭脳をフル活用して、最近こんな機能をリリースしました。

「for You」という新機能で、いわゆるレコメンドエンジンです。リリースまもなく一気に評判になり、売上もガッツリ上がったのだとか。レコメンド機能、というとフツーに聞こえるかもしれませんが、おそらく皆さんが想像しているのは、特定のECサイト内のレコメンド機能。それに対して「for you」は、「iQON」と提携している200以上のECサイトを横断し、その膨大な商品の中からレコメンドしてくれるからスゴイんです。

今村

彼が入社してくれたのは、とてもいいタイミングでした。これまでサービスを続けてきて、ようやくビッグデータが溜まってきたところだったからです。もともとレコメンド機能は実装したかったんですが、データ量が足りなかったんですよね。5年が経過して、商品情報やブランド情報、ユーザーの行動傾向データなどが納得できる量に到達しました。

へえ…なんか運命的な感じもしますね。しかしファッションアプリは数あれど、確かに「データ」という点で先発企業である「iQON」は圧倒的に他を引き離していそうです。

エンジニア冥利に尽きる、ファッションという研究分野

金山

いやいや、まだまだデータとして顕在化させたい要素、たくさんあります。ファッションって非常に感覚的な分野ですよね。でも案外、データ分析してみるとパターン化やモデル化が出来たりするんです。

たとえば「全国各都道府県の平均的コーディネート」なんてものを、膨大なユーザー行動データから導き出してみたこともあったそう。すると…まあ面白いくらい如実に地域毎に特長が出てきたそう!いや、それ、面白い!でもめちゃくちゃ大変だったそうです。そらそうですよね…

ああ、これ作るの大変だったなあ…と振り返る金山さん。

金山

そもそもファッションという分野に対して取り組み、明確な成果を挙げたデータサイエンティストって居ないと思うんですよね。感覚的だしトレンドも変わるし難しいですから。けっこう、最高レベルの難易度だと思いますよ。そうしたデータを分析したり、それをもとに機能を実装してPDCAを回したりするのって、エンジニアにとってかなり面白いはず。

今村

普段の生活でファッションに興味がないとしても、研究対象としてはめちゃくちゃ面白いんですよね、ファッションって。感性と数値、直感と論理みたいな両極端なものの関わりを導き出す、すごく難しい分野ですから。でも実際、「for You」は売上として結果が出ていますし、難易度が高いものの不可能ではない。非常にチャレンジングな仕事です。

うわー、なるほどー!めちゃくちゃ納得します。

ユーザーの「カワイイ」「キレイ」といった曖昧な一つ一つの感情を定義してデータ化する。それを分析していくことは、並大抵のことじゃない気がするけど、エンジニアにとっては、めちゃめちゃ楽しそうなことですよね。だって、その取り組みによってトレンドの傾向を導き出して、新機能のアイデアや新しいサービスの元になったりするのだから。

「絶対に、オッサンだけで決めない」というVASILYの鉄則

今村

ましてや、女性のファッションに対する心理なんて全然わかんないんですよ、それがまた面白い(笑)。

金山

そう、オッサンにはキツいよね(笑)。女子力を身につけようっていったって、そりゃ無理な話。以前、研究熱心な男性エンジニアが女子の感覚を捉えるために、女子になりきってインスタグラム始めたんですよ。そりゃもう我々には完全に女子に見えるし見事なものでしたけど(笑)、やっぱり限界があったみたいですね。

すごい(笑)。めっちゃ面白い…さすがサービスに賭ける情熱が違いますね。でもまあ確かに、女性目線がいかようなものなのかは、女性に頼るのが一番ですよね。

金山

そう、ですから全職種に女性社員を配置していますし、決して「オッサンたちだけでは決めない」ことにしています。何度もありますよ、失敗。これ絶対女子ウケするよねって確信して進めたら、女性社員から大反対を食らうっていう失敗。オッサンの幻想は完全にデザイン段階でボツりますね(笑)。

オッサンの幻想(笑)。でも確かに、なんか分かる気がします。

今村

さっき紹介した「for You」も、最初は苦戦の連続でしたね。データ的には間違っちゃいないはずなんだけど、どうも女性社員に全く刺さらなかったんです。オッサンたちだけでデータクラスタリングしたのが間違いでした。で、いちからやりなおし。女性の意見を踏まえた結果、計算量は何倍にもなり開発は相当大変でしたが、非常に良い結果を出すことが出来たのでよかったです。

また「iQON」には「相談」という機能があり、ファッションやヘアスタイル、ライフスタイルなどについてユーザー同士で意見交換ができるのですが、これは企画から実装まですべて女性社員中心で進めたそう。結果、この機能は大人気!主に「このアイテム、何に合わせればいいだろう」という相談事が多く寄せられていて、それに対して「こんなのどう?」と、沢山のコーディネート案が集まってくるんです。もちろん、そのコーディネートも「iQON」上ですぐ買えちゃう。ああなんてシームレス!

日本の女性に、もっともっと素敵な出会いを届けたい

金山

こんなふうに、自分が使わないサービスを必死で作ってる毎日。すごく難しいけど、すごく面白い。これで基礎体力や一定のノウハウを手に入れることができたら、アジアやヨーロッパなど、全く違うカルチャーを持つ場所でもサービス展開できると考えています。

なんなら、火星人向けのサービスもできるかも、なんて冗談を言う金山さん。確かに。なるほどなるほど。

金山

もちろん、世界市場に進出する前に、日本でしっかりとビジネス展開し、足下を固めることが先決です。もっともっと、日本にいる女性たちに新しい出会いを提供して、ワクワクしてもらいたい。僕らはファッションが持つ「エモーショナル」なパワーをもっと引き上げていきたいんです。

エモーショナル、とは?

金山

シンプルなことです。一目惚れした靴を履いたから今日は寄り道してみよう、とか。今日のコーディネートめっちゃイケてるからプレゼンも絶対キマるはず、とか。超かわいいワンピース見つけたから、これを買って飲み会参加しちゃおう、とか。ファッションって、人の心を動かすし、アクションのきっかけになるんです。それをもっと増やせば、もっともっとポジティブな社会になるんじゃないかなって思うんですよね。

うわ…すごいわかる。当方女性ですので、その女性の感覚めちゃくちゃ共感します。またあれなんですよね、「あ、これすごい可愛い、最高に欲しい」っていうファッションアイテムとの出会いって、街を歩いていてもそうあるもんじゃない。テクノロジーのパワーで出会わせてくれるのなら、それって最高です。まあ散財しちゃいそうですけど(笑)。

いやはやしかし、どんどん進化を続ける「iQON」の裏側をのぞくことができて実に面白かったです。終始パッションに満ちた金山さんと今村さん…すごい名コンビ!これからも「iQON」の発展、とても楽しみにしています。

どうもありがとうございました!

会社名 株式会社VASILY
代表者 金山 裕樹(代表取締役)
設立 2008年11月
所在地
150-0043
東京都渋谷区恵比寿1-18-14 恵比寿ファーストスクエア 9F
事業内容 ファッションアプリiQON(アイコン)の運営
ソフトウェアの開発、提供
運営サービス ファッションアプリ「iQON(アイコン)