企業の求人広告を見ていると、給与が掲載されている項目に、別途インセンティブ有りと記載されている企業があります。求人広告を見ている人の中には、「インセンティブって何?」、「歩合とは違うの?」と思われる人もいるのではないでしょうか。今回はインセンティブについて説明します。
インセンティブとは
これまでの職場ではインセンティブ制度がなかった人や、働いた経験のない人にとっては、インセンティブ有りと聞いても、ピンとこない方もいるのではないでしょうか。
インセンティブの本来の意味は、やる気を起こさせるための外的刺激のことです。そして、求人票に記載されているインセンティブとは、社員の働く意欲を向上させるために、会社から与えられるご褒美(=給与)のことになります。通常の給与額に、上乗せして給与が支払われる仕組みのことを、インセンティブといいます。
インセンティブを受け取るためには、仕事の実績をあげることが求められます。インセンティブの対象基準となる実績を達成することで、基本給にプラスされた給与を手にすることができます。
インセンティブにはさまざまなパターンがある
インセンティブの内容は、企業によってさまざまなパターンがあります。企業側から設定された計画をクリアすれば一律で、同じ金額のインセンティブが支給されるパターンがあれば、実績が増えれば増えるほど、実績1件ごとの支給金額が増えていくパターンもあります。具体例をあげて説明します。
まずは、計画をクリアすれば同じ金額のインセンティブが支給されるパターンです。企業側から10件の実績をあげればインセンティブの対象になると設定されている場合は、10件の実績をあげればインセンティブが支給されます。実績が11件になったとしても、インセンティブの支給金額は変わりません。
次に、実績が増えれば増えるほど、インセンティブの支給金額が増えるパターンの場合です。
パターン1
実績5件から7件ならインセンティブの支給金額が5,000円、8件から10件なら10,000円、11件から15件なら20,000円となるパターンがあります。
実績 | インセンティブ支給金額 |
---|---|
5~7件 | 5,000円 |
8~10件 | 10,000円 |
11~15件 | 20,000円 |
パターン2
実績が5件から7件なら、インセンティブの支給金額が1件あたり1,000円、8件から10件なら実績1件あたり1,500円、11件から15件の実績をあげれば、1件あたり2,500円になるといったパターンです。このパターンならば、7件の実績をあげれば7,000円が、10件の実績をあげれば15,000円が、15件の実績をあげれば37,500円がそれぞれインセンティブとして支給されます。
実績 | 実績1件あたりのインセンティブ | インセンティブ支給金額 |
---|---|---|
5~7件 | 1,000円 | 5,000~7,000円 |
8~10件 | 1,500円 | 12,000~15,000円 |
11~15件 | 2,500円 | 27,500~37,500円 |
具体例で紹介したインセンティブは実績数に応じたものですが、インセンティブの基準は実績数だけではありません。売上金額の○%など、インセンティブの基準が売上金額となっている企業もあります。
また、実績の集計期間が、1か月だったり、3か月や6か月だったりと、実績の集計期間は、企業によって異なっています。1か月の集計期間でインセンティブが支給される企業であれば、翌月の給与にインセンティブが反映されますが、3か月や6か月などの実績の集計期間がある場合は、集計期間後の給与にインセンティブが反映されることになります。
そして、基本給を高めに設定してある代わりに、インセンティブは低めに設定している企業があれば、基本給を低めに設定している代わりに、インセンティブが高めに設定してある企業があります。ですから、入社後に、思っていたよりも、手にする給与が少なかったと後悔しないためにも、面接の時に、給与に関することを詳しく確認されることをおすすめします。「会社のためにがんばりたい」などと意欲があることを前面に出して尋ねれば、悪い印象を抱く採用担当者は少ないでしょう。
インセンティブで支給されるのは金額以外にもある
インセンティブで支給されるのは、なにも現金だけとは限りません。プリペイドカードや商品券など、現金と同様に使用できる金券が支給される企業があります。さらに、目標を達成すれば、旅行に行かせてくれる企業もあります。これらも、インセンティブの一種となることを覚えておくと良いでしょう。
インセンティブと歩合の違いは

インセンティブは、目標を達成することでもらえるのに対して、歩合は、実績1件ごとに○○円を支給と決められている仕組みです。歩合が設定されていれば、基本的には、基本給に歩合給をプラスして給与を受け取れます。しかし、完全歩合制の給与体系の企業であれば、基本給はなく、受け取れるのは歩合給のみです。完全歩合制は、フルコミッション制ともいわれています。
完全歩合制の給与体系を敷いている企業を希望される場合は、正社員として雇用されることはありません。個人事業主として業務委託契約を企業と締結し、仕事をすることになります。実績をあげればあげるほど、多くの報酬を手にすることができますので、仕事のやりがいは高いと思いますが、実績が全くあげられなければ、報酬を全く手にすることができないことになりますので注意が必要です。
そのほかのインセンティブと似た言葉
インセンティブと似た言葉としては、歩合以外に、報奨金や業績給、出来高給があります。報奨金や業績給、出来高給は、インセンティブと同様、企業ごとに内容には違いがあります。よって、インセンティブと同様、求人広告の給与項目に業績給や出来高給有りと記載されている場合は、面接時に詳しく確認すると良いでしょう。
まとめ
インセンティブがある企業に勤めれば、努力次第で給与を増やすことができます。しかし、実績の集計期間や報酬額の計算方法などは、企業ごとで異なります。なので、面接のときにインセンティブの内容は必ず確認するようにしましょう。