転職や就職活動をしていると、内定辞退した会社があとになって「やっぱり自分にあっていたのではないか」と悩むこともあるのではないでしょうか。一度内定を取り消してしまった会社に入社することはできるのでしょうか。
内定を辞退した企業への入社はできるの?
可能性としては低いと考えるべき
結論から述べると、一度内定を辞退した企業へ入社できる可能性は低いと考えておいたほうが良いでしょう。常識的に考えると、内定を辞退した会社が採用してくれるとは考えにくく、内定辞退から時間が経っている場合、採用活動自体を終えている可能性もあるからです。
また、企業にしてみても、内定を出したのに辞退した人がもう一度応募してくるとなれば、マイナスのイメージを抱きかねません。本当に信頼たりうる人物なのか、あるいは、入社後に「やっぱり思っていたのと違う」ということで退職しないかなど、さまざまなリスクを検討します。そうなると、一度内定辞退をした人を再び採用する可能性は低くなります。
採用活動をしているのであれば応募はできる
とはいえ、内定辞退後も会社の採用活動が続いているのであれば、求人に応募できないわけではありません。その場合、なぜ「一度内定を辞退したのに再びこの会社を受けようと思ったのか」を正直に伝えることが重要となります。
また、応募者が経験者か新卒かによっても対応は違ってくるでしょう。経験者はある程度スキルを持っているので、即戦力としてみてもらえる可能性があります。企業が求める人材であれば、一度内定を辞退したとしても、雇ってもらえる可能性はあります。
ただし、企業はあらゆるリスクを考え、応募者が信頼できる人物か見極めようとします。どんなに優れた技術やスキルがあったとしても、会社で働くにあたっては、最終的に人物性がものを言います。内定辞退により一度信頼を損なっているといえますから、その疑惑を払拭できるかどうかが大切です。
連絡をしてくださいと言ってくれる企業もある
企業によっては、内定辞退を伝えたとき、採用担当者から「その後の就職活動の状況を連絡して欲しい」と言われることもあります。企業も採用したい相手であるからこそ、内定辞退は避けたいところです。もし他社の合否待ちを待っているのであれば、結果が分かり次第連絡するように、迅速に対応しなければいけません。
内定承諾後の辞退は慎重に
内定承諾書の提出を求められることも
内定通知をもらった後、企業から内定承諾書の署名を求められることがあります。内定承諾書とは、内定者が就職活動を終了し、内定承諾書を提出した企業に入社する意思を表明するものです。
企業は、内定者に入社意思があるかどうか確認せずに受け入れ準備を行うと、いざ内定辞退がおこったときに、それまでの労力と時間が無駄に終わります。再び採用活動を行うにもコストがかかり、人員補充を予定していた部署でも業務の進捗に支障が出ます。そうしたリスクを避けるためにも、やむを得ない理由を除いて、内定承諾書を提出してもらう企業もあります。
内定辞退は法的に違法ではないが注意が必要
内定承諾書は本人の入社意思を表明した書類ですが、法的な拘束力はありませんし、労働者には職業選択の自由が保障されています。内定承諾書を出したあとでも、基本的に辞退することはできます。
しかし、内定承諾書を出した時点で、労働契約が成立することも確かです。内定辞退により、実際に企業に大きな損害が生じた場合、「契約違反」として損害賠償の請求をすることはできます。内定辞退が訴訟になるケースは限定的ではありますが、内定者に対して、会社がすでに多額の投資をしている場合は、損害賠償を求められる可能性はないとも言い切れません。
内定辞退は、労働契約が成立したにもかかわらず、入社を取り消しにするのですから、企業に迷惑と労力をかけることを自覚し、失礼のないように辞退を申し出ましょう。
内定承諾書を出す前に
もし他社の求人にも応募し、採用合否を待っている場合は、こちらの事情をあらかじめ伝えるのも一つの手です。面接時や内定通知をもらったときに、内定を保留にし、入社意思の返事をする期限を延ばしてもらうように交渉しておきましょう。内定保留は常識的に考えて一週間ほどですが、企業によっては面接から内定までに数週間かかるところもあります。返事までにどれぐらいかかりそうか伝え、状況が分かり次第速やかに連絡をすることが大切です。
まとめ
以上、一度内定辞退をした会社に入社できるかどうか解説しました。まとめると、一度内定を辞退した会社に入社することは難しいが、採用活動が終わっていなければ応募はできます。ただし、再び内定をもらうことは簡単ではありません。内定辞退には法的拘束力はないものの、会社に多大なコストと迷惑をかける行為であることも自覚し、慎重に行うようにしましょう。