web・グラフィックデザイナーやライターなど、発想力を活かして何かを生み出していくのがクリエイティブ職です。デザインができればデザイナーになれる、文章が書ければライターになれる、そんな時代はすでに過ぎ去り、昨今ではクリエイターにも幅広いスキルが求められるようになってきました。
その背景にあるのが、デザインやライティングのハードルが下がったことでしょう。ツールを使えばスキルが無い人でもデザインがしやすくなり、またブログやSNSの普及で文章の上手な一般人も増えてきました。そんな中で「ただ描ける、ただ書ける」というクリエイターは生き残っていきづらくなっています。
では今の時代に、そしてこれからの時代に、クリエイターにはどんな資質が求められるのでしょうか。クリエイティブ能力以外に、ビジネスパーソンとして求められるものなどについても解説していきます。
当然ながらクリエイティブスキルは必須

クリエイターである以上、業務に必要なクリエイティブスキルは必須です。例えばデザイナーであれば、クライアントから求められるイラストやデザインをカタチに書き起こす力があるかどうか。そしてライターであれば、取材力や文章力、表現力があるかどうかが必要とされるでしょう。これはあくまでもベースとしての能力であり、たとえ未経験募集であってもその素養は必要です。
これらの能力は、主にポートフォリオ(手掛けた作品をまとめたもの)で判断されます。もしポートフォリオを持っていない場合は、面接前にあらかじめ作成しておくことをオススメします。面接やコンペなどを含め、今後クリエイターとして生きていくのであれば必ず求められるものです。ポートフォリオは単に作品をファイリングするだけでなく、制作背景や課題解決への意図、効果なども細かくまとめておくと、より質の高いものになります。
なお業務経験がなくてポートフォリオを用意できなくても、企業側がそれで構わないのであれば問題はありません。その場合は、自分にはどんなデザインやライティングができるのか、できるだけ言語化して説明できるようにしておきましょう。
ビジネス感覚があるかも求められる時代に

クリエイティブはアートではありません。クライアントがあってこそのものであり、要望や意図を汲んで、成果を残すために制作していく仕事です。そのため、自己満足ではない『ビジネス感覚』が求められます。では具体的にはどういうことなのか。代表的なものを以下の3点にまとめました。
コミュニケーション力があるか
クライアントとの打ち合わせ、取材、他部門との連携、制作物の調整など、クリエイティブの仕事は周囲の様々な人と関わりながら進めていきます。当然ながらコミュニケーション力は求められるでしょう。ただデザインができる、文章が書ける、というだけの人は採用されにくいのが実情です。
課題解決への企画力があるか
クリエイティブは、企業が持つ課題を解決するためのツールです。どんな課題があり、どうすれば解決に導くことができるのか。それを企画できる、いわゆる『課題解決型』の仕事ができるかどうかが求められるといえます。
スキルの種類としては、ブランディングやマーケティング、コンサルティングにも近い分野でしょう。クリエイティブが身近になり、フリーのクリエイターも多い中、プロとして勝負をしていくためにはこうしたスキルがなければなりません。
モチベーションマネジメントができるか
当たり前のようで、意外になかなかできないのがモチベーションマネジメントです。クリエイティブ系の仕事は業務時間が長くなることもあります。繁忙期は終電まで仕事をしたり、徹夜で対応したりということも企業によってはあります。
自らモチベーションを保ち続けられる人でなければ長続きはしづらいでしょう。採用側の企業としては、クリエイティブの仕事が好きか、思入れがあるか、意欲やヤル気があるかなど熱意を見ています。
クリエイターに求められるものは、時代と共に変わっていく
少し前のことですが、AIのコピーライターが誕生したというニュースがありました。特別な存在だったクリエイターへのハードルは時代と共に低くなり、ついには人間の仕事ですらなくなる日も近くなってきたのかもしれません。だからこそ単に制作をするだけでなく、コミュニケーション能力やブランディング、マーケティング、企画、コンサルティングなど様々な能力が必要になってきているのでしょう。
時代と共にクリエイターに求められる資質は大きく変わっていきます。クリエイティブを生業にしていくのであれば、変化に対応できるように学び続けていかなければなりません。自分はどんなクリエイターになりたいのか、そして何を身に付けていくべきなのかを改めて考えていただければ幸いです。