給与や福利厚生などが好条件で気になる企業を見つけたとしても、その企業が常に求人を出し続けているようなら、離職率が高いのかと不安になって応募をためらってしまうかもしれません。
この記事では頻繁に求人を出している企業にはどのような事情があるのかを解説し、あわせて企業の実情を探るための手段を紹介していきます。
企業が頻繁に求人を募集している理由は?

企業が常に求人を出す理由は、大きく分けてふたつです。ひとつは、不足している人員を補充するためです。もうひとつは、よりよい人材を求めてです。
ただし、人員が慢性的に不足しているために頻繁に募集をかけている企業であっても、その企業の離職率が高いとは限りません。
人員数の不足を補うため
離職率が高いために慢性的に人員が足りておらず、ずっと求人をかけている企業も一定の割合では存在します。
ただし、一般的に、職務と従業員の適正とのミスマッチを是正するために、一定の離職率を保って人材の新陳代謝を促すことは、企業の活力と健全性を保つために必要とされています。
特に、規模の大きな企業ではこうした健全な離職も一定数にのぼるため、継続的に募集をかけて組織の活性化を計っています。
新規の人材が必要
既存事業を拡大したり、事業の多角化を進めたりしているために常に募集をかけている場合もあります。
頻繁に求人を出している企業が、急速に成長している企業だった場合、その企業はどんどん新しい仕事を創出しているため、新しい仕事を担うための人材を募集しているものと解釈できます。
人が集まりにくい職種である
業界や職種によっては特定の知識や経験・資格などが必要な場合があります。
業界内の人材が少なく、人材の流動性が乏しい場合、企業は常に求人を出さざるをえなくなります。
人材を厳選して採用したいため
高い能力をもつ有望な人材が応募してきたら採用するというスタンスに立って求人活動を行う企業もあります。
応募者が何人いても、不足している人員を補充するための募集ではないため採用を急ぐ必要はなく、必要な水準を満たした求職者がいないと判断したら採用者をゼロとすることもあります。こうした企業もずっと採用をかけているように見えることがあります。
人材の流動性が高い業種・業界もある
商品先物取引や住宅販売、住宅投資の営業や、消費者金融業など、以前から離職率の高さが指摘されている職種もありますが、そうした職とは違う理由で離職率が高い職種もあります。
例えば、プログラマーやSEなどのIT技術職では、用いられるプログラミング言語の流行り廃りが速く、高い技術をもつ人材を自社に抱え込もうという圧力が業界全体として強く存在します。
このため、より高い給与や待遇、スキルと経験を得ることを求めた転職が当たり前とされています。業界全体の潮流として人材の流動性が高いために、企業が常に求人を出しているというケースもあります。
応募企業の情報収集を行うためには?
応募しようと思っている企業が頻繁に求人を出していることが気になるなら、その企業が成長段階であるために求人を出しているのか、それとも定着率が低いために求人を出し続けているのかを確認してみましょう。
調査するためには、以下のような手段が考えられます。
- 業界全体としての活況の度合いや、応募を考えている企業の業績などを、インターネットや書籍、業界紙などを取り寄せて調べてみる。
- 上場企業なら、会社四季報に賞与支給額や有給休暇の取得日数などが載っていることがある。また、IR情報や有価証券報告書などから業績や従業員の増減などの情報を集めることもでき、従業員の定着率をある程度予想できる。
- 同業者など、業界に詳しい人に応募を考えている企業の評判を聞いてみる。
- 参考程度の情報として、転職の口コミページなどを見て企業の評判を調べる。
- 小売店や飲食店なら客として店を訪問して、働いている人の表情や態度などを確認する。
- 求人に関心がある場合は、実際に職場見学をしてみる。
事業内容や業績、企業の理念などへの理解を深める企業研究は、面接での自己アピールにも役立ちますから、積極的に行っていきましょう。
企業が頻繁に募集をかけている理由を理解しましょう

企業が頻繁に求人を出す理由にはさまざまなものがあります。企業の発展に必要な人材を求めている場合もあれば、不足している人員を補充するためであるかもしれません。
応募しようと考えた企業が頻繁に求人を出していることに不安を感じたなら、その理由を探ってみましょう。
IT業界などなら、人材の流動性が高いという業界特有の事情がありますし、事業を拡大させたり多角化させたりしているなど企業の発展に伴って常に人材を募集しているなら、その企業の体質は健全であると推測できるでしょう。
不安を抱いたままでは、面接の場でも入社や職務への意欲を示しにくくなります。「この企業で働きたい」という意思を伝えられるように、企業に対する疑問はすべて解消してから面接に望みましょう。