求人の条件欄によく表示されているものの一つに、試用期間があります。
1~3ヶ月ほどの期間の企業が多いですが、もし試用期間中に雇用打ち切りになってしまったら.,.と不安な方もいるかもしれません。
そもそも試用期間とは何なのでしょうか。また、法的な定めなどはあるのでしょうか。その内容を解説していきます。
そもそも試用期間とは

労働者を本採用するまでに、技能や適性を判断したり研修を実施するために設けられた制度のことです。
つまり、成果を出すことを求めるというより、勤務態度をチェックしたり、会社が求めるスキルを最終チェックしたりする期間のことです。
法律的には、企業側に解約権が留保された、労働契約であると解釈されています。
試用期間の長さは企業によりますが、社員の場合は1~3ヶ月、アルバイトは数週間(または数10時間~100時間)が一般的でしょう。
給与の支払いに関しては、試用期間中には減額する企業もあれば、特にしない企業もあり様々です。
試用期間で雇用が打ち切られる場合とは
客観的で合理的な理由があり、社会通念上相当として認められる場合にのみ許されるものです。
例えば、毎日のように遅刻する、顧客や社内メンバーに失礼な態度をとる、本人の履歴に重大な虚偽があったことが発覚する、社会的に許されない行為などが具体例として挙げられます。
このような場合は、継続的で健全な勤務が難しいと誰もが判断できるため、試用期間中の雇用打ち切りの理由としては十分満たしていると言えます。簡単に言えば、社会的に不適切な行動をとるということです。
一方で、「コミュニケーション能力がない」「社交性がない」「仕事ができない」など、抽象的で人によって判断軸が異なる理由は適用されません。
真面目に仕事に取り組んでいれば、本採用に繋がる
前述のように、あからさまに社会的ルールに反している場合以外、基本的に試用期間中に雇用が打ち切られることはありません。
たとえ入社したばかりで、「仕事がなかなか覚えられない、どうしよう」と不安に思っていても、仕事自体に一生懸命取り組んでいれば、その姿勢を十分に評価してもらえます。
このように、試用期間中に最も重要なことは、前向きに仕事に取り組み努力することです。試用期間は企業と新入社員双方にとって、マッチしているか判断する時間と言えるでしょう。
よほどの理由がなければ、雇用打ち切りにはなりませんので、心配をするよりも仕事に全力で取り組んだ方が得策でしょう。
試用期間の延長を言い渡されたら
「3ヶ月のはずの試用期間が、突然延長された」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
試用期間の延長を行うためには、就業規則で定められている必要があり、特別の事情のある場合に限られるものなのです。
正当で客観的な理由がないまま延長を言い渡された場合は、公序良俗違反として無効になります。
もしそう言ったことを言い渡された、不安があるという場合は、最寄の労働基準監督署に相談しましょう。
試用期間の中に解雇を言い渡されたら
「試用期間中に解雇を言い渡された」と言う場合は、試用期間と解雇までの日数を確認しましょう。実は、この日数によって企業が取るべき手続きが異なってくるのです。それらが守られていない場合、不当になりますので、労働基準監督署に相談しましょう。
試用期間開始から14日が経過している場合、企業は通常の解雇をする場合と同じ手続きをする必要があります。具体的には、少なくとも解雇の30日前に、企業は労働者に対して解雇予告をする必要があります。
30日前に解雇予告をしない場合は、企業は解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があるのです。
一方、試用期間開始から14日以内の場合、労働基準法第21条の規定により、企業は労働者に解雇予告をすることなく、解雇することが可能です。
しかし、この規定は試用開始から14日以内の解雇が、完全に企業の自由で、許されるものであると言っているわけではないのです。試用開始から14日以内であっても、客観的で合理的な理由が存在し、社会通念上、ルール違反であると認められる場合でなければ、解雇を行うことはできません。
抽象的で人によって判断軸が異なる解雇理由は、正当とは認められません。
もし試用期間中に解雇を言い渡された場合は、上記に当てはまる条件かを確認しましょう。
まとめ

試用期間は、会社と従業員が本当にマッチしているかを測る期間と言っても過言ではありません。
自分がのびのびと働くためにも、試用期間でも一生懸命仕事を覚えたり、取り組むことが重要です。社会的なモラルやマナーさえ守っていれば、最低限はクリアしています。試用期間にとらわれず、応募したい求人に応募してみてください。