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スマートフォンは多くの人にとって生活必需品です。電話、メール、SNS、おサイフケータイ、ゲームなど、さまざまなアプリを使っていることでしょう。このアプリの作り手が「スマートフォンエンジニア」です。今回はスマートフォンエンジニアの仕事内容についてご紹介します。
スマートフォンエンジニアとは、スマートフォンで使えるアプリを開発するエンジニアのことです。一般的に、iOS向けアプリ開発とAndroid向けアプリ開発は、別々のエンジニアが担当します。そのため、求人サイトでは「スマートフォンエンジニア」の名称ではなく、「iOSエンジニア」「Androidエンジニア」の名称で募集がかかっていることが大半です。
スマートフォンエンジニアは、Web上で動作するシステムを開発するWebエンジニアとは違い、システムの動作環境がスマートフォンに限定されることが大きな特徴です。そのため、開発環境は異なりますが、基本的な開発の流れは他のITエンジニア職と変わりません。
どのようなスマーフォンアプリを作るのか、クライアントやプロジェクト担当者に要件をヒアリングして仕様を固めます。要件定義と呼ばれる工程です。プロジェクトの規模が大きくなると、プロジェクトマネージャーを中心として、クライアント、スマートフォンエンジニア、デザイナーなど、さまざまな立場の人が集って意見を交換し、最終的な仕様を決定します。
要求仕様を元に設計書に落とし込む工程です。画面やデータ遷移を定義する外部設計とプログラムの流れ(フローチャート)をまとめる内部設計に分かれます。しかし、多くの場合、内部設計は行いません。コードを書きながら試行錯誤しなければ、正確な処理が分からないことが多いためです。
設計書を元にコードを書いていく工程です。iOSとAndroidでは開発環境とプログラミング言語が異なります。iOSでは開発環境にXcode、プログラミング言語にSwiftなどが使われます。一方、Androidの開発環境はAndroid Studio、プログラミング言語はKotlinなどです。コードが完成したら、スマートフォンで実行できる形式にプログラムを変換します。この工程をビルドといいます。
ビルドが完了したら、テストケースに基づき動作検証を行います。さまざまな動作パターンを考慮する必要があるため、すぐに終わるような簡単な工程ではありません。大規模アプリになると複数人のテスターがテストを行い、アプリの動作を検証します。エラーが発生した場合、エラーの箇所をエクセルなどにまとめてプログラマーに戻し、修正したのちに再度テストを実施。この工程をエラーがなくなるまで繰り返します。
テストが完了し、アプリケーションの品質が確保できたら、いよいよ運用開始です。なんらかのトラブルが発生した際には、原因を分析してプログラムの不具合であれば修正します。リリース後、安定稼働までの間はスマートフォンエンジニアが担当し、その後はサポートチームに引き継ぐ流れが大半です。引き継いだ後、スマートフォンエンジニアはまた新たなプロジェクトに関わっていきます。
求人サイトにおけるスマートフォンエンジニアの採用条件は、「アプリ開発XX年以上」「コンピュータサイエンスの基礎を理解している」などの言葉が並びます。そのため、全くの未経験ではむずかしく、スキルを身につけてから企業に応募することが必要です。ここでは、スキルを身につけるために有効な方法をご紹介します。
専門学校や大学の情報工学科では、スマートフォンエンジニアになるために必要なコンピュータサイエンスやプログラミングスキルを学べます。自分にとって必要な講義を選択できるケースが多いため、キャリアパスを考えながら学習を進められることも大きな魅力です。学校に通うことで、共に切磋琢磨できる仲間と巡り合えて、モチベーションを保ちながら学べるでしょう。
インターンや就職サポートも豊富に用意されているため、スキル習得に加えてこれらを活用することで、卒業後にスマートフォンエンジニアへ就職できる可能性はとても高いです。しかし、基本的に2年間以上の通学が必要になるため、経済的、時間的にゆとりがある人が対象となります。
スマートフォンエンジニア養成のプログラミングスクールに通うことも、有力な実現方法です。プログラミングスクールでは、必要な知識とスキルがセットで学べるため、学習効率がとても高いという特徴があります。学習でつまずいたときにも相談できる人が身近にいるため、挫折しにくく安心です。
異業種からスマートフォンエンジニアへの転職を考えている人にとっては、通学に割く時間の確保が難しいこともあるでしょう。その場合はプログラミングスクールを活用することで、空いた時間に効率的に学習を進められます。短期間で集中して学べるため、「スマートフォンエンジニアになりたい!」との熱が冷めないうちにキャリアパスを突き進めるメリットも見逃せません。
スマートフォンエンジニアに役立つ資格には、「App Development wit Swift」「Android 技術者認定試験制度(ACE)」などが挙げられます。資格は、基礎知識の定着や応募企業への証明材料として役立ちます。資格を取得して他の応募者との差別化を図ることは、とくに開発経験が不足していると思う人にとって、スマートフォンエンジニアになるための有効な戦略といえるでしょう。
スマートフォンエンジニアとしてキャリアを重ねることで、大きなやりがいやさまざまなことを身につけるチャンスに巡り合えます。
多くのスマートフォンエンジニアは、「チームで一丸となってアプリケーションを作ることにやりがいを感じる」といいます。アプリケーションが完成するまでの道は決して楽なものではなく、困難の連続です。仕様書を満たす機能の実装が難しいと気づくこともあれば、予期せぬエラーに悪戦苦闘することもあるでしょう。しかし、困難を乗り越えてやり遂げた先には、何事にも代えられない喜びがあるはずです。
スマートフォンエンジニアとして業務をこなしていくことで、市場価値の高いさまざまスキルが身につきます。
スマートフォンエンジニアは、作業時間のほとんどがプログラミングです。プログラミングを何度も繰り返すことで、iOSエンジニアであればSwift、AndroidエンジニアであればKotlinでコードを書くスキルが身につきます。
スマートフォンエンジニアに限ったことではありませんが、プログラミングの経験を重ねると、処理に必要なコードが自然と頭の中に浮かぶようになります。この状態になると、開発が思い通りに進み、仕事の楽しさを感じることも増えていくでしょう。プログラミングスキルの習得には個人差があるため、「できるようになるまで続ける」くらいの心構えが必要です。
多くのスマートフォンエンジニアは、プログラマーを経てやがてマネジメントの道に進みます。いわゆる「プロジェクトマネージャー」と呼ばれる立場です。プロジェクトマネージャーは、クライアントやプロジェクト担当者と要件を詰めたり、メンバーに作業指示を出したりするなど、プロジェクト全体を統率する役割を担います。開発が遅延しないように、メンバーの体調やモチベーションを気にかけながらプロジェクトを進行するリーダーシップも求められるでしょう。
さまざまなプロジェクトの成功体験を重ねることで、プロジェクトをマネジメントするスキルが向上していきます。プレッシャーが大きい反面、クライアントからのお褒めの言葉を頂戴することも多いため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
スマートフォンエンジニアとして経験を重ねると、iOSかAndroidのいずれかの領域で開発可能な幅が広がってきます。副業が了承されている企業であれば、自分が関わってみたいアプリ開発を副業で実践することで、さらにスキルが磨かれるでしょう。
もちろん、フリーランスエンジニアとして独り立ちすることも夢ではありません。フリーランスエンジニアをマッチングするサイトでは、iOSエンジニア、Androidエンジニアの求人は絶えずあります。スマートフォンエンジニアとして実力が身についたならば、フリーランスエンジニアとして生きていく道も選べるようになるでしょう。
スマートフォンエンジニアに興味があっても、「自分には向いているのかな?」と気になるものです。そこで、ここではスマートフォンエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。
スマートフォンエンジニアの場合、1日8時間以上、パソコンの画面と向き合いながらコードを書き続けます。実装に最適なアルゴリズムや関数を常に考え、試行錯誤することが必要です。
時には処理がエラーとなり、エラーの原因究明に悪戦苦闘することもあるでしょう。エラーが発生した場合は、基本的にGoogle検索などを活用しながら自分で解決しなければなりません。根気強くトライ&エラーを繰り返せる人は、スマートフォンエンジニアに向いています。
iOS、Androidは常にバージョンアップを繰り返していて、スマートフォンエンジニアに求められる知識や技術も絶え間なく変わっていきます。このときに大事になるのが、最新技術の習得へのチャレンジ精神です。スマートフォンエンジニアは知識を蓄えるだけでなく、実際に技術を習得し、アプリ開発に活かさなければなりません。
新しい技術が登場したら、情報が少ない中でも試行錯誤しながらコードを書くスピード感が必要です。次々と新しい領域にチャレンジすることにやりがいを感じる人は、スマートフォンエンジニアに向いているといえるでしょう
「スマートフォンアプリ開発が楽しい!」と感じる人は、もちろんスマートフォンエンジニアに適正があります。夢や希望を持ち、楽しんで仕事をしていると、周りを引きつけます。仲間もどんどん増えていくでしょう。
しかし、好きかどうかは実際に開発を経験しなければ分かりません。ITエンジニアには、スマートフォンエンジニア以外にも、Webエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアなど、さまざま職種があります。まずは簡単なアプリケーションを作ることから始めて、スマートフォンエンジニアへの適性を判断してみるといいでしょう。
組み込みエンジニアは、他のIT職種と違って専門性の高いスキルを身につける必要があることから、初心者の方が選択することに迷ってしまうかもしれません。
2020年から2027年にかけてのスマートフォンアプリ市場は、年平均11.5%以上で伸びると予想されています。市場の拡大に伴い、スマートフォンエンジニアが活躍する機会はますます増える見込みです。
スマートフォンエンジニアに興味のある人は、まずは企業の採用サイトをチェックして、求められるスキルを把握することから始めてみましょう。