最近は3D空間でキャラクターや実物を再現するなど、仮想空間上でのビジネスが注目され、3DCGデザイナーへの関心も高まっています。2Dと3DにそれぞれCGデザイナーの仕事がありますが、日本では3DCGが一般的です。では3DCGデザイナーとはどのような仕事をするのでしょうか。本ページでは3DCGに興味がある方・なりたい方に向けて仕事内容からやりがい・身につくスキルを紹介します。
3DCGデザイナーとは、グラフィックツールを利用してゲームキャラクターやアニメキャラクターなどの3D空間全体をデザインする仕事です。その作業工程はいくつかに細分化され、1つひとつが重要な役割を担います。
3DCGは完成までにいくつかの工程があり、1つひとつの工程に別々の担当者が割り当てられることが一般的です。工程ごとに作業内容は異なりますが、3DCGデザイナーはどの工程も担当できる必要があります。ここで紹介する仕事の工程は全て押さえておきましょう。
キャラクターや対象となる形状を3D化する(モデリングする)仕事です。立体物を作る際にポリゴンという板を貼り付けて組み立てていくことで、対象となる物質の形状を再現していきます。よりリアルな再現をしようとするとゲームの容量が重くなり、高性能な処理PCでないと遅延が発生する場合もあります。
プロジェクトによってどのくらいの再現性を求められるのかは変化しますが、スキルを積むとより少ないポリゴンでも非常に整った対象物を作成することもできます。基本的に会社で契約しているMayaのような有料ソフトを利用することが一般的ですが、一部ではBlenderのような無料ソフトを利用するケースもあります。
3DCGでは制作するものに動きが加わることが前提です。モデリング作成時はどの部分を可動域とするかまでは設定されていません。
そのため、モデリングで作成されたモデルを動かす時に回転軸や曲げる要素を設計するリギングという作業が必要です。アニメやゲームキャラクターなどは非常に複雑なモーションが発生するため、あらかじめコントローラという可動域の目印のようなパーツを設定することもあります。特にプログラミング要素とデザイナー要素の両方が必要とされることも特徴です。
アニメーションを担当するアニメーターは、リギングされたオブジェクトを実際に動かす役割を担います。
2Dアニメのように1シーンごとにコマ割りで稼働させるのではなく、可動域をまとめて動かしたり、テンプレートにして他の対象物にも同様の動きをさせたりと、効率的に作業することも可能です。アニメーターはキャラクターなどをどのように動かしていくのかを含め、その細かい動きで表現性を求められます。
最終的な書き出し作業をレンダリングで行います。細かな仕上げを施し、陰影を調整するシェーディングの加工や、3Dを2Dに落とし込む作業を行います。
コンピュータプログラムを用いて数値計算も必要となり、プログラミングが必要となる場合もあります。映像の書き出しをする場合、1週間以上も要することがあるため、処理量が大きな工数を担当する役割となります。
3DCGデザイナーは必要な資格などはないため、未経験でも業務に携わることはできます。その反面、他の業種に比べて未経験で始めるのが難しいことも事実です。最低限のスキルとポートフォリオを充実させるために、準備をしておく必要があります。
一番確実なのは、3DCGを扱う専門学校や美術大学などに通い、専門的なスキルを体系的に身につける方法です。未経験から3DCGを扱った技術を基礎から学習し、制作活動できる上に、3DCGを仕事としている講師や生徒、OB・OGのコミュニティに加われます。グラフィックデザインを扱う企業の就職を前提とするなら、専門学校や美術系大学への進学がおすすめです。
すでに社会人の方や一般の大学に進学している場合、3DCGデザイナーを未経験から募集している企業に転職したり、アルバイトとして経験を積んだりする方法があります。3DCGデザイナーではなくても、CAD作成の経験やアニメーション制作に関わったことがある場合は、経験を生かして転職できることもあります。
しかし、未経験者を募集している企業を見つけることは簡単ではありません。まずは未経験でも、利用するソフトウェアの最低限の基礎知識を独学などで身につけておく必要があります。
専門学校や大学で学ぶ場合、かなりの授業料が必要となり、平日に通わなければなりません。そのため、社会人などの方は独学や週末に開講しているスクールに通いながら3DCGデザイナーとしての経験を積んでいく方法があります。
3DCGデザイナーは学歴不問ですが実績を重視される業界のため、自身のポートフォリオを充実させておかなければいけません。そのため、転職やフリーランスで働くことを想定して、独学やスクールで制作物を作る必要があります。
3DCGデザイナーとして働く上で得られるやりがいや、現場で身につくスキルはたくさんあります。企画の開始から創作・完成まで携わるため、3DCGデザイナーならではの経験を得られます。
3DCGデザイナーは作品が世間に公開されるため、多くの人の目に触れる仕事です。そのため、自分の表現したい世界観やセンスを世間にぶつける、新しい情報を常に学び続けられるなど、やりがいを感じる場面は多いでしょう。以下で3DCGデザイナーのやりがいを詳しく紹介します。
要望やアイデアを形にしていくことが3DCGデザイナーの仕事であるため、自身の表現力や芸術的なセンスを発揮できます。
自身のアイデアを織り交ぜて制作することもでき、映像作品になると自分の名前がクレジットとして表示されます。自分が関係した証拠として、親戚や友達に披露できることもやりがいを感じるポイントです。
制作したキャラクターなどが市場に出ると、世間の評価が直接自分の評価につながります。キャラクターのファンが生まれたり、同じ業界で注目されたりすることもあります。
3Dは2Dよりも制作に時間がかかることも多く、何度もクライアントとやりとりした上で完成した時は、やりがいや達成感もそれだけ大きいものとなります。
現場で活動していく上で身につくスキルには、デッサン力・3DCGで使用するソフトウェアの技術・チームでの制作活動スキルなどがあります。
3DCGは2Dやイラストレーターに比べてデッサン力はマストではありませんが、ラフスケッチやアイデア出しの際にデッサンができると効果的です。クライアントと企画する上でデッサンする機会はあるので、実践的に身につけることができます。
技術面では、Mayaや3DS MAXなどの3DCGツールの実践的な使い方や、最新の情報を得られることも現場で働くメリットです。
3D作品はチームで制作するため、現場の制作フローやデータのやりとりなど個人では経験できないフローもスキルとして身につきます。
絵が上手いだけでは3DCGデザイナーとしては不十分です。担当範囲によって、技術面でも向き不向きがあることもあります。3DCGデザイナーとして向いているのは以下のような人です。
1つの制作が長期間に渡ることも多く、納期間近になると長時間労働や徹夜になることもしばしばあります。クライアントや先輩からの意見で自身の作品がボツになることも多々あるため、落ち込まずしっかり要求を聞いたり参考にしたりできる姿勢も大切です。
また、制作の1つひとつの作業は細かな作業やプログラミングになるため、華々しさはそこまでありません。日々の地味な作業をしていく過程で創作を楽しめる人は3DCGデザイナーに向いています。
魅力あるキャラクターを作るために、細やかな表情やシルエットなどを想像していく必要があります。実際には存在しない情景を作る時には、よりリアルに見せるための想像力が必要です。魅力的なキャラクターを作れる想像力は、3DCGデザイナーに向いている特徴の1つです。
チーム制作において、日々のコミュニケーションは欠かせません。円滑に作業を進めるために、チームやクライアントとコミュニケーションを難なくとれる人が向いています。
デッサンなどで生まれた2D上の作品を3D空間に移す際に、その物体の構造を考えられる構造把握能力や観察力がある人が、3DCGデザイナーに向いています。
素材や質感の理解、論理的な物体の運動まで、正確に物事を捉えて3Dに反映することで自然な動きを再現することにつながります。日々の観察力や論理的思考ができる人は向いていると言えます。
3DCGデザイナーは、プログラミングからデッサン力、コミュニケーション能力など多岐に渡るスキルを必要とします。現場でキャリアを積んでいくと、自分のセンスや表現力を発揮することも可能です。業界で注目されると、フリーランスとして企業からの依頼が直接来ることもあります。現場に参加するためにも、まずはしっかり基礎知識と技術を体系的に学ぶところから始めましょう。!