「広報」と聞いてみなさんはどんな仕事を思い浮かべますか?なんとなく情報を発信する仕事だということはイメージできても具体的な仕事内容を言える方は少ないのではないでしょうか。 ここでは広報の仕事内容だけでなく広報になるための方法や仕事のやりがい、身につくスキルを見ていきます。広報に向いている方もご紹介するので自分が当てはまっているかどうかもぜひチェックしてみてください。
広報は「PR(Public Relations)」とも呼ばれ、自社の活動内容や商品・サービスなどさまざまな情報を人々に発信する仕事です。大企業では広報部が設置されていて複数の専任担当者が在籍することも多いですが、中小企業の場合はそうとも限りません。広報の大きなミッションは「情報発信を通じて自社のブランド価値を高める」ことです。
より簡単に言えば、「自社の活動内容を社会に知ってもらい、より多くの人にファンになってもらう」ことが広報の使命であると言えるでしょう。
次に広報の業務内容についてご説明していきます。広報の実際の業務は大きく3つに分かれます。まず1つ目が消費者やマスコミに向けた社外広報、2つ目が社内報などを制作する社内広報、3つ目が投資家に対して情報を発信するIR(Investor Relations)です。順番に見ていきましょう。
社外広報の主な目的は「自社の活動内容や商品・サービスなどの認知度を上げ、より多くのファンを獲得する」ことなので最もイメージしやすい業務かと思います。
社外広報ではテレビや新聞、雑誌などのメディアに向けて情報を発信し、報道という形で自社の活動内容や商品・サービスなどを世間に広めます。会社自らが情報を発信するよりも、テレビや新聞、雑誌など信頼性の高い媒体を通じて情報を発信したほうがより多くの人に伝わるだけでなく、発信した情報を信じてもらいやすくなります。
社外広報の具体的な業務として、商品・サービスのリリース時期に合わせてプレスリリースの作成や配信を行うことは基本の1つですが、他にもメディアとのコネクションを作ったり取材に対応したりさまざまな業務があります。TwitterrやSNSを使った情報発信を求められる場合もあるでしょう。また、広報自身がインタビューを受けたり記者会見を実施したり表に立つ機会も多くなっています。
社内広報は社内報を始めとしてポスターや文書、メールなどさまざまな媒体を通じて社員に向けた情報発信を行います。では、なぜ社内広報が必要なのでしょうか。社外広報とは異なり社内広報は存在意義がわかりにくいものです。
社内広報の大きな目的は「自社の最新情報を社員と共有することで企業としての一体感を高める」ことにあります。新入社員や社内イベント、新商品、各部署の業務内容といった最新の情報を社員が得ることで、社員同士のコミュニケーションの活性化にもつながります。広報にとって社内広報は社外広報と同じように大切な業務なのです。
IRは株主や投資家に向けて、自社の財政状況など投資に必要な情報発信をしていくのが主な仕事です。具体的には株主や投資家向けの広報活動のほか、有価証券報告書や決算短信の作成、株主総会の運営などを行います。
IRの目的は「株主や投資家との信頼関係を築き、自社が健全な事業活動を行うための資金調達を行う」ことです。社外広報や社内広報とは異なり、IRは株主や投資家に向けた広報活動を行うため、提供する情報の内容も異なります。IRとして業務を行うためには株や投資、会計などに関する知識も必要になってくるでしょう。
企業によって広報がIRとしての業務を兼任していることもあれば分業されていることもあるため、応募する際は広報の業務内容にIRが含まれているかどうかを確認するようにしてください。
広報になるために特別に必要な資格はありません。業種としては、自社商品やサービスを宣伝して売り上げにつなげる企業、例えばメーカーや流通、サービス業などが選択肢に入るでしょう。
中小規模の企業では、総務や庶務などの部署が広報を兼務していることもあるので求人広告をよく確認してください。これらの企業の採用試験を受けて入社し、広報担当を希望して配属されるパターンが一般的です。
しかし、新卒の場合は他の部署で何年か経験を積んでからというパターンも多いです。なぜなら、広報として業務を行っていくためには自社の活動内容や商品・サービスなどについて熟知している必要があるからです。他の部署で何年か経験を積んで知識を身につけてからでないと、広報部門に配属されるのは難しいかもしれません。特にこの傾向は大企業において顕著です。
また、中途採用の場合は即戦力になれる経験者が求められます。広報としての実務経験を積んだあとであれば希望する企業への転職も成功しやすくなるでしょう。新卒にしても中途採用にしても、広報という職種は大企業であってもそれほど採用数が多くありません。そのため、大企業ではなくまず中小企業やベンチャー企業で広報としての実務経験を積むのも1つの手です。
広報にはどんなやりがいがあるのでしょうか。また、広報という仕事で身につくスキルにはどんなものがあるのでしょうか。順番に見ていきましょう。
まずは広報のやりがいを3つご紹介いたします。
広報は自社のさまざまな情報を人々に発信する仕事なので、記者や編集者などマスコミ関係者をはじめとして日々多くの人と接する機会があります。そのため、仕事を通じて人脈を広げたい方にとってはうってつけの仕事と言えるでしょう。社内広報においてはさまざまな部署の社員と関わる機会も多いので、部署の壁を越えたコミュニケーションができるのも魅力の1つです。
広報という仕事の特徴として、世間の評判がダイレクトに耳に届くという点が挙げられます。その中にはもちろんクレームも含まれますが、会社や自社の商品・サービスなどに対する良い評判を耳にした時は大きな達成感を得られるでしょう。自社への愛着もより一層深まるはずです。
広報という仕事は本来、自社を戦略的にアピールするために動く裏方役です。しかし最近では会社の顔として表に出てくる機会も多くなりました。会社の「表」や「裏」、さまざまな面から貢献できるのは広報の大きな魅力と言えるでしょう。
次に広報として身につくスキルを4つご紹介いたします。
広報は文章を書く機会が非常に多い仕事です。具体的にはポスターやチラシ、新聞、雑誌などの媒体を使った広告物や社内報、プレスリリースなどです。また、TwitterやSNSを使った広報活動を行うこともあるでしょう。いずれにしても、人に「伝わる」文章を書く工夫をしなければならないため、自然に文章力や日本語力が身につきます。
広報は社員・消費者・マスコミ・株主・投資家などさまざまな人物を対象として情報をわかりやすく伝える必要があります。よって、広報として仕事をしていけばプレゼンテーション能力を身につけることができるでしょう。特に株主や投資家はより具体的かつ正確な情報を求める傾向にあるため、プレゼンテーション能力を磨く絶好の機会です。
広報が自社の商品・サービスを世の中に広める時、「どのような媒体を使えばより効果的に情報発信できるか」など情報の発信方法を自分で考えなければなりません。その過程で業界や競合他社の情報、人々のニーズなど世間の動向を探っていくことになるため、情報収集力が身につきます。
広報は社内・社外にかかわらず多くの人と接する機会があります。そのため、もともと社交的な人向きの仕事ではありますが、広報の仕事をしていく上でさらにコミュニケーション能力を磨くことができるでしょう。
広報という仕事はどのような人に向いているのでしょうか。
広報は社員・消費者・マスコミ・株主・投資家などさまざまな人とコミュニケーションをとる機会があります。そのため、他者との関わりを持つことが好きだという社交的な人が向いています。
広報は自社の情報を社内・社外にかかわらずより効果的に発信していかなくてはなりません。そのためには社内だけでなく世間の動向など社外にも常にアンテナを張る必要があります。よって、広報は情報収集が得意な人が向いています。
広報はどのようなタイミングで、どのような媒体を使い、どのように情報を発信すればより多くの人に伝わるかを考え、実行する必要があります。そのため、企画力や営業力に優れた人が向いています。
広報はより効果的に情報を発信していくために、表現力や発想力などクリエイティブな能力を発揮できる仕事です。広報が効果的に情報を発信していくことができれば企業のブランド価値が高まり、最終的には企業の業績アップにつながります。会社や商品が世の中に知れ渡ってこそ、売り上げに結びつくのです。
「自社の良さをいかに戦略的にアピールできるか」を考えることに魅力を感じる方や、多くの人とコミュニケーションをとるのが好きな方はぜひ挑戦してみてください。広報として得られる人脈やスキルは将来転職する際や独立する際にもきっと役に立つはずです。