ネットショップにアクセスした際に見られるWebページの視覚的な動作など、目に見える部分を開発する「フロントエンドエンジニア」に対して、注文ボタンを押された後の配送指示・在庫管理などユーザーの目に見えない処理を開発するのが「バックエンドエンジニア」です。ここでは、具体的なバックエンドエンジニアの仕事内容と、身につくスキルについて解説します。
バックエンドエンジニアとは、Webページを操作した際の動作に応じて、ユーザーの目に見えない部分の処理を開発するエンジニアです。例えばウェブショップでユーザーが決済処理を行った際に、「決済情報を必要な場所に受け渡す」「決済が正常に完了した情報をユーザーに返す」などの裏側の処理を作るのが役目となります。
ここでは、バックエンドエンジニアの仕事内容を解説します。ユーザーの目に触れることのない部分のため、イメージすることが難しいですが、理解を深めていきましょう。
WebサービスやWebアプリを開発するためには、最低限Webサーバーとプログラムがあると、Web上にイメージしたものを表示させることは物理的に可能です。しかし、取り扱うデータが増加していくことを考慮して、データベースを構築し、何度も利用される情報を格納しておくことで、シンプルなコーディング文でデータベースから情報を呼び出せるようになります。
バックエンドエンジニアとして、「目に見えない処理を開発」することも大切ですが、「コーディングをシンプルなものにしておく」ことでバージョンアップなどの際に、改善しやすくなります。
フロントエンドエンジニアがWebページを作成する際に利用する言語としてHTML・CSS・JavaScriptがありますが、バックエンドエンジニアもユーザーの目に見えない処理を開発するためのプログラム開発を行います。
利用される言語は多岐に渡りますが、代表的なものを挙げるとRuby・PHP・Python・Javaなどが有名です。「フロントエンドからのアクションに対して処理をスタートさせる」「処理結果をフロントエンドに返す」など、開発する際にはフロントエンドとバックエンドが密接に関わっていることも頭に入れておく必要があります。
バックエンドエンジニアは、実際にプログラム開発が完了した後も、システムに問題がないかを運用してチェックする必要があります。運用中に問題が起きた場合などは、適宜プログラムの修正を行いながら品質を高めていきます。
そのほかにも、「障害対応」「セキュリティへの配慮」などを含めて運用監視を行うことも、バックエンドエンジニアの仕事として重要な部分です。
Webサイトにおけるインフラ部分もバックエンドエンジニアが対応します。近年はクラウド化に伴って簡単にサーバー構築ができるようになりましたが、場合によっては施設構内に機器を設置して運用する「オンプレミス環境」でのサーバー構築も珍しくありません。
サーバー構築に付随して、ネットワーク環境構築などのITインフラ構築を担当する場合もあります。
バックエンドエンジニアになるためには、どのようなことが必要なのかを解説します。専門的なスキルに特化せずに、ありとあらゆるスキルが必要とされるバックエンドエンジニアだからこそ、ITスキル全体に対しての知見が求められるのです。
資格取得そのものが仕事に大きく関わる訳ではありませんが、ITスキル全体を広く把握するためにもIT資格の取得は必要です。経済産業省主催の「基本情報技術者」「応用情報技術者」などの資格を勉強しておくことで、IT全般の知識を把握し、必要なときに深掘りすることも可能になります。
IT業界に従事することを目指す上で、知識習得の段階で挫折しやすいのが「プログラミング言語」です。プログラミングスクールを利用することで、勉強する言語の優先度についてなど、目指すキャリアと照らし合わせたアドバイスをもらえるほか、不明点をすぐに解消できる環境を得られるのも大きなメリットです。
「プログラミング言語」を習得する際に大切なことは「バックエンドに特化したプログラミング言語を習得する」ことです。HTML・CSS・JavaScriptなどのフロントエンド側の言語と違い、Ruby・Java・Python・PHPなどのバックエンドで利用される言語は、最初は理解が難しいかもしれません。
しかし、バックエンドエンジニアになるためには必要なスキルのため、時間をかけて理解していくことが大切です。
近年は、サーバー設計を効率化したAmazonが提供するクラウドサーバー「AWS」のほか、Googleが提供しているバックエンドなしで開発可能なプラットフォームである「Firebase」の登場で、バックエンドエンジニアの未来に不安を感じるかもしれません。
しかし、これらはあくまで新しいプラットフォームであり、現在稼働している既存のシステムが全て新しいサービスに置き換わる可能性は低いです。システム全体に関わることのできるバックエンドエンジニアならではのやりがいと身につくスキルがあるのです。
人手不足と叫ばれるIT業界の中でも、多様なスキルを有している傾向にあるバックエンドエンジニアは、どの会社からも「引く手あまた」になることも十分に考えられます。
そのほか、多様なITジャンルに精通していることから新しい技術に触れる機会も多いため、エンジニアとして学び続けられるやりがいを感じられるでしょう。
ユーザーから目に見えない処理を開発するバックエンドエンジニアは、システムの核となる内部処理を担うことから重要度が高く、障害発生の際もシビアな対応が求められるポジションです。多様なITスキルの取得はもちろんのこと、システム全体を見たときの問題点を発見する力など総合的に求められます。
ネットワーク構築に精通するインフラエンジニアや、ユーザーから見えるサイトデザインに精通するフロントエンドエンジニアなどと比較しても、バックエンドエンジニアは、データベース・サーバー構築・ネットワーク・プログラム開発などあらゆるスキルを業務で求められます。
業務内で多種多様なITスキルを身につけられる点は、バックエンドエンジニアのひとつの魅力といってもよいでしょう。
ウェブショップを例に挙げたように、実際にデータをやり取りしたり適切なデータをフロントエンドに返したりするなど、システムの処理を再現する部分の開発をバックエンドエンジニアは行っています。
「どのようなアルゴリズムが効率的か」「コーディングをシンプルにするためにどのような施策が必要か」などを考える問題解決能力が鍛えられるのです。
システムにおいて、処理の中枢を担う部分を担当するバックエンドエンジニアは、インフラエンジニアやフロントエンドエンジニアとも密接に関わっています。実際に開発を行っていく上でも、インフラ側の問題やWebサイト側の問題など、原因追求などを含めたコミュニケーションは欠かせません。
総合的なITスキルを身につけられる点はもちろんのこと、システム全体に関わることのできるバックエンドエンジニアは、転職市場でも多くの企業が好条件で採用に力を入れています。次に具体的にバックエンドエンジニアを目指したい人に向けて、どのような人が向いているかを解説します。
バックエンドエンジニアは、立場上、プログラミング・サーバー・データベース・ネットワーク環境などITサービスを提供する上で必要なジャンルを多く学ぶ必要があります。
あるひとつのスキルに特化するのではなく、多様なITスキルを学ぶことでIT全体の理解を深めたい人にとってはおすすめです。
多様なITスキルを兼ね備えているからこそ、将来のキャリア選択に幅を持たせられる点はバックエンドエンジニアのメリットです。例えばクラウドを用いたサーバー・インフラ運用などの新しいスキルもバックエンジニアでのサーバー・インフラのスキルがあると技術理解が早くなります。バックエンドエンジニアのスキルは必ず活かせるため、目指しているキャリアがある人にはおすすめです。
ユーザーから「目に見える処理」を担当するフロントエンジニアと違い、「目に見えない処理」の開発を行うのがバックエンドエンジニアの仕事です。一見すると地味なイメージを持つかもしれませんが、サービスがリリースされた際に、自身の手掛けた処理が「スムーズに問題なく使える」点など、変化を感じられる部分は多いです。また、システム全体を見てもバックエンドエンジニアの担当範囲が、システムの良し悪しを大きく左右すると言っても過言ではありません。開発において重要な要素を広く担う責任もありますが、その分、大きなやりがいを感じたい方にはおすすめです。
バックエンドエンジニアは求められるスキルが多様なため、初心者にとってはハードルの高さを感じるかもしれません。しかし、総合的なスキルを身につけられれば、将来のキャリア選択にも幅が生まれるなどメリットも多くあります。
また、明確なキャリア設定がなくてもバックエンドエンジニアとして総合的なITスキルを身につけておくことは、将来に必ず役立つでしょう。近年はITスキルを学べる教材も手軽に手に入るようになりました。まずは、ITに触れることからスタートして、バックエンドエンジニアを目指していきましょう。