商品企画とは、社会動向や消費者のニーズを見ながら今後どのような商品・サービスが求められるかを分析し、実際に新商品・新サービスとして世の中に送り出す仕事です。商品企画は、企画を実現するための柔軟な発想力が大切です。 しかしそれ以外にも、技術的に可能なのか、採算がとれるのかなど、徹底的に調査する緻密さと周りを説得するコミュニケーション力が求められます。いくつものハードルをクリアして会議を通過した後は、プロジェクトの責任者として開発担当者とタッグを組み、予算・スケジュールの管理をおこなっていくことになります。 次に、商品企画の仕事内容について詳しく見ていきましょう。
商品企画は市場調査・情報収集をおこない、市場のニーズを掘り起こすことから仕事が始まります。ヒット商品を生み出すためにはこの市場調査・情報収集が欠かせません。顧客アンケートやモニタリング、類似商品の調査などを通してマーケティングをおこなったり、さまざまな場所にアンテナを張り巡らせて情報を集め、新商品のアイディアを膨らませたりします。
集めた情報をもとに、商品コンセプトの立案をおこないます。「市場のニーズを満たせるか」、「ターゲットに訴求できるか」、「類似商品が他にないか」、「どこで競合商品と差別化できるか」などを考えながら複数のアイディアを出し、最終的には優れた少数のアイディアに絞り込みます。
他の部署と協力しながら製造コスト、販売コストなどを算出し、商品コンセプトとともに社内でプレゼンテーションをおこないます。「既存の類似商品と何が違うのか」、「本当に採算がとれるのか」など、経営陣から手厳しい質問を受けることもありますが、粘り強い説得が商品化への鍵です。そして必要に応じて何度かプレゼンテーションを繰り返し、商品化が決定されるのを待ちます。
決定した商品仕様をもとに、開発担当者と共同で予算やスケジュールの調整をおこなっていきます。ここからは商品開発にバトンタッチし、企画した商品が具体的な形になるのを待つことになります。なお、企業によっては商品企画が、商品開発までを一貫しておこなう場合もあります。
企業によっては販売・広告戦略も商品企画の重要な仕事です。商品自体の良し悪しだけでなく、販売・広告戦略によっても売り上げは大きく変わるため、商品発表会の開催や広告の手配などを綿密におこなわなくてはなりません。
新卒の場合はメーカーなどに就職し、他の部署で経験を積んでから適性や希望などに応じて配属されるパターンが多いようです。これはなぜかというと、ヒット商品を生み出すためには業界に対する深い知識が必要だからです。新卒として入社してすぐに商品企画として即戦力になれることは少なく、他の部署で経験を積み、業界に対する知識を深めることになります。
ただ、中小企業などでは商品企画への新卒採用をおこなっているケースもあるので、できるだけ早く商品企画の仕事に就きたいという人はそういった求人に応募するのも1つの手です。
商品企画になるために必要な資格は特にありません。しかし、ヒット商品を生み出すためには発想力だけでなく、業界に対する深い知識や時代の流れを敏感にキャッチできる感受性、ユーザー目線で物事を考えられる能力なども必要になります。そのため、そういった素質を持った人は商品企画として重宝される存在になれるでしょう。
なお、必須ではないものの、商品企画に関連する資格として、日本商品開発士会という団体が認定している「商品プランナー」や「商品開発士」、上級ライセンスである「商品開発コーディネーター」といった資格があります。就職・転職の際にアピールポイントを作りたい方は、これらの資格取得も検討してみてください。
商品企画として感じられるやりがいや身につくスキルを見ていきましょう。これらをあらかじめ知っておくと、職に就いてからのモチベーションアップにもつながります。ぜひ目を通してみてください。
商品企画は人気の職種だけあって、仕事をしていてやりがいを感じる場面はたくさんあります。ここではそのたくさんのやりがいのなかでも、特に魅力的なものをピックアップしてご紹介いたします。
1つの新商品・新サービスを生み出すためには多くのアイディアを考えなくてはなりませんし、せっかくアイディアを考えても必ず採用されるとは限りません。企画が採用されるためには、プレゼンテーションにおいて経営陣を粘り強く説得する必要があります。その分、自分の企画がとおって商品開発にバトンタッチし、具体的な形になっていくのを見た時には大きなやりがいを感じられるはずです。
自分が企画した商品・サービスがヒットすれば会社の業績アップに直結します。また、ヒットしたということは多くの人に価値が認められたということです。苦労して商品・サービスを企画しても必ずヒットするとは限らないのが商品企画のつらいところですが、その分ヒットしたあかつきには大きな達成感が得られるでしょう。
商品企画は開発担当者や広告担当者、営業担当者などとともに計画を練りながら商品を形にし、販売していきます。そこにはチームで1つのモノを作り上げていく楽しさがあります。
商品企画はただ新商品・新サービスを考えることだけが仕事ではありません。商品企画としてやるべき仕事は他にもあり、そのなかで身についていくスキルはたくさんあります。商品企画として身につけられるこれらのスキルは将来必ず役に立つでしょう。
商品企画は商品コンセプトを立案する前に市場調査・情報収集が必要です。顧客アンケートやモニタリング、類似商品の調査のほか、時には自分の足で営業に同行して直接ユーザーから要望などをヒアリングすることもあります。そうした過程で自分に必要な情報を効率よく集める情報収集力が身につきます。
前述のとおり、商品企画の仕事にはさまざまな情報収集が含まれますが、もちろん情報を集めて終わりではありません。市場のニーズを掘り起こすために、集めた情報を徹底的に分析する必要があります。物事の本質をとらえる分析力は商品企画として身につくスキルの1つと言えるでしょう。
経営陣へのプレゼンテーションは商品企画にとって重要な仕事の1つです。プレゼンテーションの内容によって自分が企画した商品が実際に形になるかどうかが決まるため、商品企画は経営陣から手厳しい質問を受けながらも粘り強く説得していかなくてはなりません。商品企画として経験を積むうちにプレゼンテーション能力は自然に身についていくでしょう。
商品企画は他のさまざまな部署と連携をとりながら商品・サービスを生み出していきます。より優れた商品・サービスを生み出すためには、商品企画として自分の意見をしっかりと伝えつつ相手の意図も汲み取り、企画に活かしていかなくてはなりません。そうしたなかでコミュニケーション能力が身についていきます。
商品企画に向いているのは以下のような人です。
商品企画は商品コンセプトを立案する際、まずいくつものアイディアを出してその中から優れた少数のアイディアに絞り込んでいきます。そのため、発想力がものを言う場面も多々あります。よって、発想力に自信がある人は商品企画に向いていると言えるでしょう。
ヒット商品を生み出すためには時代の流れを読み、今何が必要とされているか、市場のニーズを掴まなくてはなりません。そのため、時代の流れを敏感にキャッチできる感受性が高い人は商品企画に向いています。
新商品を企画する際、既存の類似商品と差別化を図るためには、今までにないような新しい要素も取り入れていかなくてはなりません。よって、新しいモノが好きな人は商品企画としての適性があります。
商品企画には業界に対する深い知識が必要ですが、自分自身が業界への興味を持っていなければ深い知識を吸収しにくく、良い商品も生まれません。その点、好奇心旺盛でさまざまな分野への関心がある方は商品企画に向いていると言えるでしょう。
商品企画は一人で仕事をおこなうわけではありません。開発担当者や広告担当者、営業担当者など他の部署の人たちとともに計画を練りながら商品を形にし、販売していきます。そのため、一人で黙々と仕事をするよりもチームで何かを作り上げていくのが好きな人は商品企画に向いていると言えます。
商品企画は業界に対する深い知識が必要になるうえ、非常に人気の高い職種です。そのため、難易度は高いですがその分魅力も多く、目指す価値がある職種と言えるでしょう。中小企業などにおいては新卒であってもすぐに商品企画の職に就ける可能性はありますし、一度他の部署に配属されたとしてもやる気や素質次第では十分にチャンスがあります
商品企画は一般的に年収が高めで、実力次第ではヘッドハンティングなどによるステップアップが見込めます。また、自分のアイディア次第で、世の中を変えられる可能性がある魅力的な仕事です。興味がある方はぜひ挑戦してみてください。