アニメーション作品の制作において、作画を担当しているのがアニメーターです。「アニメーターがどんな仕事をしているか知りたい」と思っている人も多いのではないでしょうか?この記事では、アニメーターの仕事内容やアニメーターになる方法、アニメーターに向いている人などについて詳しく説明します。
アニメーターとは、映画やテレビアニメなどのアニメーションの作画を担当する人のことを指します。アニメーション作品は一般的に、1秒間に24枚の絵を連続して映し出すことで動きのある動画にしています。30分間のアニメーション作品を制作する場合は、単純計算すると4万3,200枚の絵が必要となるのです。作品やシーンによって必要になる絵の枚数は異なるため、動きの多いシーンでは1秒間に30枚の絵を描くこともあります。アニメーターの主な役割は、脚本や絵コンテの指示に従って1枚1枚絵を描いていくことです。
アニメーターが描く作画には原画と動画があり、原画を担当するアニメーターは「原画家」、動画を担当するアニメーターは「動画家」と呼ばれます。こちらでは、それぞれの仕事について説明していきます。
原画を制作するアニメーターは原画家と呼ばれます。原画家は絵コンテや設定資料などをもとにして、アニメーション作品のメインとなる重要な部分を描きます。30分のアニメーション作品1話であれば、約300カットの原画を用意する必要があるのです。原画家に求められるのは、キャラクターの服装や表情などを考慮することができる正確な画面構成力や画力です。アニメーターとして経験を積んで実力が認められると、原画家としての仕事を任せてもらえるようになります。
動画を制作するアニメーターは動画家と呼ばれます。動画家は、原画と原画の間のコマを埋めるように動画を描いていくことが仕事です。原画家が用意したカットをトレースし、監督の指示に従い動きをつけたり、線を仕上げたりして動画を作ることが求められます。動画家を担当するのは新人や経験が浅いアニメーターですが、経験を積むことで原画家を担当するようになります。動画家は原画と原画を違和感なくつなげることが仕事であるため、構成力や画力を磨くことができます。
アニメーターになるために必要な資格などはありません。アニメーターになるためには、画力を磨くこと、アニメーターについて学べる学校に通うこと、デジタルソフトに慣れること、アニメ制作会社やプロダクションに就職する方法があります。こちらでは、アニメーターになるために必要なことについて説明します。
アニメーターになるために必要なのは「画力」です。どれだけスピーディーにプロとして通用するレベルの絵を描けるかが重要視されます。独学で画力を磨くことも可能ですが、「自分の画力がどのくらいのレベルなのか」を客観的に評価してもらう機会を作ることも重要です。独学からアニメーターになる場合は、基礎画力に自信がついたころに制作会社やプロダクションに自分の作品を持ち込んでみましょう。画力の実力やセンスを認められれば就職のチャンスになります。
アニメーターについて学ぶことができる専門学校や美術系大学、アニメーション学科のある大学に通うことでアニメーターに必要な基礎スキルを習得することができます。アニメーション専門学校であれば、絵を描くための勉強だけでなく、アニメーション制作の流れや演出、キャラクターデザインなど実践的な内容を学ぶことも可能です。
アニメーション制作現場ではデジタル作画が取り入れられることも増えてきているため、パソコンスキルも必要です。CGを使うアニメーション作品を作る場合には、デジタルソフトの使用が必須となります。独学でもソフトの使い方を学ぶことはできますが、専門学校などで作画などを含めて複合的に学ぶ方法が効果的です。
アニメーターとして働く場合は、アニメ制作会社やプロダクションに就職してアニメーターとしてのキャリアを始めることが一般的です。大手アニメ制作会社、プロダクション、作画専門スタジオなどアニメーターの就職先はさまざまですが、企業によって仕事内容が異なるため、しっかりと企業研究をしておくと納得できる就職先を見つけることができます。大手制作会社はテレビ局と直接つながっている傾向にあるため、アニメーションの企画から納品まで自社で行っています。中小規模のアニメ制作会社やプロダクションは、下請けの会社が多いため企画を行うことは少ないですが、絵を描くことに集中したい人にはおすすめです。また、就職活動ではポートフォリオを求められることが多いため、作品集を用意しておきましょう。
アニメーターは原画や動画を制作することで、1つのアニメーション作りに携わることができる魅力的な仕事です。アニメーターとして働くことで、さまざまなやりがいを感じることができ、スキルも身につけることができます。
アニメーターとして作画をし、関わったアニメーション作品が世に出ることは大きなやりがいとなります。絵を描くことが好きであったり、大勢で1つの作品を作り上げることに喜びを感じたりする人はやりがいを感じやすい仕事です。
自分の関わった作品が世に出ることは、アニメーターにとっての大きな喜びとなります。アニメーターとしての仕事は作画をすることですが、自分の描いた絵がさまざまな工程を経て1つのアニメーション作品として完成することは、大きなやりがいとなるでしょう。実績を積んで認められると、作品のスタッフロールに名前が載ることもあります。
絵を描くことが好きな人は、アニメーターとして自分の画力を活かすことができます。実力や実績を積むことで、アニメーション作品の重要な部分の作画を任されるようになるため、よりやりがいをもって働くことができます。
アニメーターは絵を描くことが仕事ですが、日々たくさんの絵を描くことで身につくスキルがあります。身につくスキルの中でも、アニメーターとして重要になるのが画面構成力と忍耐力です。
アニメーターは、キャラクターが魅力的に見えるように描くことが求められます。日々、画面の構成を考えながら違和感なくキャラクターを描いたり、動きを出す工夫をしたりするため画面構成力が身につきます。
アニメーターはたくさんの絵を描き続けることが仕事です。細かい作業が多く、同じようなカットを大量に描くことが求められるため忍耐力が身につきます。また、忙しい中でも自分の画力を磨く環境にいることでも忍耐力がつきます。
「絵を描くことが好きな人」「アニメが好きな人」などがアニメーターに向いています。ここでは、アニメーターに向いている人の特徴について詳しく説明します。
アニメーターは毎日たくさんの絵を描くことが仕事なので、絵を描くことが好きな人はアニメーターとして長く働き続けることができるでしょう。何年も、何十年も仕事を続けていくのであれば「絵を描くことが好き」という気持ちは非常に大事です。
アニメーターとして働いている人には、アニメが好きな人が多いです。アニメが好きであれば、流行や好まれている画風なども自然にチェックすることができるため、趣味を楽しみながら無理なくスキルアップできます。自分の好きなアニメであれば効率よく画風の研究を進めることが可能です。
1つのアニメーション作品を制作するまでには、アニメーターだけでなくさまざまな人がかかわっているため、自分の仕事に責任をもって取り組むことができる人はアニメーターに向いているでしょう。締め切りのある仕事も多いため、しっかりと締め切りを守り他の人に迷惑をかけないようにすることが大事になります。
仕事を続けながら絵の完成度を高める努力ができる人は、アニメーターに向いています。自分の絵の完成度にこだわりながら仕事をすることで、より重要な仕事ができるようになり充実感を感じられるようになります。また、自分の描きたい絵にこだわりすぎずに、流行の画風などを敏感にチェックして作画に活かすことができる人は、周りから評価されやすくなるでしょう。
アニメーション作品の制作はチームで行われます。人によって指示する内容が異なることも多いため、柔軟に対応できる人がアニメーターに向いています。アニメーターは自分の描きたい絵を自由に描くことができるわけではなく、描いた絵に修正が出ることもあります。指示に合わせてクオリティの高い絵を描くことができるアニメーターは実力を認められやすく、充実感をもって働くことができるでしょう。
アニメーターは絵コンテや脚本の指示に合わせてアニメーション作品の作画を担当することが仕事です。アニメーターとして働くために必要な資格は特になく、重要なのは画力です。独学でも画力を磨くことはできますが、専門学校や大学で絵やアニメーションについて学ぶ人が多い傾向にあります。画力が一番の武器となるため、基礎的な画力を磨いてアニメーターとしての一歩を踏み出しましょう。