サウンドクリエイターは、さまざまな音源をもとに音楽を生み出し映画やCM、ゲームなど、作品を大きく盛り立てる効果音を作り出すクリエイティブな職種です。活躍できる分野も広く、センスと技を磨くことで「好き」を形にできる職業であるともいえるでしょう。今回はサウンドクリエイターの仕事をじっくりご紹介していきます。
映画のサウンドトラックやゲームの効果音、携帯電話の着メロなど、さまざまなコンテンツで使われる音楽を生み出す仕事です。中には美術館や都道府県・市町村からのイベント企画をうけて、サウンドを作るクリエイターもいます。
ただ音楽を作る作曲家とは違い、音源を曲に変え、プログラムに落とし込むところまでタッチするケースが多くなっています。よってサウンドクリエイターには、作曲に必要となるアナログ的な発想力にプラスして、コンピュータを操作するテクニックを習得することも求められるようになりつつあります。
サウンドクリエイターは、映像や動画、想定するシーンに合わせたサウンドを生み出すのが仕事です。日常にある音源や人工的に作り出した音などから最適なサウンドを生み出していくわけですが、その仕事内容にはどんなものがあるのでしょうか。
サウンドクリエイターの方には、企業に勤務する正社員や派遣社員、アルバイトの他、フリーランスとして活躍するかもいます。どんな仕事にもクライアントがいて、どういった企画のものなのか、方向性や雰囲気、イメージなどを何度も打ち合わせしながらチームで同じ方向を目指して作品を作ります。映画や動画など作品が先に完成している場合もありますが、制作側から詳細な要望を聞きながら、いくつものサンプルを持って話を詰めていくこともあります。
サウンドクリエイターが作品を生み出すために行う最初の仕事は、音源の採集です。例えば癒し効果のあるヨガに使用するようなサウンドを作りたいなら、本格的な方だとその音源を求めて採集地まで足を運びます。水の音を取り入れたいなら水道水ではなく、清流が流れる上流にまで足を運んで音源を採集することも。ゲームなどの効果音なども、作品のコンセプトやイメージを崩さない音源を探し、さらに盛り上がるようなサウンドへと制作していくのです。
サウンドクリエイターの仕事内容は、作曲だけにとどまりません。プログラミングして音をデータ化していくことも仕事になってきます。中にはエンジニアの方がその作業をすることもありますが、フリーランスで活躍するようになると全ての過程を一人でこなす人も多いです。
サウンドクリエイターとして活躍するようになると、自分の得意ジャンルではない音楽も依頼されることがあります。仕事の幅をもたせ収益を上げるためにも、サウンドクリエイター同士のつながりをもって外注に出すこともあります。自分の作業と同時進行で外注の進行管理も行うこともあり、時間の使い方も仕事のうちと考えておいた方が良いでしょう。
サウンドクリエイターとして働くためには、どのような方法があるのかを確認していきましょう。
サウンドクリエイターとしての専門の学びの場には、専門学校があります。さまざまなクリエイターを生み出す学科をもつ専門学校では、作曲・アレンジ・録音調整・プロデュースなどの学科があり、より専門的に学んでいくことができます。中には奨学金制度を利用できるところもあり、進学にも負担を軽減しながら最新技術を学ぶことが可能です。
サウンドクリエイターの中には、美大や音大を卒業しサウンドをアートとして手掛ける方もいます。基本的にサウンドクリエイターには学歴などで評価をされることは少ないため、あまり意識をすることはありません。しかし、感性を磨くという点では身近な場所に常にアートの世界が広がっていると、サウンドのヒントが大きくなるでしょう。
サウンドクリエイターを目指す人にはセンスというものもあります。動画の編集などはスマホでもできる時代。年齢や性別、職業や学歴などを問わず、サウンドに関してもセンスがある人はサウンドクリエイターになることも夢じゃありません。例えばゲームが大好きな人は、ゲームをしながらも音楽にも効果音にも興味を示します。この音を作ってみたい!ゲーム制作に携わる仕事がしたい!といった、好きなものから入る形もあるのです。
音響の理論、著作権や録音の流れ、歴史、電気音響、レコーディング技術などの知識があるかどうかの認定試験です。
音楽録音の標準機、アビッドテクノロジー社「Pro Tools」に対応できるかどうかのスキル認定試験です。
映像に感情や臨場感を与える音楽・効果音・ナレーション等を加える音声処理の技術レベルを示すことができる試験です。
サウンドクリエイターは、企業に所属して正社員として採用されれば売り込みは必要ありません。しかし、そういった業界でも同じ人が作成した作品ばかりにはクセが生まれ、あらゆるクライアントの希望に沿うことが難しくなる場合もあります。
得意分野をもっているひとは、フリーランスで活動している人も多い職業です。そうなると、自分をどんどん売り込んでいく姿勢が必要で、生業とするならば実績を積み上げることが大切です。デモテープを何本も作成し売り込んでいく人が大半を占めています。
やはりクリエイターですから、作品にも妥協しないことが重要です。自分が好きなものではなく、クライアントが求めるものを同じ視点でどれだけ感じ取れるのかがポイントになってきます。幾度も打ち合わせをしたり、作品に変更部分があれば修正したり、そういった繰り返しの作業も作品作りの一つだと考え取り組めることが求められます。
サウンドクリエイターは自分だけの孤独作業と、チームで作品を詰めていく作業があります。人付き合いが苦手で家にこもって仕事をしたい場合でも、スカイプなどで打ち合わせが行われることは頻繁にあるでしょう。どんな場合にもコミュニケーションがなければ一つの作品を作り上げることはできません。高いテンションとはいいませんが、必要なコミュニケーションが取れることも求められる内容の一つです。
サウンドクリエイターになれば、どのようなことをやりがいと感じるのでしょう。また、どのようなスキルが身につくのでしょう。
まずはサウンドクリエイターのやりがいを2つご紹介いたします。
サウンドクリエイターの仕事は、“好きを仕事に”の典型のようなもの。映画やゲームのエンドロールのクレジットに自分の名前が載った時は、常に新鮮な感動があるものです。作品として残るものがあると、それを大切にしたい気持ちが膨らんで、次の作品にも気持ちを込めて作り上げることができるようになります。
予算・締切・ファイル容量などさまざまな制約がある中で、時にはプロデューサーや映像クリエイターと衝突しながらクオリティーの高いサウンドをひねり出していく必要があります。DTMの発達により誰でも気軽に音楽が作れる現代。サウンドクリエイターには、より豊かな個性と高度な技術が求められ、それがやりがいにも繋がっていくのです。
次にサウンドクリエイターとして身につくスキルを3つご紹介いたします。
クライアントが求めるサウンドを作る仕事ですから、相手の気持ちをしっかりキャッチして判断することが大切です。経験を積み重ねていくと、クライアントの感性や作りたいものを感じやすくなり、作品もよりクライアントが求めるものに近づくようになります。
サウンドクリエイターは、動画や映画の映像と共に音楽をプラスしていくのが仕事です。映像からサウンドイメージを掴み、それを音で再現しなければいけません。ここにはセンスや才能といったものもあります。サウンドクリエイターとして経験を積んでいくうちに、この再現力が柔軟になっていくことも期待できます。
制作チームと作品を手掛ける中で、職種の違ったメンバーも本気で取り組む姿を見るようになります。多くの人に聞いてもらえる機会を得られるわけですから、自然に向上心がアップしていきます。向上心があると視野も広がり、サウンドにもその余裕が見られるようになるという人もいます。
サウンドクリエイターに向いているのは、どのような人なのかをみていきましょう。
何よりもまず、音への興味がある人はサウンドクリエイターに向いています。好きこそものの上手なれ、とはクリエイターには欠かせない表現です。音楽のジャンルは何でもいいでしょう。こういう音楽を作りたい!という熱意が行動に移れば、サウンドクリエイターの第一歩を踏み出しています。
極論をいってしまうと、サウンドクリエイターはピアノなどの楽器が弾けなくても、楽譜が読めなくても仕事はできます。ただ、さまざまな制作チームの中で仕事をするようになっていきますので、コミュニケーション能力は非常に重要です。コミュニケーションがとれないとおそらく仕事の成果はあがりません。意識的にコミュニケーションがとれるようになれば、クライアントの意向に沿ったものにより近いサウンドができるでしょう。
サウンドクリエイターにも得意分野があるでしょう。しかし、向上心をもって情報収集を怠らない人はどんなサウンドでも興味をもって感じることに積極的です。自分だけの価値観ではなく、クライアントやサウンドを聞く側の価値観に柔軟に対応できる人はサウンドクリエイターに向いています。
サウンドクリエイターになりたい!と漠然と考えている方は、まず制作ツールを操作できるかどうかも重要なポイントになってきます。どんどん進化しているデジタルサウンドツールを使いこなせると、仕事もしやすく効率もいいでしょう。
サウンドクリエイターには、音楽を愛してやまない多くのクリエイターが活躍の場を広げています。男性でも女性でも、感性を磨きながら目指せる職業がサウンドクリエイターです。何気ない日常にいつも脳内再生されるサウンドがあれば、形に残してみたいと思うはず。サウンドクリエイターへの道は、行動に移せるかどうかで大きく動き出します。悩んでいるなら、まずは一度あなたの音をサウンドにして残してみてください。