ゲーム制作の開発スケジュールやスタッフ管理など、開発現場において総合的な指揮を執るポジションがゲームディレクターです。幅広く管理しながら開発を進めるという重要な役割を担います。ここではゲームディレクターの仕事内容を深くみていきます。
ゲーム制作の流れはプロジェクト発足から企画立案、開発、販促活動まで多岐にわたります。ゲームディレクターはその工程の中の開発全般を担当し、企画立案からスタッフ管理の役割を担います。責任が大きいポジションですが、その分ゲームを作り出す初期段階から関わることができるため、やりがいも感じることができます。
ゲームディレクターの仕事範囲は広く、ゲームの開発工程全般を主に管理していきます。
プロジェクトが発足するとまずはゲームプロデューサー・プランナーと一緒にゲームのアイデア出しを行っていきます。ここでゲームの方向性やプロットなどのアウトラインを決めるため、ゲーム制作の根幹となる部分を担います。
プロジェクトが成功すれば、ゲームのアップデートや続編の作成など定期的な企画を行うこともあります。
ゲーム開発はチームのスタッフ数が多くなるのが一般的です。そのため、開発スケジュールの管理は非常に大きな責任を伴うことであり、ゲームディレクターは完成予定日から逆算し、開発スケジュールを日々管理する必要があります。
実際には工程通り進まないことも多く、エラーやさまざまなトラブルを考慮して、余裕あるスケジュール作成や管理能力が必要とされます。
ゲームディレクターは開発現場の指揮を執るため、チームスタッフを適切に配属し、一人一人に対して日々のフォローアップが欠かせません。さらに、人数の多い現場ではメンバー同士の密接な連携が必要不可欠のため、定期的にヒアリングすることも大切です。
エラー発生があれば、指示出しやサポートも重要になります。現場スタッフのフォロー・サポートはプロジェクト遂行において、非常に重要な仕事内容であることを意識しておきましょう。
ゲーム開発が始まると、仕様に沿っているか不具合はないか、常に品質管理をします。ゲーム開発がある程度まとまってくると、デバッガーやQAなどでさまざまなエラーを想定したテストをして、事前にミスを予防したり品質の向上に努めたりします。
これらの工程をしっかり管理し、エラーやトラブルを常に予防する必要があります。
ゲームがローンチされても、ゲームディレクターの役割は終わりではありません。広告収益や累計販売数といった総売上の数値的な分析をします。
収益を最大化するために定期的なイベント開催やアップデートをして、常にユーザーを獲得・維持し続ける施策を考えることもゲームディレクターの役割です。
ゲームディレクターに必要な資格はありません。実務経験も必ず必要というわけではありませんが、いきなりゲームディレクターになることは非常に難しいことも特徴です。ゲームディレクターになるためのいくつか代表的な例をみていきます。
ゲーム制作会社でいきなりゲームディレクターになることはほとんどありません。開発現場の指揮を執るために、開発者としての開発スキルや企画書作成、開発の工程理解などをする訓練や経験が必須となります。これらを学ぶために、まずは専門学校で在学中に企画書作成や開発スキルなど、ゲーム開発に関することを学び、その後にゲーム制作会社に入社という流れが一般的です。
学生の方なら、専門学校以外にもコンピューターグラフィックなどを扱う大学進学を考慮しておくとスムーズです。すでに社会人の場合、週末通う専門学校のコースを取得するなどが代表的です。
ゲーム開発の経験がなくても、プロジェクトマネジメントのスキルや開発現場の指揮経験があると、未経験からでも制作会社に入社できる可能性があります。
開発でなくても、アクセス解析やマーケティング施策の実績など、ゲームディレクターで行う仕事と共通する部分があれば、自分の強みとしてゲームディレクターとして働くことが可能です。
ゲームディレクターではなくゲームプランナーとして入社し、そこからゲームディレクターに転身する方法もあります。ゲームプランナーは、ゲームディレクターやプロデューサーの指示でゲームの構成やルールの立案などを担当します。開発する前の仕様や要件定義の作成を中心に担当しますが、企画会議に参加して、ゲームディレクターと関わる機会も多いポジションです。
さらに、企業によってはゲームプランナーをゲームディレクターが兼任することもあり、ゲームプランナーとしての経験をそのままディレクターのスキルとして活かせるケースもあります。ゲームプランナーとして経験を積み、ゲームディレクターに転身することも選択肢として意識しておきましょう。
ゲームディレクターは開発の管理を行い、スタッフ・スケジュール管理など全ての責任を背負うことになります。それだけ大きな仕事ですから、やりがいや身につくスキルも価値あるものです。
ゲーム開発はプロジェクトの中心的な工程であり、その成果によってユーザーを魅了できるかどうか左右します。責任が大きい一方で、やりがいを感じる部分も多いでしょう。
企画段階から開発工程まで携わるため、ゲームが世に出るとユーザーの反応を直接得ることができます。イベントではユーザーの生の声を聞けたり、SNS上で直接反応をもらえたりします。
ゲームの中で自分の意図したことがそのまま評価され、売上に貢献できるとそれだけ喜びも大きくなります。ゲーム内の定期的なアップデートで盛り上がっている様子や、イベントにたくさんのファンが集まる光景をみると、大きなやりがいを感じるでしょう。
ゲーム開発はチームの人数が比較的多く、場合によっては100人、1000人と大規模なチーム編成になることもあります。その現場の指揮を執る役割がゲームディレクターであり、大きな仕事を自分の力で進めていくことができます。日常では普段できないような大きな仕事を任される経験はやりがいにもつながります。
幅広い業務を行うゲームディレクターは求められるスキルも多いですが、その多くは現場でより深く身につくこともあります。
最低限の管理能力は必要ですが、臨機応変な対応やトラブル発生時の対処フローなどは、現場を多く経験していく上で身につくスキルです。長く働いているとトラブルが発生したときに過去の経験を生かして適切に対処できるようになり、さらには、起こりそうなエラーやトラブルをしないように、事前に管理することもできるようになります。
ゲームディレクターはゲーム開発のプログラミング技術は必要ありませんが、企画時や業界研究をしていく上で、ゲームの最新技術やトレンドを把握できます。
自身でキャッチアップする努力も欠かせませんが、業界の人と交流していくことで、外からの情報を得られることがあります。調べた情報や得られた情報を企画に取り入れてみて、新しい刺激を起こすことも面白いと感じられるポイントです。
ゲームディレクターに向いているのは以下のような人です。
チームの総括をするため、プロデューサーとの連携や毎日のメンバーとのコミュニケーションは欠かせません。円滑なコミュニケーション能力だけでなく、トラブル発生時にクライアントに的確な対応をすることや、メンバーのヒアリングなどもできる協調性のある人が向いています。
開発工程の統括的な立ち位置にあるため、自らが主導してチームを動かすリーターシップを持つ人が向いています。現場の指示出しや調整・アドバイスから、メンバーのモチベーション・パフォーマンス維持までサポートしながらチームを牽引していけることが望ましいです。
より良い作品を作り続けるために、常に最新の情報や業界の情報収集をする姿勢が大切です。特にゲーム開発の技術やトレンドの変化は非常に早いため、常にキャッチアップしておく感度や興味が欠かせません。自ら調べることに加えて、社外の交流から情報を取得して積極的に情報収集していく必要があります。自分が先頭に立って学んでいく姿勢を見せることができると、メンバーからの信頼も得られます。
幅広い業務範囲であるため、その全てをしっかりと把握できている人が向いています。企画作成書の作成から、要件定義の確認、開発やデザインに関する工程の内容把握など、適切に指示を出すためには各業務の理解が必要になります。メンバーと円滑にコミュニケーションを取るためにも、業務理解は必須となります。もし不明点が発生しても、素直に聞いて自らすぐに調べる姿勢も大切です。
未経験でもゲームディレクターとして配属されることは可能です。しかし、現場の指揮を執れるようになるには現場の経験や先輩のアシスタントとしての経験が必要な職種です。経験を積んでいくと大きなプロジェクトも一人で担当することも、プロデューサーへの転身も可能です。まずはゲームディレクターになるために自分でできる準備をしっかりしてから、企業への応募に挑みましょう。