はじめに
初心者でも使えるPhotoshop(フォトショップ)テクニック!第3回目は、写真や画像の色を補正する方法(レタッチ方法)についてご説明します。
仕事やプライベートで写真を撮影して、後からデータを見返した時に、「暗い」「実物と色が違う」など、想定したものと違う写真になってしまっている事、ありますよね。そんな時に使えるのが、色調補正(レタッチ)!簡単な操作で、自分が本来撮りたかった色に近づけることができるんです。
仕事はもちろんのこと、プライベートでも使えるテクニックなので、是非チェックしてみてください!
※今回使用するソフトは、Windows版Adobe Photoshop CC 2015です。CC以前のバージョンとは、使い方が大きく異なることがありますので、ご了承ください。
Photoshopの設定
色調補正をする前に、まずはPhotoshopのカラー設定を整えましょう。設定がしっかりできていないと、せっかく補正しても思い通りの色にならないことがあります。
Webに掲載するのか、紙に出力するのか等、用途に合せて、設定を変更しましょう。
Web・インターネット掲載用
上のオプションバーか
ら「編集」→「カラー設定」を選択します。
「カラー設定」ダイアログボックスで、以下のように「設定」の欄を
「Web・インターネット用-日本」に変更します。「カラーマネジメントポリシー」の「RGB」欄が
「作業用RGBに変換」になっていると、違ったカラー設定の画像を開いても、自動で「sRGB IEC61966」に変換してくれます。
プリプレス用(印刷用)
上のオプションバーから
「編集」→「カラー設定」を選択します。
「カラー設定」ダイアログボックスで、以下のように「設定」の欄を
「プリプレス用-日本2」変更します。
画像の一部だけを色調補正したい場合の範囲選択方法
色調補正をする際、画像全体を補正したい場合と、画像の一部だけを補正したい場合の2パターンがあるかと思います。
前者の場合は、そのまま色調補正をすればいいのですが、後者の場合は、選択ツールやパスなどで、補正したい部分をあらかじめ選択する必要があります。
実際の場面では後者の場合が多いので、この章では、補正したい部分の選択方法についてご説明します。
以下の写真で、花だけを補正したいとします。
まずは、花を手動で範囲選択します。
今回は
、「自動選択ツール」と
「なげなわツール」を使って選択しました。範囲選択に使用するツールは、選択したいオブジェクトの形によって適切なものを選んでください。
「自動選択ツール」・・・複雑な形でないオブジェクト、外側の線が途切れていないオブジェクト など
「なげなわツール」・・・曲線が多いオブジェクト、形が複雑なオブジェクト など
「多角形選択ツール」・・・四角いオブジェクト、角が多いオブジェクト など
範囲選択ができたら、くっきりと分かれてしまっている境界線を柔らかくするために、ぼかしを入れます。
上のオプションツールバーから
「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「境界をぼかす」を選択します。
「境界線をぼかす」ダイアログボックスで、
「ぼかしの半径」に
「0.5」と入力します。
範囲選択をした状態で、色調補正を行うと、以下のように、選択した部分だけ補正をすることができます。
以下の画像をご覧ください。
花の色だけが明るくなっていることがお分かりいただけるかと思います。
(※色調補正の具体的な方法は、次の章でご説明します)
範囲選択をして補正する、という方法をマスターすると、以下のような人物写真で、顔色だけを明るくすることもできます。
色調補正の方法
1.「明るさ・コントラスト」
操作難易度:★☆☆☆☆、仕上がりの精密さ:★★☆☆☆、速さ:★★★★★
デメリット:繊細な補正ができない
画像の明るさやコントラストを補正することができます。
一番シンプルかつ操作が簡単な補正方法です。
写真を撮った際に、思ったよりも暗くなってしまった時やコントラストのバランスがよくなかった時などに使用します。
操作が簡単な反面、デメリットとして、「画像を明るくすると白っぽくなり、それを修正するためにコントラストを高くすると中間色が減ってしまい、他の色がきつくなる」等、
繊細な補正ができないことが上げられます。
バランスを見ながら、一部を明るくして一部を暗くする等の細かい補正が必要な場合は、
「レベル補正」や
「トーンカーブ」の使用がおすすめです。
明るさ
それでは、以下の暗い写真を、適正な明るさに補正してみましょう。
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「明るさ・コントラスト」を選択します。
「明るさ・コントラスト」ダイアログボックスで、
「明るさ」のスライダーを右にスライドさせます。
画像は、
右にいけばいくほど明るくなり、左にいけばいくほど暗くなります。
プレビューのボックスにチェックを入れておくと、スライダーを調整しつつ、リアルタイムで色調補正後のプレビューを見ることが出来るので便利です。
明るくした画像がこちらです。
大分雰囲気が変わりましたね。
コントラスト
コントラスト(明暗)を補正したい場合は、
「コントラスト」のスライダーを操作します。
右にいけばいくほどコントラストが高くなり、左にいけばいくほどコントラストが低くなります。
コントラストが低いと、色合いが薄くなり、コントラストが強いと、中間色が減って色合いがくっきりとします。コントラストを高くするとグラデーションが減ってしまうので注意が必要です。
■ コントラストを低くする
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「明るさ・コントラスト」を選択。
「明るさ・コントラスト」ダイアログボックスで、
「コントラスト」のスライダーを左にスライドさせます。
以下のような仕上がりになりました。
■コントラストを高くする
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「明るさ・コントラスト」を選択します。
「明るさ・コントラスト」ダイアログボックスで、
「コントラスト」のスライダーを右にスライドさせます。
以下のような仕上がりになりました。
自動補正
明るさとコントラストの両方を
自動で補正してくれる機能になります。適切な明るさやコントラストに迷った時は、使用してみてもいいかもしれません。ただし、あくまでも自動なので、想像していた通りの色にならない可能性もあります。
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「明るさ・コントラスト」を選択。
「明るさ・コントラスト」ダイアログボックスで、
「自動補正」を選択します。
以下のような仕上がりになりました。
2.レベル補正
操作難易度:★★★☆☆、仕上がりの精密さ:★★★★☆、速さ:★★★☆☆
レベル補正を使用すると、「明るさ・コントラスト」と比べて、
より細かい補正が可能になります。
明るさやコントラストだけでなく、
RGB(赤・緑・青)のカラーバランスやシャドウ・ハイライトなどの補正も行えます。
それでは、以下の写真を補正してみましょう。
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「レベル補正」を選択します。
「レベル補正」ダイアログボックスで、
赤◯で囲まれた中央のスライダーを右に移動させると明るさが暗くなり、左に移動させると明るくなります。
左に移動させると、かなり明るくなりました。
赤◯で囲まれた右のスライダーを右に移動させると、コントラストが高く、明るさが暗くなります。(※中央と右のスライダーは連動します)
コントラストが高く、明るさが暗くなりました。
「明るさ・コントラスト」にはない機能で、意図的に白い部分を飛ばし、絵画風のテイストの写真にすることもできます。この場合は、中央のスライダーと右のスライダーを重ねるように調整します。
それでは、程よい色に補正してみましょう。
中央のスライダーと右のスライダーを調整しつつ、バランスのいい色を探ります。
明るさとコントラストを補正しました。
まだ全体的にちょっと赤みがかっているのが気になりますね。
それでは、以下の写真から赤みを取り除いてみましょう。
「レベル補正」ダイアログボックスの
「チャンネル」欄で、補正したい色(今回はレッド)を選びます。
真ん中のスライダーを右に移動させます。
右にいくほど赤みが弱まり、左にいくほど赤みが強まります。
以下の写真をご覧ください。
赤みが取れました。
補正前と補正後の写真を並べてみると、よくわかりますね。
3.トーンカーブ
操作難易度:★★★★☆、仕上がりの精密さ:★★★★☆、速さ:★★★☆☆
明るさ、コントラスト、RGB、シャドウ、ハイライトなどをコントロールできます。
一番細かい補正を行えるので、この機能を使いこなせれば自由自在に色調補正を行うことができます。
では、以下の写真を例に、トーンカーブを操作することで、どのような色調変化が起こるのか見てみましょう。
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」を選択します。
「トーンカーブ」ダイアログボックスが開きます。
図の真ん中を走る真っ直ぐな線がトーンカーブです。
これをマウスでドラッグして上下に操作し、色調や明るさ、コントラストなどを補正していきます。
トーンカーブの適当な所をマウスでドラッグして、線を上げてみましょう。
トーンカーブの線が上がると、以下のように写真は明るくなります。
逆に、線を下げてみましょう。
写真が暗くなりました。
意図した所をピンポイントで明るくすることもできます。
「トーンカーブ」パレットの右下にある
手のアイコンをクリックし、写真の中で明るくしたいところに持っていき、クリックします。
クリックすると、トーンカーブの線の中に点が出来ます。
この点を操作すると、ポイントした部分の明るさが変化します。
ポイントした部分を持ち上げると、その周囲だけが明るくなりました。
4.色相・彩度
操作難易度:★★★☆☆、仕上がりの精密さ:★★★★☆、速さ:★★☆☆☆
今までの明るさやコントラスト、RGBなどを補正するのとは違って、対象のオブジェクトの色を、赤から青にしたい等、がらっと色を変えたい時に使用します。
色自体を変更する方法は、
「色の置き換え」を使う場合と
「色相・彩度」を使う場合の2パターンがあります。
少し手間はかかりますが、
「色相・彩度」の方が綺麗に仕上がるのでおすすめです。
「色の置き換え」を使う
直感的な操作で、簡単に色を変更することができます。
ただし、
選択した色すべてが自動で置き換わってしまうので、
置き換えたいオブジェクトの色が他の部分に使われていない場合に限ります。そうでない場合は、「色相・彩度」を使った方がいいでしょう。
それでは、以下の傘の色を、水色から緑色に変更してみましょう。
上のオプションバーから
「イメージ」→「色調補正」→「色の置き換え」を選択します。
「色の置き換え」ダイアログボックスで、
赤◯で囲んだスポイトを選択し、
変更したい色(今回は傘の水色)を選択します。
その後、
「許容量」の赤◯で囲んだスライダーを右に動かしていき、傘全体が選択されるように調整します。
プレビュー画面で白くなっている部分が選択された部分です。
「許容量」の値を大きくしすぎると、背景や他のオブジェクトも選択されてしまうので、注意が必要です。
「結果」カラーピッカーをクリックし、変更後の色(今回は緑色)を選択します。
傘の色が、緑色に変更されました!
「色相・彩度」を使う
色を変えるたい部分を範囲選択して、そこだけを補正する方法です。「色の置き換え」に比べて、少し手間がかかりますが、仕上がりは綺麗ですのでおすすめです。
以下の花の色を、赤から紫に変更してみましょう。
上の章でもご説明しましたが、改めて、範囲選択の方法からご説明したいと思います。
まずは、色を変更したい花の部分を
手動で範囲選択します。
今回は、「自動選択ツール」と「なげなわツール」を使って選択しました。
範囲選択ができたら、境界線を柔らかくするためにぼかしを入れます。
上のオプションツールバーから
「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「境界をぼかす」を選択します。
「境界線をぼかす」ダイアログボックスで、「ぼかしの半径」に
「0.5」と入力します。
範囲選択をした部分以外に影響が出ないように、
グループ化した上で、マスクをかけます。
以下の図の赤◯がついた「新規セットを作成」アイコンをクリックし、その後、
青◯がついた「レイヤーマスクを追加」アイコンをクリックします。
「グループ1」のレイヤーを選択したまま、下の
「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」アイコンをクリックし、
「色相・彩度」を選択します。
「属性」パレットの
赤◯の「色彩の統一」にチェックを入れます。
「属性」パレットの
赤◯のスライダーを動かすことで色を変えることができます。
「色相」のスライダーを移動させると色そのものが変化し、「彩度」のスライダーを移動させると、鮮明さが変わります。
それでは、「属性」パレットを調整して、赤いバラを紫のバラに変えてみましょう。
赤いバラが紫色のバラになりました!
花以外の部分は、色が変わっていないことをご確認いただけるかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
色調補正の方法はいくつかありますので、写真や画像の種類、用途、操作難易度などによって適切なものを選んでください。
「操作が難しい」というイメージのある写真補正ですが、実際にやってみると、思っていたよりも手軽にできますので、この機会に是非、仕事でもプライベートでもお試しください!
(執筆 / 編集 マツイ)