こんな悩みはありませんか?
「良いサービスはあるのに広め方が分からない。」
「プレスリリースを作ったのに掲載されない。」
プレスリリースを他社の見よう見まねで作ってもメディアに掲載されない事も多いです。プレスの送り先が分からないという声を聞く事もあります。
そこで今回は、PR企画の立案からプレス作成・配信まで、PRの手順に沿って業務内容とTIPSをまとめました。人によって進め方は様々だと思いますが、これからプレスリリースを打つ方の参考になればと思います。
■目次
・PR業務の全体像
・手順1. PR企画の立案
・手順2. プレスリリース作成
・手順3. メディアリストの作成
・手順4. 想定問答の作成
・手順5. 配信・掲載
・手順6. 記者フォロー
・手順7. 効果測定
PR業務の全体像
今回の記事ではWebサービスのPRを念頭においているため、「プレスリリースを送る」という手法にフォーカスして、以下の7つの手順に分けて解説していきます。
プレスリリースが無くてもメディアに取材をお願いする方法などもあります。そういったものを含めて基本的な考え方は変わりません。
手順1. PR企画の立案

「何のためにPRをするのか」を明確にし、目的に沿ったPR企画を考えます。「日経新聞に載りたい」などのメディア前提でのPRではなく、「ユーザーを獲得したい」「資金調達しやすくしたい」などの目的を明確にした上で手法を落とし込みます。
PR企画の立案で考えること
PR企画の立案では以下の3点について決めていきます。
1.目的設定
2.メディア選定
3.切り口の検討
それぞれもう少し詳しく解説します。
1.目的設定
誰にどうして欲しいから、PRをやるのかを明確にします。これにより、アプローチすべきメディアや手法などが変わります。
例えば、とある若い女性向けのサービスを提供している会社の広報担当の方は、社長から「とにかく日経新聞に載せて欲しい」と言われるようです。ですが、例えばこの場合も「ユーザーからの認知獲得」が目的だとすれば、日経新聞を狙うよりも別な手段を考えるべきでしょう。
スタートアップのターゲットとしては、
ユーザー向け・
ベンチャーキャピタル向け・
採用向けの大きく3パターンが考えられます。
2.メディア選定
詳しくはメディアリストの作成のところで解説しますが、この時点で
ターゲットが見ているメディアを探し、大まかにどういったメディアをターゲットとするかを決めます。
【TIPS】メディアはどうやって選ぶの?
メディアの選び方としては以下のようなものがあります。
- 媒体資料を見てPV/性別/年齢/職業を調査する。
- ユーザーにどういったメディアを見ているか聞いてみる。
- メディア手帳に掲載されているものを見る。
3.切り口の検討
目的、メディアが決まったらPRの切り口を検討します。ポイントは、
どういう記事であれば、メディアが掲載したくなって、ユーザーも興味を持つか?を考えることです。
そのために、一つ一つのメディアを見て、
どういったネタであれば
どのように記事として掲載されているかもチェックする事も大切です。
【TIPS】どういった切り口を考えれば良い?
プレスリリースをどういった切り口がありえるのか。悩んだ方は、以下の切り口でプレスリリースを出せないか考えてみて下さい。
・新サービス公開の発表
・新機能公開の発表
・アンケート結果の発表
・ユーザー数の発表
・利用企業数の発表
・イベント開催の発表
・(サービスではなく)業界動向の発表
・中の人にフォーカスした企画記事
・割引キャンペーンの発表
手順2. プレスリリース作成
メディアに送るためのプレスリリースを作成します。ただ書けば良いというものでもなく、メディアの記者が読みやすい構成や、取り上げられやすいポイントを押さえる必要があります。
プレスリリースの構成内容
プレスリリースを書く時は、以下のように「タイトル」「要約」「本文」「連絡先」は必須とし、それ以外にも「サービスのイメージを伝える画像」「サービス説明」も入れるようにしましょう。
■プレスリリースの構成内容
参考:http://mixi.co.jp/press/2013/1007/11956/
サービスイメージを伝える画像や、図表は特に記者が記事に書く時に使いやすく、掲載された時には記事が大きくなりやすいため、なるべく入れたいところです。また、本文のところで「背景・経緯の説明」「目標・今後の方向性」などもいれるとベターです。
【TIPS】プレスは2ページ以内に収める
プレスリリースは長くなっても記者が読んでくれません。そのため2ページ以内に収めましょう。もしそれ以上にどうしても伝えたい事があれば、「参考資料」として追加します。
【TIPS】プレスリリース作成の原則
『知らないと損するプレスリリースの広め方』で紹介した、プレスリリース作成の原則も参考にしてください。一部抜粋して以下にてご紹介します。
1.タイトルと見出し、リード文が勝負
2.事実を正確に
3.結論を先に
4.専門用語は極力少なく
5.告的な表現や余分な形容詞は避ける
6.具体的な数字データを
7.文章は簡潔に
手順3. メディアリストの作成
プレスリリースを作ったら、あとはそれを配信するメディアの連絡先を確保します。プレスリリースを配信するには
「一括配信サービスを利用する」場合と、
「個別に手動で送る」場合の2つがあります。
「一括配信サービスを利用する」場合のサービスは後述しますので、ここでは「個別に手動で送る」場合の方法を紹介します。
リストを作成する方法
記者や編集部のリストを作成するには、主に以下の5つの方法があります。
1.記事の署名からピックアップ
2.各メディアのお問い合わせ先のフォーム/メアドを集める
3.ネット上でまとめ記事を使う
4.知り合いを辿る
5.PR手帳、マスコミ電話帳を利用
1.記事の署名からピックアップ
多くのメディアでは、記事ごとに記者・編集者の名前を出しています。この名前をピックアップしましょう。その方の連絡先が載っていない場合もありますが、個別の名前を知れるだけでも有利です。
■記事下の署名例
自分が出そうとしているプレスリリースと、ネタ的に同じカテゴリーの記事を探すと良いでしょう。例えば新聞のWeb版だと「IT」「社会」「政治」など大きなテーマごとに記者が分かれている場合がほとんどです(Webのみのニュースサイトだと、もう少し狭い担当分けをしている場合もあります)。
2.各メディアのお問い合わせ先のフォーム/メアドを集める
プレスリリースを受け付けているメディアには、「お問い合わせフォーム」「プレスリリースの受付」用にフォームやメールアドレスが掲載されている事が多くあります。
■お問い合わせ先フォームの例
この受付フォーム、メールアドレスを集めていきます。
3.ネット上でまとめ記事を使う
ネット上で、既にプレスリリースの連絡先がまとめられている場合もあります。これを使うのも一つの手です。
4.知り合いを辿る
知り合いを辿るのも一つの手です。知り合いのサービスが、自分も載せて欲しいと思っているメディアに記事を載せて貰っていたり、取材を受けている時は、記者の紹介をお願いしてみましょう。
5.PR手帳、マスコミ電話帳を利用
本屋さんで売っている
『PR手帳』や
『マスコミ電話帳』にもメディアの連絡先が載っています。こちらも活用しましょう。
【TIPS】自社で記者リストのデータベースを作る
プレスリリースは送る機会は1度ではないはず。各メディアとの関係構築や情報の一元化をするために、自社用のデータベースを作りましょう。エクセルで作るだけでも問題ありません。以下の項目を参考に作ってみて運用して行きましょう。
「会社名/部署名/役職/氏名/媒体名/電話/メール/FAX/備考情報」
※項目が多すぎるとメンテナンスしきれないため、上記くらいの項目にし、「備考情報」に記者の関心テーマ、会った経緯、これまでの掲載例などを書いて行きます。
【TIPS】リストは出来るだけ「記者単位」で作る
メディアリストの作り方は、「編集部」単位・「記者」単位の2パターンあります。編集部宛に送るよりも記者へ直接連絡したほうが掲載されやすいため、出来るだけ「記者」単位のものを作ります。
手順4. 想定問答の作成
プレスリリース配信時に、編集部や記者に個別にメール・電話をする場合があります。その時に、質問を受けた時に応えられるように想定問答を作っておきます。
記事を掲載して貰うときは、原稿を確認できない事がほとんどです。そのため言うべき内容を事前に整理しておかないと事故が起きるため気を付けましょう。
想定問答で考えておくこと
- Q:市場規模
- Q:競合
- Q:金額
- Q:目標数値(利用者数、導入社数)
- Q:他社との違い
- Q:サービスの意図、想い
- Q:トレンド(なぜ今か?)
- Q:解決する課題
- Q:サービスの仕様
手順5. 配信・掲載
【手順3.】で作成したメディアリストに、プレスリリースを配信します。ただ各メディアのフォームやメアドを送るだけではなく、自社サイトへも掲載します。
コーポレートサイトには同時掲載
プレスリリース配信となるべく同時刻に、コーポレートサイト側にもリリースを掲載します。
聞いたことがない会社やサービスの場合、記者がリリースの真偽を確認するためにサイト側を見る場合があるためです。実際に海外でも偽プレスリリースがメディアに取り上げられ事件になった事もあります。
【TIPS】メール本文に原稿を書く
プレスリリースを送るときは、原稿のファイルを添付するだけではなくメールの本文に原稿を書きましょう。そのほうがリリース内容に目を通して貰いやすくなりますし、記者が記事を書くときの手間が減ります。
【TIPS】BCCでの一括送信はやめる
よくありがちなトラブルで、BCCで一括配信をしようとして誤ってccに入れてしまい、メールベースで個人情報が晒されてしまう事があります。一括で送る場合はメール配信ツールを利用するか、それが難しければ1件ずつ送るのが良いでしょう。
【TIPS】遅い時間の配信はやめる
配信する時間は媒体によりますが、遅い時間での配信はやめましょう。例えば18時の場合、見て貰えない可能性が高いです。その時間だと記者が帰っている場合もありますし、そうすると次の日にはニュース性が下がり記事にして貰いにくくなるためです。
【TIPS】一括配信サービスの利用も一つの手
マンパワーが無く、メディアリストの作成や配信作業が難しい場合は、プレスリリースの一括配信サービスを利用するのも一つの手です。以下のようなサービスがあるので検討してみましょう。
手順6. 記者フォロー
記者は1日に多くのプレスリリースを受け取るため、全てに目を通す時間はありません。そのため電話をしながら一緒にリリースを見て貰ったり、口頭で要点の説明ができるとベストです。
但し、記者によっては電話を嫌がる場合もあり、また内容がよくないプレスリリースに対して電話をして時間を取って貰うことは失礼にあたるため、ケースバイケースで実行有無を考えます。
手順7. 効果測定
プレスリリースを配信した後は、やりっ放しにならないように効果測定をします。以下のポイントでプレスリリースごとにて定量・定性面での効果の記録を残していきます。
- 掲載メディア数
- 掲載内容(どういう扱われ方をしたか?)
- 当初のリリースの目的と、内容に齟齬が出ていないか?の確認(伝えたいメッセージとズレがないか?)
掲載数は広告としての価値換算をすると、費用対効果が分かって良いでしょう。また、効果測定に手間を割く時間がない場合は、専門のサービスを利用するのも手です。
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(執筆
徳田 匡志、編集 井出)